新横浜ラーメン博物館のウラ話 第11回

ラー博にまつわるエトセトラ Vol.6

創作ラーメンイベントはこうして始まった(後編:旬麺&節電ラーメン)

文●中野正博

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 みなさんこんにちは。2024年の3月に迎える30周年に向けて、これまで実施してきましたさまざまなプロジェクトが、どのように誕生したかというプロセスを、ご紹介していく「ラー博にまつわるエトセトラ」。

 前回の記事はこちら

創作ラーメンイベントはこうして始まった(中編:シークレットラーメン)

 過去の連載はこちら:新横浜ラーメン博物館のウラ話

 前々回から三部作として過去に行なった「創作ラーメンイベント」をご紹介してきましたが、今回はその中でも話題となったイベントとして「旬麺」と「節電ラーメン」をご紹介いたします。

 まずは旬麺です。

 日本は縦長の島国で四季や気候によって異なった旬が存在します。そこで、ラーメンに“旬”というテーマを吹き込み、旬を取り入れた創作ラーメンを発表するという趣旨でスタートしました。

 これは、ラー博史上4年連続で続けた大きな創作ラーメンイベントでした。旬麺は夏麺、秋麺、冬麺、春麺と1シーズン4回実施し、これを4年間続けました。4年間で作られた作品は120作品を超えました。

 旬麺は、シーズンごとにテーマを決めそのテーマに沿って創作されました。

第1幕2005年 6月21日~テーマワード  「夏:涼、秋:彩、冬:温、春:芽」
第2幕2006年 6月19日~旬の食材        「夏:枝豆、秋:茄子、冬:大根、春:玉ねぎ」
第3幕2007年 7月6日  ~味のテーマ     「夏:冷やし、秋:醤油、冬:味噌、春:塩」
第4幕2008年 6月26日~四季のスタイル「夏:冷やしラーメン、秋:和え麺、冬:とろみ麺、春:つけ麺」

 このイベントはスタンプラリーも同時開催され、旬麺オリジナルのグッズがもれなくもらえました。

  また春夏秋冬すべての旬麺を食べた方に「旬麺パスポート」をプレゼントしました。

 あれから14年経ちますが、少なからず常連さんの中には「旬麺をもう一度やってほしい」という声をいただいております。いつかどこかでこの企画が復活するかもしれません。

 続いて「節電ラーメン」です。

※2011年に配信したニュースリリースの抜粋

 この企画は2011年に発生した東日本大震災により電力不足となり、節電対策が急務の中、私たちは「ラーメンで節電できないか?」と考えました。

 そして私たちが注目したのが「体を冷やす食材」でした。

 東洋医学では食品を「陰性」、「陽性」、「平性」に分類し、例えば「陰性」の食品は体の熱を取る作用のある食品として、トマト、水菜、きゅうりなどが挙げられます。エアコンのない時代、人々は知恵と工夫で陰性の食べ物を食べ、涼をとっていました。

 この節電ラーメンは電力が増える夏と冬に2回実施し、夏は体を冷やす食材を使用した創作ラーメン、冬は体を温める食材を使用した創作ラーメンを実施しました。

 この取り組みは各局が取り上げていただき、話題となりました。

 「創作ラーメンイベントはこうして始まった」と題して三部作でご紹介しましたが、これらの企画は全店で行う企画としてピックアップしましたが、個店で行う「卒業ラーメン」や「周年ラーメン」、「テーマを持った取り組み」などもたくさんあります。そのあたりは別途コラムでご紹介させていただきます。

 さて次回はいよいよスタートする「あの銘店をもう一度」についてお話ししたいと思います。お楽しみに!

新横浜ラーメン博物館公式HP
 https://www.raumen.co.jp/

・Twitter:https://twitter.com/ramenmuseum
・Instagram:https://www.instagram.com/ramenmuseum/
・Facebook:https://www.facebook.com/raumenmuseum
・LINE:https://lin.ee/k9AJTKt
・YouTube:https://www.youtube.com/rahakutv

文/中野正博

プロフィール
1974年生まれ。海外留学をきっかけに日本の食文化を海外に発信する仕事に就きたいと思い、1998年に新横浜ラーメン博物館に入社。日本の食文化としてのラーメンを世界に広げるべく、将来の夢は五大陸にラーメン博物館を立ち上げること。