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超薄型化のM2搭載MacBook AirにiOS 16登場! 「WWDC22」特集 第26回

完成度の高いM1を上回るM2搭載「MacBook Pro 13インチ」その性能と位置付け【本田雅一】

2022年06月23日 09時00分更新

文● 本田雅一 編集●飯島恵里子/ASCII

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M1を成熟、最適化したM2

 半導体の回路設計は、その生産プロセスとの組み合わせで行われる。言い換えればこの時期に登場するということは、iPhone向けのA15 Bionic向けに開発された構成要素を活用するということだ。したがって、搭載されるCPUコアがM1のFirestorm/Icestorm(それぞれ高性能コアと高効率コア)から、A15 Bionicに搭載されるAvalanche/Blizzardへと更新されている。

 これは他の処理回路も同じで、Neural Engine、ISPなどの設計もA15 Bionicと同じ世代になっている。当然ながら各回路とセットで開発されている信号処理ソフトウェアなども共通している。

 アップルの場合、全て自社開発で賄われているため、どこかのレイヤで切り離して外販されるわけではないが、基礎となる半導体の設計が変われば、その半導体の性能や機能に合わせて最適化された信号処理技術が乗り、それが各ジャンルのOSから利用されている。

 そうした意味では公式、非公式にアップデートされているiPhone 12からiPhone 13に向けての改善要素は、そのままM1搭載MacとM2搭載Macにもき期待できことになる。これはベンチマーク結果などの表面的な数字には現れないが、効果的にユーザー体験を改善する部分と言える。

 このような順当な進化に加え、M2にはM1に続くファミリー展開で変更された要素も取り入れられている。ひとつはProResコーデックも含めた動画エンコード、デコードのアクセラレータ回路「Media Engine」の搭載だ。単に高精細の動画を楽に扱えるようになるだけではなく、動画処理が高効率になることでバッテリ駆動時の動画処理や発熱などにも良い影響が出る。

 もうひとつはメモリ帯域の増加だ。M1で使われているDRAMはLPDDR4xだったが、M1 Pro以降はLPDDR5に更新された。これによりメモリ帯域は1.5倍となっている。同時に採用するメモリチップの密度が高まったことで最大メモリは16GBから24GBに増加した。

 GPUに関してもコアそのものの性能が最新世代になったことに加え、コア数が8から10に増大している。ただコア数が増えただけでなく、処理性能に見合うシステム全体の見直しもかかっている。M1、M2はいずれも共有メモリアーキテクチャという構造を採用することで、余分なメモリ転送を避け、複数の異なる専用プロセッサによる効率的な処理ができる。M2でのメモリ帯域増加は、GPUコア数増加に代表される全体の処理能力増強に見合うものだ。

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