業務を変えるkintoneユーザー事例 第131回
今年もやってきたkintone hive! 福岡1本目は保育園の情報共有がテーマ
kintoneで保育園システムを構築!生まれた余裕で大学院の修士論文を執筆
2022年05月09日 10時30分更新
「関連レコードさん、ありがとう」
園児情報を一本化し、兄弟児の情報や保護者情報、保険記録、事故報告などを関連レコードを紐付けることで、園児情報を統括管理できるようになった。紙やExcelで管理していた頃は、園児の苗字が変わると、すべてのファイルの内容を書き換える必要があったが、kintone化することでその手間がなくなった。また、請求管理も関連レコードから見られるようにした。
「新型コロナ速報(アプリ)では、リアルタイムの状況を打ち込んでいます。このアプリのおかげで1月のパンデミックの状況を乗り越えられました。これは、kintoneで統括管理できたからだと思っています。本当に関連レコードさん、ありがとうございました」(嘉陽氏)
kintoneのカレンダーも活用しているが、スケジュール管理ではなく、日ごとの入力状況を確認するために使っているという。行政への実績報告をするため、抜け漏れを防ぐのが目的だ。
グラフも活用している。職種別の常勤換算数をExcelで計算すると、ピボットテーブルなどを駆使する必要があり、とても手間がかかるそう。その点、kintoneなら計算式を入れるだけでグラフ化できる。
保育園はICT化を進めても、結局は紙で出力することが多い。その際は、印刷プラグイン「Repotone U」(ソウルウェア)を利用している。延長保育料の請求書や領収書などのほか、緊急連絡簿も出力する。緊急連絡簿は病気や怪我など、緊急に病院に連れて行く際や救急隊員に提供するものだ。万一の際、1分1秒を争う状況で、kintoneから手軽に出力できるのは本当に助かっているとのこと。
「私が一番大好きなアプリは小口現金出納帳アプリです。これまではExcelで打ち込んでいましたが、kintoneを導入するにあたって、私には技術がないので、OSPさんにカスタマイズをお願いしました」(嘉陽氏)
kintoneにより紙やファイルでの管理を減らしたことで、業務負担が一気に減った。そのため、修士論文を書いて大学を修了することができたという。新型コロナウイルスの中、そして新園舎建設の中、本当に忙しかった中でも自己実現できたのは、kintoneのおかげだと嘉陽氏はアピールする。
行政とのデータ共有にもチャレンジしたい
運営と行政の書類に関しては業務改善できたが、保育の記録に関してはこれから進める予定だ。また、現在は嘉陽氏ひとりしかkintoneを使っていないので、他の先生たちにも使ってもらいたいと考えている。そして、たんぽぽ保育園と同じように保育システムが導入できないでいる保育園にも、この事例を導入していきたいという。
嘉陽氏がもっともチャレンジしたいと考えているのが、行政とのデータ共有。Excelやファイルでデータを受け渡しをしていると、入力の手間やミスが発生する。kintoneを活用し、行政と施設がリアルタイムでデータを共有できれば、業務の効率化や子育て支援が実現すると考えているそうだ。
「保育現場では大変なことが起きています。そんな状況を変えたいという想いがあって、私はここに立っています。本当は、子供ひとりひとりと向き合って、保護者にも寄り添いたい、そういう社会にしていきたい、しかし、なかなか難しい現実があります。私はkintoneと出会って、この保育業界が変わることを信じています」と嘉陽氏は締めた。

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