親なら知っておきたい人気スマホアプリの裏側と安全設定 第182回
「見え隠れするネットいじめに関するグローバル調査」から
Twitterでのいじめ発生率は日本が世界最多!
2022年08月30日 09時00分更新
日本のネットいじめ発生率は世界一低い?
子どものネット利用において、ネットいじめは重要な課題だ。世界10ヵ国の親と子どもを対象としたマカフィーの「見え隠れするネットいじめに関するグローバル調査」(2022年7月)を見てみよう。
それによると、日本の子どもたちのネットいじめ発生率は29%で、世界と比べて最も低かった。世界平均は63%だが、報告されている被害件数はその半分であり、世界トップはインド(85%)だった。
Twitterでのいじめ発生率は日本が最多
ネットいじめはSNSでよく起きている。そこで、サービスごとに発生率を見ると、興味深いことがわかった。
世界中でネットいじめがよく起きているFacebook、Instagram、WhatsApp、Facebook Messengerに関しては、世界と比べて日本の発生率は非常に低かった。一方で、Twitterでのいじめ発生率は、世界ではわずか18%だったのに対して、日本は38%と倍以上に高くなっていた。
世界と日本のサービスごとのいじめ発生率は以下の通り。なお、LINEは調査に含まれていない。
・Twitter→ 38% (日本)、18% (全世界)
・Facebook→ 16% (日本)、49% (全世界)
・WhatsApp→ 5% (日本)、38% (全世界)
・Instagram→ 21% (日本)、36% (全世界)
・Facebook Messenger→ 4% (日本)、28% (全世界)
相談してもらえる関係性が大切
なお、ネットいじめを受けたと回答した子どものうち、理由のトップ3は、友人に関するいじめ(29%)、容姿に関するいじめ(24%)、家や休暇などのライフスタイルに関するいじめ(15%)となっている。
日本の子どもたちはネットいじめに関しても親に打ち明ける割合が高い。ネットいじめを親に隠している子どもは日本ではわずか9%だったが、イギリスとフランスでは19%、カナダでは20%だった。
調査ではこのような結果が出たが、実際に日本でネットいじめが少ないとは限らない。日本ではグループLINEなどでのいじめも多く、LINEが調査対象から外れていたことがネットいじめの少なさに影響していると考えられるためだ。そもそもLINEでのいじめは外部からわかりづらいこともあり、全件を把握することは難しい状態だ。
日本でTwitterでのネットいじめが多い理由は、10代における利用率の高さが挙げられるだろう。「#春から○○高」などのハッシュタグでつながり、入学前から交流する例は多い。匿名で利用できるとして裏垢で悪口を書いたり、成りすましアカウントを作っていじめる例もある。
ネットコミュニケーションが増えるに従って、ネットいじめは増える傾向にある。本当に怖いのは、いじめによって子どもが追い詰められてしまうことだろう。いじめは早期発見と子どもの心のケアが何よりも大切だ。保護者が普段から子どもを見守り、子どもから相談してもらえる関係性を築いておいたり、相談機関を教えておくことが大切だ。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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