業務を変えるkintoneユーザー事例 第136回
営業の業務にkintoneを導入したことで、業績に直結する改善を実現
“個人商店”だったFM局の営業部門がkintoneで“チーム”に変わった
2022年06月20日 10時30分更新
kintone hive nagoya 2022が、今年はリアルとリモートのハイブリッド形式で開催された。2年ぶりとなる観客ありでの開催で、会場は定員いっぱいの参加者が集結。感染対策のため声援を控える中、拍手とハンディライトによる静かな熱気に包まれた。
今年は5社の担当者がkintoneの活用事例を報告した。トップバッターはZIP-FM営業部門の佐藤俊氏と福本将吾氏が、同社の広告営業業務の改革を語った。
昔ながらの働き方だった営業部門
「ZIP-FM 77.8」(以下・ZIP-FM)は、愛知県で放送をしている地域密着型のFM放送局。2023年に開局30周年を迎える。「FOR YOUR CREATIVE LIFE」をステーションテーマに掲げ、16歳~34歳をメインターゲットにしているものの、幅広い層から支持されている。また最近は、TikTokやTwitterなどのSNSを強化しており、Podcastにも力を入れている。放送の枠にとらわれない新しい挑戦を続けている。
福本氏は2019年入社。営業部に配属されたのは2022年1月とまだ日が浅い。「放送局というと最先端のイメージを持つかもしれないが、全然違った。仕事のスタイルは30年の古さが目立つ昔ながらの会社ということがわかった」と話す。
営業部でキャリアの長い佐藤氏は、kintone導入前の営業部について「各営業部員がExcelで売り上げの管理を行なっており、日々の活動履歴を残している社員もいれば、何も残していない者もいるなど、バラバラの状態だった。週1回の営業会議では、部員がExcelを印刷した紙を持ち寄り、まさにブラックボックス、個人商店といわれる状態だった」と語る。互いの営業活動状況を把握することができず、異動や担当替えの時は引き継ぎが大変で、コミュニケーションコストが膨大にかかっていた。
佐藤氏は、放送広告は顧客のニーズが幅広く、すべてが1点ものの商品になることから、顧客のニーズをいかに聞き出すかが重要になると話す。「顧客のニーズはさまざまで、営業が練り上げてカスタマイズした提案をしていくことになる。だからこそ、価格管理を含めて決定に至った経緯を情報として残しておき、営業部内で共有すべきだと感じていた」
そんな課題意識を持ちながら、佐藤氏は解決のヒントを得るべく、2019年のkintone hive nagoyaに参加した。そこで、登壇したさまざまな企業の課題解決のプロセスを目の当たりにする。「これならうちの会社でも導入して、課題が解決できるかもしれないと感じて、kintoneの導入検討を開始した」
クラウドへの抵抗を示す社員を説得
だが、kintone導入はそう簡単には進まなかったと福本氏は語る。「当社は40代の社員が多い。彼らはクラウドサービスに対して漠然とした不安を持っていた。また、最終的にプログラムを組む必要がある箇所も出てきて、自分たちだけでは作れないこともわかった。『わざわざ導入しなくてもよくないか』といった声も聞かれるようになった」
しかし、このままではいけないという思いが強かった佐藤氏、福本氏は、目的を以下の3つに絞ってkintoneの営業局への導入を進めることにした。1つ目は情報を部内共有する仕組みの構築、次が属人的業務からの脱却、そして3つ目が、kintoneによって誰でも同じ業務ができるようにする、つまり業務の標準化だ。
当初は不安の声が収まることはなかったが、それを乗り越えるため、週1回の営業会議の資料を、紙から強制的にkintoneベースで行なうことに切り替えた。「『強制的に』というと強いイメージがあるが、わからないところは教え合うようにして部員全員でkintoneに対する知識を深めていけるように務めた」(福本氏)
また、営業部内に、佐藤氏と福本氏も参加する「kintone研究チーム」を発足した。チームでは営業部としてどういう機能が欲しいのかを洗い出しながら、開発パートナーであるkintoneオフィシャルパートナーのウィルビジョンとの窓口となり、システム開発を依頼した。
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