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営業会議でデモを実施 ここからIoTプロジェクトが小さく始まる

1人で始めたJOHNANのIoTプロジェクト 「動かして見せる」ことで賛同者が増える

指田昌夫 編集●大谷イビサ

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 2022年1月18日、ソラコムは「事例から学ぶ!失敗しないIoTプロジェクトの始め方」と題したオンラインセミナーを開催した。ソラコムの伊佐政隆氏、松下享平氏のほか、エアコンプレッサー浄化装置のフィルターの交換時期をIoTで把握するというプロジェクトを手がけたJOHNANの広瀬圭一氏がプロジェクトのスタートから運用に至る経緯を丁寧に説明した。

JOHNANの広瀬圭一氏(左上)、ソラコム伊佐政隆氏(右上)、松下享平氏(下)

IoTプロジェクトで解決したい課題とは?

 最初に、同社営業部門 セールスディベロップメントチーム統括の伊佐政隆氏が、「IoTプロジェクトを取り巻く環境と課題」と題した講演を行なった。

 冒頭、伊佐氏は「IoTは、生活を変えるようなサービスに使われることが増えている。東京、大阪で見かけるようになった電動キックボードの『Luup』の鍵管理や、ソースネクストの『ポケトーク』の通信などにソラコムのIoT技術が使われている。一方で産業界にもソラコムは広く使われ始めており、人が目で見て確認していた作業を極力自動化、ロボット化したいという企業のニーズに対応している」と説明した。

 IoTは、センサー、デバイスなどの「モノ」と、クラウド上のアプリケーション、そしてそれをつなぐネットワークの3要素で構成される。「ソラコムは、IoTの『つなぐ』の部分を簡単にするサービスを提供している」と伊佐氏は説明する。加えて、ソラコムではIoTで実現したいことをわかりやすく紹介するコンテンツの提供にも力を入れている。

 次に伊佐氏は、ソラコムが「日経クロステックActive」に依頼した読者調査の結果を紹介した。それによれば、6割以上の企業がIoTプロジェクトを実施または検討していると答えた。IoTで解決したい課題は、「効率化・業務改善」「コスト削減」「事業の全体最適化、顧客サービス向上」が上位という結果だった。

IoTで解決したい課題とは?

 一方で、半数の企業がIoTプロジェクトの課題として「IoT人材の不足」「導入・運用コストの知識不足」「IoTそのものに対する知識や理解不足」が挙げられた。伊佐氏は「企業はIoT知識の習得や適切な情報を求めている。今後も成功事例をはじめとした情報の発信に力を入れていきたい」と語った。

装置メーカーが気づいた顧客の大きな負担

 続いて、JOHNAN DX推進課の広瀬圭一氏が登壇し、同社のIoTプロジェクトについて説明した。JOHNANは京都に本社を置く電子部品や業務用装置の受託製造企業である。

 同社の製品の1つに、「エアコンプレッサー専用ドレン処理装置」という機器がある。これは、環境マネジメント(ISO14001など)に取り組む企業に対して、環境負荷の低減を価値として提供する製品。具体的には、工場内のエアコンプレッサー室に設置して、コンプレッサーの排液フィルターを通して浄化する装置である。電源が不要で、ランニングコストも低いことが特徴だ。

 製品の性能を維持するためには、内蔵されているフィルターの交換が必要である。同社はこのフィルターを販売することで、ストック型のビジネスを展開している。「この機器は全国に販売されている。フィルター交換は、顧客企業が各地域の販売代理店に部品を発注し、それを当社が受注して出荷、代理店が受け取って企業で設置するという、人手と時間がかかるやりとりが必要だった」と広瀬氏は説明する

 プロジェクトを始めたきっかけは、広瀬氏が工場のエアコンプレッサーの点検をしている人をたまたま見かけたことだ。その職員は、毎日点検に回ってフィルターの状態を目視で点検し、点検簿に記録していた。「工場の端に設置された設備を巡回することは負担が大きい。なんとか遠隔で確認できないかと考えた」(広瀬氏)

プロジェクトを始めたきっかけは工場のエアコンプレッサー点検の負担

 ストック型ビジネスを行なっていながら、メーカーであるJOHNANは、顧客が使っている機器のフィルターの交換時期を把握できていなかった。そのため、基本的にはフィルターの注文が来るのを待つだけだったという。「フィルター交換率の目標は60%だが、実際の交換率は40%にとどまり、事業目標が達成できていない状況だった」(広瀬氏)

 事業部側は、少しでも交換が進むように、フィルターの交換をしていない企業に対して、「交換時期のお知らせ」という通知をしていたが、それでもなかなか交換は進まない。「抜本的に違うことをやらなければいけないと考えた」(広瀬氏)。IoTを使えば、この課題を解決できそうだと考えた広瀬氏は、フィルタ交換の自動化に関するプロジェクトの企画書を1人で作り、会社に提案した。そして、市販のIoT製品の調査からスタートした。2019年のころである。

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