業務を変えるkintoneユーザー事例 第135回
PC初心者のオペレーターたちのために常駐し、相談し、改善し続ける
排泄やおむつの悩みを相談できるコールセンター オペレーターがkintoneになじむまで
2022年06月09日 09時00分更新
2022年4月28日、サイボウズは2年ぶりのリアル開催となったkintoneユーザーイベント「kintone hive Osaka 2022」を開催した。なんばHatchの高いステージに上がった登壇者は、自社のkintone事例を生々しく披露。トップバッターは介護用おむつのメーカーであるリブドゥコーポレーションによる相談できるコールセンターをkintoneで構築した話だ。
10回目の大阪のkintone hive 満10と書かれたまんじゅうも!
ライブハウス「なんばHatch」に聴衆を入れ、2年ぶりのリアル開催となったkintone hive Osaka 2022。司会を務めたサイボウズ 大阪オフィス所属の松森知里氏は、大阪でのkintone hive開催が今回で10回目となり、10回の登壇人数も39名に及んでいるという。また、「満10」と書かれた記念のまんじゅうを作ったとアピールした。
クラウドユーザーイベントとしては実績の高いkintone hiveだが、松森氏はイベントの楽しみ方として「業務改善のプロセス」「引き出しを増やす」「アイデアの共有」の3つを挙げる。SNSの投稿はもちろん、今回はSNSのアカウントを持たないユーザーに向けたkintone hive掲示板も設けられ、オンライン視聴しているユーザーも楽しめるようになっているという。
業務改善に役立つ国産ノーコードツールとして高い支持を得るkintoneのユーザーも、最新では2万4000社を突破。関西ならではの取り組みとして、学べるセミナーである「kintone関西ラボ」やトークイベントである「関西キントーーク」などを展開しているという。
今回のkintone hive Osaka 2022では5社が登壇。このうち1社が会場の聴衆やオンラインの視聴者によって地区代表に選出されるとのこと。松森氏は、参加者に配られたkintoneペンライトと拍手でイベントを盛り上げてほしいと会場にアピールし、1社目のリブドゥの講演につなげた。
「コールセンターは注文をとるだけでいいのか?」
「『使う人にとっていいもの』を考え抜いた。PC初心者とつくるコールセンター」というタイトルで講演したのは、リブドゥコーポレーション 事業開発部の柴田佑二氏。もともとベンチャー企業のWebプログラマーだったが、2017年にリブドゥに入社してWebシステムのツール導入や現場のフォローを担当している。「システムやツールへの苦手意識を減らし、業務に集中できる環境を整えるのが私のミッション」と柴田氏は語る。
リブドゥは「リフレ」ブランドの大人用おむつや手術キットの製造販売を手がけており、介護施設や病院、ドラッグストアなどに販売している。いわばB2Bのビジネスだ。しかし、柴田氏が所属するダイレクトコマース課は一般消費者向けの通販「まごころサポート」を手がけるB2Cの部署。自社の介護関連商品をECサイトとコールセンターで受注している。
kintone導入前に抱えていた問題は、「コールセンターは注文をとるだけでいいのか?」というものだった。導入前のコールセンターは受注専門の会社にアウトソーシングしており、評価は注文数や受電数の増加、平均通話時間の短縮などおもに売上向上を重視した指標だったという。しかし、コールセンターで受ける電話は注文以外ではない。「親の介護でおむつが必要だが、どうやって選べばいいかわからない」「おむつを使っているが、すき間から漏れてしまう」「夜中に何度もおむつ交換で起されて、夜中にまともに眠れない」など、排泄やおむつに関する電話も受けていた。
電話は顧客との重要な接点であり、こうした相談や悩みに答えれば、顧客と良好な関係構築が築ける。こう考えたリブドゥは排泄やおむつに関する相談ができ、相談した上で商品も買えるというコールセンターを構築することにした。これが2020年4月のことだ。当然、排泄やおむつに関する知識に精通している必要があったので、排泄・介護の研修事業を行なっている自社のグループ会社に委託。「オペレーター業務は未経験で、パソコンの扱いはちょっと苦手ですが、排泄やおむつに関する知識が豊富で、今回のコールセンターをお任せするのにふさわしいみなさま」と柴田氏は紹介する。
メンバーが研修に参加できる期間は2021年1月~3月まで。既存システムは受注のプロ向けシステムだったので、初めてのメンバーでも扱いやすいシステムにリプレースする必要があった。しかし、開発期間は研修に入る前の2020年の10~12月しかない。そこで出会ったのがkintoneだ。「開発会社に委託しても準備や打ち合わせが必要だったので、開発内容を把握している自分がCRMを利用して開発した方が速いと考えた。こうして見つかったのが、kintoneです」(柴田氏)。
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