被害額が正規の漫画市場規模を超えてしまった
有料漫画が無料に!? 罠がいっぱいの海賊版サイトに近寄らないで
2022年08月06日 07時00分更新
・コロナ禍以降、漫画海賊版サイトの勢いが増している。被害額は正規の漫画販売額を超えているほど。
・海賊版サイトを利用することは、違法行為となり罰金が科せられる場合もある。
・海賊版サイトやその閲覧アプリ、あるいは海賊版サイトからダウンロードしたファイルなどが安全であるという保障はない。正規の漫画アプリやWebサイトからの閲覧を強く推奨する。
海賊版サイト被害はコロナ禍で増大
漫画を不正にコピーして無料で閲覧させる「海賊版サイト」が大きな問題となったのは2018年。最盛期には毎月1億回のアクセス数があったと言われる海賊版サイト「漫画村」による被害額は、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構の試算によると3200億円にも上りました。
その後、漫画村は閉鎖、運営者は逮捕・起訴されましたが、それで海賊版サイトの被害が収まったわけではありません。むしろ悪化しているのです。
権利者の集まりである一般社団法人ABJの調べでは、コロナ禍の間に類似サイト群の合計アクセス数が漫画村の倍以上まで伸びたうえ、被害額も7000億円超と、正規の漫画市場規模を超えてしまいました。
これはコロナ禍による外出制限で自宅に篭る日々が長くなり、スマホなどで気軽にタダ読みできてしまう海賊版サイトについついアクセスしてしまった人が増えた結果とみることもできるでしょう。厄介なイエナカ需要もあったものです。
悪意ある人たちは海賊版サイト運営による広告掲載料などで利益を得ているわけですから、タダ読みしている人たちはその違法行為に手を貸していることになります。それどころか、海賊版をダウンロードしてからの閲覧は違法行為そのものにあたります。著作権法違反で2年以下の懲役か200万円以下の罰金を科せられる可能性があるのです。
そして何より、「安全に」タダ読みできるとは限りません。
後ろめたい場所で詐欺や攻撃に遭ってしまうと……
はっきり言ってしまえば、海賊版サイトやその閲覧アプリ、あるいは海賊版サイトからダウンロードしたファイルなどが安全であるという保障はありません。じつは危険なウイルス入りで、感染したパソコンやスマホから密かに情報を盗まれているかもしれないのです。
また、「ユーザー登録すれば機能が増える」などと言葉巧みに偽のWebサイトへ誘導されて、入力した個人情報を窃取される恐れもあり得るでしょう。さらに、海賊版漫画へのリンクをタップした途端、「利用料を払え」と閲覧者を脅すワンクリック詐欺が待ち受けている可能性もあります。
そもそも、仮にあなたが何かしらの被害に遭ったとして、「海賊版サイトから漫画をダウンロードしたらウイルス入りで、情報を盗まれました」と警察に報告できますか……?
というわけで、海賊版サイトにアクセスすることは、違法行為に助力するだけでなく、パソコンやスマホ、あなたの個人情報を危険に晒すことにもつながります。
加えて、権利者に収益が届かないのでビジネスが滞り、やがて肝心の漫画文化そのものが途絶えてしまいかねません。これからも漫画を楽しみたいのであれば、海賊版を読むことはやめて、正規の漫画アプリやWebサイトを使いましょう。
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