2021年:シャオミとOPPOが参入!
ファーウェイは方向転換、サムスンはペン対応へ
2021年は参入メーカーも新製品の数も増え、折りたたみスマートフォンの知名度がより高まった1年となった。しかも各製品ともに特徴があり、話題性も十分だった。
まずは2月にファーウェイが「HUAWEI Mate X2」を発表。前2モデルとは異なるディスプレーを内側に折る「谷型」を採用した。ディスプレーは8型(2480×2200ドット)、カバーディスプレーは6.45型(2700×1160ドット)、しかもGalaxy Foldシリーズは折りたたむとヒンジ側に隙間が開くが、HUAWEI Mate X2は隙間のまったくないゼロギャップデザインとして、またもやサムスンを一歩リードする技術を実現した。しかし一方ではチップセットにKirin 9000を搭載するものの、アメリカの制裁の影響により5Gモデルの生産数は限られてしまい、販売後期は4Gモデルのみとなってしまった。
続く3月にはついにシャオミが「Mi MIX Fold」を発表。メインカメラは1億800万画素、Snapdragon 888を搭載するなどハイスペックな製品でありながらも、中国での価格は1万元を切る9999元(当時のレートで約17万円)と、折りたたみスマートフォンとしては「破格値」だった。ディスプレーは8.01型(2480×1860ドット)、カバーディスプレーは6.52型(2520×840ドット)。谷型でありGalaxy Fold同様に折りたたむとヒンジ部分に隙間ができる。
本体は縦に長く、カバーディスプレーのアスペクト比は27:9となり、閉じた状態ではやや表示が見にくいという意見もある。
サムスンは前年に引き続き8月に「Galaxy Z Fold3 5G」を発表した。最大の特徴は同社のスタイラス「Sペン」への対応だ。サムスンはこの年、約10年販売していたペン入力対応の「Galaxy Note」シリーズを「Galaxy S」シリーズへ統廃合するとともに、Galaxy Foldシリーズを「ペン対応の大画面」モデルへと進化させたのだ。
ディスプレーサイズはGalaxy Z Fold2 5Gと同じ7.6型(2208×1768ドット)だが、インカメラはディスプレー埋め込み型のUDC(Under Display Camera)を初採用した。カバーディスプレーも6.2型(2268×832ドット)とわずかに解像度を高めた。
2021年はファーウェイが谷型方式に鞍替えし、シャオミもサムスンも同じ方式となって、折りたたみスマートフォンはこのスタイルが標準になるかと思われた。ところが9月にRoyoleが「FlexPai 2」を発表、初代モデル同様に外に折りたたむ山型式を採用した。初代FlexPaiはヒンジ部分の径が大きく折りたたむとかなり膨らむ形状であったが、FlexPai 2は隙間なしの構造としてデザインも向上させた。ディスプレーは7.8型(1920×1440ドット)で初代と変わらず、ヒンジ部分の構造を変えることでスリム化を実現させた。
12月にはOPPOが「OPPO Find N」を発表。ディスプレーは7.1型(1920×1792ドット)とし、開いた状態でも片手で楽に持てるコンパクトデザインに仕上げた。閉じた状態では5.49型(1972×988ドット)、アスペクト比18:9と普通のスマートフォンと同じ縦横比とし、サイズも132.6×73×15.9mmと持ちやすい。折りたたみ型イコール大画面、という方向性とは逆行する動きを見せた。閉じたときの隙間はゼロだ。
2022年:高画質カメラモデルが続々登場!
王者サムスンを追いかける
2022年も新規の参入メーカーが相次ぎ、折りたたみスマートフォン市場は徐々に競争が激しくなっていく。1月にHonorは「HONOR Magic V」を、4月にはVivoが「vivo X Fold」を発表した。Magicシリーズ、Xシリーズは両者ともに高画質カメラを搭載したフラッグシップラインであり、両者の折りたたみスマートフォンは「次世代ディスプレー搭載モデル」ではなく「カメラフォンの上位に位置するフラッグシップ」という位置づけとなる。
HONOR Magic Vのディスプレーは7.9型(2272×1984ドット)、カバーディスプレーは6.45型(2560×1080ドット)。ヒンジはゼロギャップ構造で隙間なく折りたためる。カメラは5000万画素を3つ(広角、超広角、スペクトル測定)と贅沢だ。インカメラも4200万画素を搭載する。
vivo X Foldは8.03型(2160×1916ドット)ディスプレーを搭載、カバーディスプレーは6.53型(252×1080ドット)。ディスプレーサイズはわずかながらだがHUAWEI Mate X2より大きく「折りたたみ最大サイズ」となっている。こちらもたたんだときに隙間はない。カメラは5000万画素+4800万画素+1200万画素+800万画素。カメラ性能は申し分ない。
同じ4月にはファーウェイが「HUAWEI Mate Xs 2」を発表。新製品を思うように展開できないファーウェイだが、次世代のディスプレーを搭載するモデルは毎年新製品を投入し、研究開発の手を緩めないようだ。HUAWEI Mate Xs 2はその名の通り2020年発売のHUAWEI Mate Xsの後継機であり、ディスプレーは再び山型式を採用した。7.8型(2480×2200ドット)、カバーディスプレーも6.5型(2480×1176ドット)となりどちらも若干サイズダウンされた。
現時点で折りたたみスマートフォンの最新モデルとなるGalaxy Z Fold4はメインディスプレーが7.6型(2176×1812ドット)、カバーディスプレーは6.2型(2316×904ドット)。前モデルとサイズは同じだが解像度を変えている。またヒンジは改良され、折りたたんだときの厚みはより薄くなった。そしてカメラはFoldシリーズ初の5000万画素を搭載し、フラッグシップ製品と呼べるレベルに到達した。
そしてGalaxy Z Fold4発表の興奮もさめやらぬ翌8月11日にはシャオミが「Xiaomi MIX Fold 2」を発表すると予告している。今年下半期も新たな折りたたみスマートフォンが出てくるかもしれない。
このように折りたたみスマートフォンは4年弱の間に大きく進化していった。折りたたむ形状は今のところサムスン、シャオミ、OPPO、vivo、HONORそしてファーウェイの1モデルが採用する内折り式=山型が主流のようだ。この山型式は初期のモデルでは折りたたんだ際にヒンジ部分に隙間ができたが、ゼロギャップの隙間なしモデルもかなり増えている。
折りたたみスマートフォンはまだまだ一部のユーザーが使う製品のように思われがちだが、各社が競争を繰り返していく中で、製品の完成度はかなり高まっている。日本ではおそらくGalaxy Fold4が発売されれるだろうが、もしも発売されたらぜひ手に取って最新の折りたたみスマートフォンの進化を体験してほしい。