マカフィー「親と10代20代の子どものデバイス利用状況」でわかること 第6回
日本は脅威に遭いづらいので親の目が緩い?
親は女子を保護・監視しがち。結果、男子は被害に遭いやすい!?
2022年08月31日 18時00分更新
ジェンダーによる保護のバイアス
マカフィーが6月に発表した「2022年度 ネット接続している家族に関するグローバル調査(McAfee Connected Family Study)」をもとに、注目すべき世界と日本の相違点を紹介する。
※調査は2021年12月13日~29日に世界10ヵ国(オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、インド、日本、メキシコ、イギリス、アメリカ)の10歳から18歳の子どもを持つ1万5500人の親と1万2057人の子どもを対象にオンラインアンケートで実施。
最終回では、子どもの性別によって親の保護・監視に変化は変わるのか、確認していきたい。
世界10ヵ国での調査を見る限り、ローティーンへの保護・監視については男子よりも女子へのほうが手厚いようだ。ただし、具体的に脅威を経験している割合は男子のほうが多いという結果が出ている。
具体的には、女子のパソコン、スマホのほうが男子のそれよりもペアレンタルコントロールに代表される保護者機能が利用されている。これは世界的な傾向だ。
これは閲覧サイトや利用アプリのチェックについても同様で、女子のデバイスに対してチェックしていると答えた親のほうが多い。
注目したいのは保護や監視の割合が、日本のみ飛び抜けて低いこと。世界平均はパソコンの場合、女子が40%、男子が36%のところ、日本は女子でも15%、男子に至ってはわずか11%に過ぎない。スマホでも日本は世界平均の約半分だ。なお、Webサイトなどの監視についても同傾向だが、唯一ローティーンへの通話・メッセージ履歴の監視に関しては性別差が見られなかった。
男子のほうが被害に遭いやすい
一方、アカウントの乗っ取りや金融情報の漏えい、個人データの不正利用といったセキュリティ上の脅威に遭遇する割合は、すべて男子のほうが高かった。親の監視の目は男子よりも女子のほうに向いており、その傾向通り、被害に遭う率は男子のほうが高い。これは親の保護・監視が子どもをリスクから遠ざけている証拠の1つと言えるだろう。
これまでの連載で紹介してきた調査結果を受けて、マカフィー 日本・アジア地域チャネルマーケティング本部長の青木大知氏は、「(日本は)海外と比べインターネット利用の安全性が比較的に安全なものと捉えられている傾向が見られます。またセキュリティにおける潜在的なリスクがあまり感じられていないことによる、保護対策の遅れが垣間見ることができました」と語る。
比較的おだやかなセキュリティ状況に置かれている日本の親子は、極端に言えば油断しており、特にデバイスへの保護者機能導入が行き届いていない。また、スマホ・ゲーム以外のデバイス利用頻度が低いという特徴は、世界的な潮流に取り残される危うさも感じる。今後はセキュリティリスクと向かい合いつつも、子どものネット利用を高める啓蒙活動がより一層重要になるだろう。
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