改めて聞くExcelをkintone+krewにすると実現できること
グレープシティが提案するkrewシリーズを使った「脱Excel」への道
2022年10月18日 10時00分更新
「脱Excel」を推進するkintoneプラグイン「krewシリーズ」を展開するグレープシティ。コミュニケーション機能を持ったWeb DBとしてのメリットを最大限活かしつつ、kintoneの使い勝手をさらに向上させるという 。グレープシティの佐藤ななえ氏に、「脱Excel」を実現するkrewシリーズの役割とメリットを改めて聞いてみた。
kintoneでWeb DB化 見た目や操作感はkrewが補う
業務アプリとしてのExcelの便利さは、いまさら説明するまでもない。しかし、クラウド化やチームでの利用を前提とすると、Excelのマイナス部分が目立ってきたのも事実だ。佐藤氏は、「個人で利用する表計算ソフトとしての価値は高いのですが、チームで業務を進めていくにはExcelでは限界が出てきます。また、神Excelみたいなのを作ってしまい、便利なんだけど、もはや当人以外はいじれないという属人化も課題です」と指摘する。
脱Excelの手段としてサイボウズのkintoneが実現するのは、まずWeb DB化だ。具体的にはデータの保守性とガバナンスを向上させ、データを安心して蓄積できるようにする。これにより、集めたデータをリアルタイムに集計したり、他のアプリで活用することが可能になる。その上で、Excelでできていたけど、kintoneでできなかったことを補完するのがkrewシリーズ。「使い勝手の面でExcelとの差が大きく、なかなか現場に浸透しないとか、アプリ間の集計が苦手といった弱点を、krewシリーズで解消します」と佐藤氏は説明する。
kintoneプラグインのkrewシリーズは、krewSheet、krewData、krewDashboard の3製品で構成されている。製品はすべてkintone上で動作するプラグインとして提供されており、アクセス権はすべてkintoneで管理される。そのため、現場ユーザーの使い勝手とIT部門で必要なガバナンスを両立できるという。
krewSheetはkintoneの画面をExcelライクに表示できるkrewシリーズを代表するkintoneプラグイン。見た目だけではなく、操作性もExcelと同じ。「コピペしたり、オートフィルをかけたり、ショートカットキー、条件付き書式、関数などをそのまま使うことができます」と佐藤氏はアピールする。最近は「Xrossモード」を機能追加しており、Excelのピボットテーブルのような集計や入力が可能になっている(関連記事:krewSheetの新機能「Xrossモード」のすごさをkintoneのプロに聞いた)。
続くkrewDataは、複数のkintoneアプリのデータを集計・加工できるプラグイン。「Excelだと他のシートから簡単にデータを参照できるのですが、kintone上だとアプリをまたいでデータを集計するのが難しい。アプリ間の壁を越えて、柔軟にデータ連携できるのが、krewDataの役割です」(佐藤氏)。
krewDataはGUIの設計画面を持っており、アイコンをドラッグ&ドロップすることで、処理フローを作成できる。また、バッチ処理のようにスケジュールを指定して特定処理を自動実行することができるので、最新データで予実表を自動生成するといったことも可能だ。
そしてkrewDashboardは、名前の通りダッシュボードを実現するプラグインで、kintoneをBIツールとして使うことができる。Excelからダッシュボードを毎回作るのではなく、kintoneアプリ内のデータを用いて、リアルタイムにダッシュボードを生成できる。「kintone専業SIerであるジョイゾー様はkintoneと会計freeeを連携して、krewシリーズで見える化しています(関連記事:kintoneとfreeeの連携を成功させる鍵は「krewData」だった)。たとえば、freeeの支払い実績とkintoneの予算をkrewDataで集計し、可視化にkrewDashboardを活用してもらっています」(佐藤氏)。
見た目にこだわるユーザーの声も満たすkrewシリーズ
当然、ユーザーからは「脱Excelしたのに、なぜExcelを再現するのか?」という質問を受けるという。これに対して佐藤氏は、「データをkintoneで管理しつつ、現場のユーザーが求めるExcelの使い方を実現しているので、krewSheetをkintone上で使うというのはすごく意味があると思っています」と説明する。
