人体から学ぶ「世界」
「人体を知る 人間を知るということはすなわちこの世界を知るということでもある」
図鑑冒頭のマンガに出てくるこの言葉が、この本の価値を示しているといっても過言ではない。食べ物は口にした後体内でどのように消化しているのか? 身体の組織がどのように動く事で物を投げているのか? どうやって呼吸をしているのか? どのように周囲の情報を得ているのか?「自分の身体のことは自分がいちばんよく知っている」と言う人もいるかもしれないが、いざ考えてみると詳しく知らないことも多いと本書を読んでいく中で気づかされた。この図鑑ではそんな日頃の何気ない行動において人の身体がどのような動きをしているのかを詳しく知ることができる。
また、人体のしくみだけでなくそれにまつわる様々な情報についても学ぶことができるのだ。例えば、第一章では食事の際の消化器官の説明がされているが、それにあわせて食べものにはどのような栄養があり、それが私達の身体にどのような影響をもたらしているのかということも書かれている。コロナウイルスをはじめとした感染症がどのように世界中へ広まっていったのか、ワクチンがどのように作用するかといった、今気になる疑問への答えも掲載されている。人体を通じて、幅広い分野について学ぶことのできる一冊である。
いつからでも、何度でも、いつまでも使える図鑑
理科室にある人体模型が怖かった人や、理科の授業で出てくる聞きなれない言葉に嫌気がさしていた人がいるかもしれない。しかし「角川の集める図鑑 GET! 人体」は、どんな人でも楽しむことができるはずだ。人体について語るため骨や内臓の画像も登場する。しかしそこに描かれているのは詳細でありながら美しさすら感じるイラストだ。小さな子どもでも楽しく読むことができる。
また各章の説明は「食事をする」「ものを投げる」といった具体的な動作に沿ってなされているため、細かい部位の名称を読むことができなくてもイラストなどを通じて感覚的に読み進めることが可能だ。逆に言えば難しい単語が理解できるようになれば、また新しい発見ができ、よりくわしく人体について学ぶことができる。
図鑑の内容は人体だけにとどまらず、ヒトとくらべて他の動物のからだがどのようになっているのか、人々が歴史の中でどのように人体について考えてきたのかといった部分にも触れている。コラムや豆知識も充実しており、理科や家庭科、保健といった人体に関連する科目について勉強する時だけに限らず「どうして夢を見るのか?」「五十肩ってどんな肩?」といった、日常の中で出てくる何気ない疑問について答える時にも役立つ一冊だ。
「GET!+」でどこでも使える自分だけの図鑑に
スマートフォン等を活用することで「角川の集める図鑑 GET! 人体」はさらに楽しめる。スマートフォンで「GET!+」のWebページにアクセスし図鑑内の各所にある「GET!+」のページでカメラ機能を使うとオンラインカードが獲得できるのだ。
カードの内容は図鑑と遜色なく、外出先でも自分の作った図鑑をいつでも読めるようになる。またカードを集めるという要素が加わることで、「このページにカードはあるかな?」「カードの内容はどんなものだろう?」「図鑑とカードの内容に違いはあるかな?」という風に楽しみながら図鑑を読み進めることができる。筆者も最初はスマートフォン片手にスタンプラリーやゲームをやる感覚で夢中で読み進めてしまった。是非家族や友達どうしで図鑑作りを楽しんでほしい。終わるころには自分でも驚くほどに人体の知識が身についているはずだ。他の「集める図鑑GET!」シリーズのカードも「GET!+」ではある程度見ることができるので動物や恐竜の身体と人体を比べてみるとさらに楽しめる。
【ライタープロフィール】
ペンネーム:鮭とば 東京学芸大学教育学部3年
<子どもの頃の図鑑の思い出>
図鑑に出てくる生き物の名前だけでしりとりをしたり、世界旅行でどこに行ってどの生き物に会うかを想像していました!
関連書籍
角川の集める図鑑GET! 人体
定価:2200円(本体2,000円+税)
版型:A4変型
https://zukanget.com/book05.html