Lepton WS3100Z690-A/D4 Stream Boxをレビュー
これ1台で本格ゲーム配信!Core i7-12700K&RTX 3060 Ti&C988搭載ゲーミングPCの実力
2022年05月15日 11時00分更新
Core i7-12700Kは120mmラジエーターの簡易水冷で大丈夫?
第12世代Core、特にPコアとEコアを混載したCore i5-12600K以上のモデルはピーク時の発熱が高めで、本来の性能を引き出すには高性能なCPUクーラーが必要になる。Core i7-12700Kも高負荷時のCPU温度は高くなりがちで、許容範囲を超えると発熱を抑えるため、動作クロックが低下する。結果、本来の性能を引き出せないといったことが起こる。
ここからはこの温度上昇による速度低下が起こらないか、定番ベンチマークソフト「CINEBENCH R23」を使って確かめてみる。CINEBENCH R23は、CGレンダリング速度からCPU性能を測るベンチマークソフトだ。CGレンダリングは全スレッドで処理するため、すべてのコアに高負荷をかけ続けられる。ピーク性能を調べたい場合や、高負荷テストでCPUの素性を調べたい時なども重宝する。
テストはすべてのコアを使う「Multi Core」と、1つの論理コア(スレッド)のみを使う「Single Core」の2つ。性能は「pts」という単位の独自スコアーで評価され、この数値が高ければ高いほど高性能なCPUとなる。なお、どちらも約10分間の負荷をかけた場合の平均性能となる。
なお、今回検証したモデルはLepton WS3100Z690-A/D4 Stream Boxの試作機ということもあり、メモリーとマザーボードが本来のDDR4構成ではなく、DDR5構成になっていた。そのため、性能に関してはほんの少し高めになる。とはいえ、CINEBENCH R23はあまりメモリーの速度や帯域に左右されないテストになるため、そう大きな影響はないはずだ。
Multi Coreが22860ptsで、Single Coreは1948ptsと、Core i7-12700K搭載PCとしてはやや高めの結果になった。ゆえに、速度低下は起こっておらず、ピーク性能が持続できていると見て間違いないだろう。では、CPU温度はどのくらいまで上昇していたのか、モニタリングツール「HWiNFO64 Pro」を使って調べてみた。
こちらはCINEBENCH R23のMulti Coreテスト終了後の状態。Core i7-12700KのCPUダイが耐えられる最大温度(TjMAX)は100度なのだが、コア温度やCPUパッケージ温度の最大は97度と高く、余裕はわずか3度しかない状態だった。
しかし、「コアサーマルスロットリング」を見ると「いいえ」となっており、高温を理由に動作クロックが大きく下げられていることはない。つまり、冷却性能が十分間に合っており、しっかりと性能が引き出せているというわけだ。なお、HWiNFO64 Proの結果をよく見ると、「PL1電力制限」と「PL2電力制限」のどちらも241Wとなっていた。
Core i7-12700Kのインテル推奨設定の仕様は、ターボブースト時の最大電力である「Maximum Turbo Power」(PL2)が190W、持続可能な最大電力である「Processor Base Power」(PL1)が125Wだ。つまり、試用機のUEFI BIOSはそれを大きく上回る設定(おそらく、無制限設定)であることがうかがえる。CPUクーラーの性能が十分高く、電源にも余裕があるからこそできる設定だろう。
もちろん、CINEBENCH R23は高負荷なテストなので、一般的な用途ではここまでCPUに負荷がかかることは稀だ。とはいえ、全コア負荷時で限界まであと3度しか余裕がないという点は少々気になるところ。安定性を重視したい場合は、UEFI BIOSでCPUの仕様通り、Maximum Turbo Powerを190W、Processor Base Powerを125Wに設定しておくほうがいいだろう。
ちなみに騒音はどのくらいかというと、正面20cmの距離から簡易的な騒音計で測ってみたところ、アイドル時で34.2dB、CINEBENCH R23のMulti Coreテスト中で41.1dBだった。体感で言えば、アイドル時はほぼ気にならないレベルだが、高負荷時は扇風機の「中」くらいの騒音に感じた。