kintoneで脱Excelはしたいが、Excelで出力していた見た目はそのまま実現して欲しいという声は多い。「Excelは柔軟性がすごいという点を忘れていて、kintoneでもとにかく同じ見た目でやりたいというお客さまもいます。結果、画面自体に大きなカスタマイズが入ってしまい、コストがかかってしまうこともあります」と佐藤氏は指摘する。
とはいえ、会社で使っている標準フォーマットから大きく見た目が変わるのも問題。krewSheetとkrewDataを使えば、この課題を解消できる。「kintoneを使いながら、Excelライクな見た目を実現できます。一方、Excelと違って、リアルタイムなデータを使えるのがクラウドならではです」と佐藤氏はアピールする。
たとえば、損益計算書。「売上が一番上で、次に原価、そして原価を差し引いた粗利など、見た目だけでなく、順番もけっこう大事。その他、販売管理費に小計を差し込みたい、科目もインデント表示したい、などのニーズもあります」(佐藤氏)。こうしたkintoneでは難しい見た目もkrewSheetを使えば可能だ。
グレープシティの例では、kintoneの収支データアプリから損益計算書を算出するkrewDataのフローを見ることができる。krewDataでは、収益データから抽出されたデータを使って、「売上総利益」「販売管理費」「営業利益」「経常利益」をそれぞれ計算し、最後に全レコードを結合。新たに作った損益計算書マスタアプリで見た目を整えることで、インデントや条件つき書式のついた損益計算書を作成できる。
また、予実表と言われる予算実績管理の資料も、見た目にこだわるユーザーは多い。フォーマットがある程度決まっている損益計算書に対し、予実は会社の個性が出やすいところ。こうした個性的な見た目でも、krewシリーズであれば対応できるという。たとえば、営業マンごとの予実を見たい場合、kintoneで用意された予算管理アプリと実績管理アプリから抽出した数値を整え、krewDashboardを用いて予実や差異、達成率などを縦や横に積んでいくことができる。
いろいろな業務改善に対応できるkrewシリーズ
最近、人気なのはkrewSheetの最新機能であるXrossモードを使ったシフト表の事例だ。どの時間帯に誰が勤務するのかを表したシフト表をExcelで作成しているユーザーは多いが、同時入力できないため作成に時間がかかったり、休日数や出勤人数を調整するためのマクロがうまく動かないといったデメリットも存在する。しかし、シフト表をkintoneで実現できれば、クラウドならではのメリットを活かして同時の入力も問題ない。
加えてkrewSheetのXrossモードを使えば、カレンダーのようなビューで出勤日を入力できる。1人1日1レコードになってしまうkintoneの場合、前後の予定を確認しながら予定を入力するのは難しいが、Xrossモードでシフト表を使えば調整は容易。もちろん複数データの一括入力もでき、当日の区分やスキルセットごとに出勤人数を調整することも可能だ。
佐藤氏は、「krewSheetの行列変換モードを使うことで、従業員名、従業員コード、勤務区分、勤務日などを縦横に配列できます。本来のデータ構造から変わった形でデータを持たせることができるんです」とkrewSheetのメリットを語る。また、来月のシフト計画を作る際も、Xrossモードを使えば、あらかじめ空の入力枠 を用意しておき、従業員に入力してもらうことが可能だ。
今回は予実管理書や損益計算書、あるいはシフト表を紹介したが、脱ExcelをkrewDataで実現するためのスキル学習やテンプレートはすべて「krewDataドリル」で用意されている。サンプルを用いて、まずは同じ環境を構築し、krewによる脱Excelを体験するとよいだろう。
「kintoneを導入することが目的になっていたり、Excelをそのままkintone化するだけでは、なかなか業務改善につながりません。業務フローを見直し、棚卸しをかけ、今までExcelで大変だったことを、kintoneとkrewを使うことで改善していただく。krewシリーズは汎用性も高いので、さまざまな業務改善に役立てていただけると思います」(佐藤氏)。
(提供:グレープシティ)
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