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顔出しの有無はオンライン会議に影響するか? 検証レポートが公表

2022年09月22日 19時00分更新

文● ASCII

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ビデオOFFイメージ

 オンラインコミュニケーション協会は9月22日、オンライン上のコミュニケーションにおける「ビデオOFF」(顔が映らない状態)が、意見対立や、合意形成にかかる時間、および意思決定の質に影響を与えるとする実験結果を発表した。

 本実験は、武蔵野大学 経営学部 経営学科 宍戸拓人准教授と共同で実施。男女14グループ(46人)を対象に、Zoomを使用して「ビデオON」「ビデオOFF」の2つのパターンで、対話によって回答を導くコンセンサスゲーム(宇宙船が壊れて月面に取り残された際に、どのようなアイテムを選んで生き残るか考える)に取り組んでもらう実験を実施した。

ビデオONイメージ(※実際の実験ではぼかしは入っていない)

 各グループで意見をまとめてもらい、模範解答との誤差でスコアをはかった(模範解答とのズレが少ないほどスコアが高い)。グループメンバー内のコミュニケーションスタイルの偏りによる誤差少なくするため、事前に判定した「外向タイプ」、「内向タイプ」のメンバーを均一に分けている。分析においては、マルチレベル分析を行ない、参加者の年齢や性別、グループの人数を統制している。

 多くの研究を通して、意見が衝突した際には、意見の内容のみを検討するだけでは不十分であり、相手が意見を述べている時の表情や、こちらの意見を聞いている際の相手の仕草といった、膨大な量の視覚的な非言語情報をヒントにする必要があるという。

 しかし、ビデオがOFFになっていると、声のみを頼りに対立の解消というセンシティブなプロセスを進めなくてはならなくなってしまう。本調査でも、ビデオOFFの場合、年齢の多様性が高いグループでは、意見が実際に衝突してしまうことを回避する傾向が強まり〈Fig.1〉、グループでの意思決定結果のスコアが悪化してしまうことが確認された〈Fig.2〉。

 また、異なる性別の人が加わるような性別の多様性が高いグループでは、合意形成まで多くの時間がかかり〈Fig.3〉、そこで費やされた時間は議論を洗練させる方向に使われてはおらず、むしろ意思決定のスコアを悪化させてしまった〈Fig.4〉。

 ビデオONの場合、年齢の多様性が高いグループでは、意見の衝突を回避する傾向が弱まり(すなわち、衝突に向き合う傾向が強まり)、意見対立を居心地の良さや信頼へと結び付けることができ〈Fig.5〉、居心地の良さや信頼の高さをスコア改善へと繋げられることが確認された〈Fig.6〉。

 同協会の代表理事 初谷氏は本結果を受けて、「誤解を恐れずに極端な言い方をすれば、『ビデオOFFで会議をすることが当たり前の組織は、多様性がもたらすメリットを受けず、波風立てず、ほぼ決まった結論について、話し合っているフリをしていることが常態化している』ということです」としながら、「ビデオOFFにすることで、コミュニケーション上ネガティブな影響が起こる可能性があるということを、多くの人が共通認識としてもっていただき、状況に合わせてビデオのON・OFFを使い分けていただけることを期待しております」とコメントしている。

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