使用者と一緒に歩む! 歩行支援ロボット「WALK-MATE」(前編)
この記事は、国土交通省による歩行空間データの活用を推進する「バリアフリー・ナビプロジェクト」(https://www.barrierfreenavi.go.jp/)に掲載されている記事の転載です。
パワーではなくリズムで歩行をアシストするというサポートロボット「WALK-MATE」。その仕組みについて紹介します!
2021年12月13日。香川県善通寺市で「同行二人(どうぎょうににん)」という言葉が背中に書かれた、いっぷう変わったお遍路さんが歩いていました。四国八十八箇所を巡礼するお遍路さんは、身に着ける笠や手に持つ杖などに、この「同行二人」という文字が書かれているのですが、このお遍路さんは身に着けた“パワードスーツのようなもの”にその文字が⁉
これは、ANAグループと東京工業大学(東工大発ベンチャーである「WALK-MATE LAB」)が実施した実証実験。歩行支援ロボットを使用し、高齢になっても健康に歩き旅を続けられるという“新たな旅のスタイル”の可能性を探るもの、とのこと。
この実証実験でお遍路さんが身に着けていたのは、歩行支援ロボット「WALK-MATE」。「WALK-MATE」は一般的なパワードスーツとは異なり、モーターを動力としての動作アシストは最小限に、人の歩行動作で重要とされる「間」や「リズム」をアシストすることで、使用者の歩行を改善し再生していくスーツ型のアシストロボットです。
「WALK-MATE」はに医療機関や介護施設などでは歩行訓練やリハビリ用として利用されており、歩行困難なパーキンソン病患者などで大きな成果を上げています。
人に寄り添うロボットスーツとは?
「WALK-MATE」は、スーツ型の「WALK-MATE ROBOT」と歩行分析システム「WM GAIT CHECKER」のふたつで構成されています。「WALK-MATE ROBOT」は使用者自身の歩くリズムを分析しサポートを提供。「WM GAIT CHECKER」は高性能ウェアラブルセンサーを利用して使用者の歩行機能を分析し、リハビリ現場などにその情報をフィードバックするのが主目的。医療機器版は「歩行分析計 WM GAIT CHECKER Pro (医療機器届出番号:13B3X10313K00001)」です。
【WALK-MATE ROBOT 及び WM GAIT CHECKER Pro 紹介動画 2021】
https://www.youtube.com/watch?v=7Pt41uWZ9FU
「WALK-MATE ROBOT」の装着方法は、リュックサックのように背中に背負うように着るだけなので、慣れれば一人でも数分で装着できるとのこと。操作はBluetooth接続されたスマートフォンで行ない、アシストパワーの強さなど各種パラメーターの調整が可能。アシストは両上腕横と両大腿横に取り付けられた4基のモーターが、ブランコを漕ぐようなかたちで四肢の振り出しを前後方向にサポートする仕組み。
「WM GAIT CHECKER」は両足首・腰に装着します。Bluetooth接続されたタブレットの開始ボタンを押すことで、両足と腰の3次元的な動きをリアルタイムでモニター・記録する。センサーで計測したデータは“レポート作成”ボタンを押すだけで出力が可能で、リハビリ現場でも使い勝手がいい仕様。
外出する際のバリアとなる歩行の困難さを、パワーでのアシストではなくリズムを取ることでサポートするという「WALK-MATE」。次週更新の後編記事では、「WALK-MATE」開発の中心人物である東京工業大学の三宅美博教授に、発想の原点や開発にいたるまでの経緯などをインタビューします。