超パワーなM1 Pro/M1 Max搭載のMacBook Pro登場 新型AirPodsも! 第22回
新MacBook Proレビュー
新MacBook Proは「Macノートブック」におけるプロ仕様の再定義
2022年01月03日 12時00分更新
色の再現性もコントラスとも目をみはるXDRディスプレー
新しいMacBook Proの最大の特長は、新しい「M1 Pro」「M1 Max」チップを採用したことだとしても、それに負けず劣らず重要な部分は、新しいLiquid Retina XDRディスプレーだと断言しても、異論を唱える人はまずいないだろう。このLiquid Retina XDRは、先行して新しいiPad Proに採用されていた。つまりMacBook Proが最初というわけではないが、Macの内蔵ディスプレーとしては初めてのもの。またここでもMacBook ProがiMacに先行したかたちだ。
iMac 24インチと、旧MacBook Pro 16インチモデルも含めて、現行のMacBook Pro3機種の表示に関するスペックを比較しておこう。
ディスプレーの表示品質は、もちろんこうしたスペック上の数字では表現できないが、10億色対応の表示色数、フルスクリーンの持続輝度が1000ニト、ピーク輝度が1600ニト、100万対1という想像を絶するコントラスト比など、どこを取っても圧倒的なスペックだ。実際にXDRに対応した写真や動画を初めて目にすれば、とても液晶ディスプレーとは思えないような強い色彩と、まばゆいほどのコントラストに圧倒されるはず。
このような表示品質は、新しいMacBook ProとiPad Pro、そして同じアップル製品で言えば、ディスプレー単体製品のPro Display XDRでしか実現できていない。同ディスプレーは、32インチサイズで6Kの解像度を持つとは言え、軽く50万円を超える価格となっている。それを考えれば、ディスプレーだけをとっても、新しいMacBook Proのプライスパフォーマンスの高さが分かる。
XDRディスプレーで先行するiPad ProのPro Motion機能は、この新しいMacBook Proにも引き継がれている。これによって常に最適なリフレッシュレートが自動的に選択される。これはできるだけリフレッシュレートを低くして消費電力を抑え、バッテリーの持続時間を長くするだけでなく、最大120Hzという高速のリフレッシュによるスムーズな動画再生を両立できるという効果を持つ。
また、新しいMacBook Proでは、47.95、48.00、50.00、59.94、60.00Hzという5種類の固定リフレッシュレートも選べる。これによって、さまざまな仕様のビデオ編集に対応する。
さらに、色再現範囲も含めたディスプレーの特性をプリセットとして用意している。これによって、さまざまな環境のディスプレーのエミュレーションが可能となる。まさに映像のプロ向けのディスプレーを備えたマシンと言える。
内蔵ディスプレーの見かけ上の解像度は、例によって「文字を拡大」から「デフォルト」をはさんで「スペースを拡大」まで5段階に調整できる。
各選択肢の実質的な解像度(疑似解像度)と、フルスクリーン表示のSafariで「空白」のGoogleスプレッドシートのを開いた際に表示可能なセル数を、MacBook Pro 14インチ、MacBook Pro 16インチ両モデルについて一覧表にまとめた。
MacBook Pro 14インチ、MacBook Pro 16インチモデルとも、これまでのMacBook Proになかったサイズのディスプレーというだけでなく、ピクセル密度(ドットの細かさ)でも254ppiと、歴代のディスプレー内蔵のMacの中でも最高レベルのものとなっている。そのため、各解像度モードの構成も、これまでにないものとなっているが、特に使い勝手に影響するほどではない。ちなみに、ほぼ同等の表示品質を実現しているiPad Proのピクセル密度は、11インチ、12.9インチモデルのどちらも264ppiであり、わずかながらこのMacBook Proに勝っている。
本体側面にHDMIポートを設けたことで、当然ながら外部ディスプレーも接続しやすくなっている。iPadを利用したSidecarと比べると、内蔵ディスプレーよりもサイズの大きなディスプレーも自由に接続できるのはもちろん、「拡張ディスプレー」モードでは、外部ディスプレー側の解像度も5段階に設定できるので、セットアップの自由度は高い。
たとえば、4Kディスプレーを接続した場合、外部の解像度を「文字を拡大」にすると、見かけ上の情報量は内蔵ディスプレーとほとんど同じになる。
逆に接続した4Kディスプレーの解像度を「スペースを拡大」に設定すると、広大な領域を利用可能となる。
さまざまな面で、Mac史上最高クラスのディスプレーだが、賛否両論を巻き起こした部分もある。それは他でもない、画面上の中央付近に、フロントカメラと、その動作中を示すLEDを配置するためのノッチ(切り欠き)を設けたことだ。
その部分だけ表示機能が欠落するので、これはないに越したことはない。ディスプレーのベゼルをできるだけ細くしながら、フロントカメラの配置スペースを確保するための苦肉の策と言える。
実際には、macOSの画面の上辺にはメニューバーが配置されるので、実質的には表示情報量が大きく減ることはない。ただし、メニューのタイトル数が多いアプリの場合には、ノッチを挟んでメニューが左右に分離してしまうこともある。
最近のmacOSのアプリでも、1つだけをフルスクリーンで使う場合が多いと思われるが、その際にはメニューバーが表示されない。そこで、アプリの専有領域の表示欠落を防ぐために、その際にはノッチの左右の領域も使わず、実質的にベゼルが太くなったような表示となる。
実際にベゼルの幅を計測してみたところ、メニューバーを表示する標準状態では、メニューバーの上端からディスプレーの外枠まで、ちょうど5mm程度だった。
アプリをフルスクリーンモードに切り替えると、メニューバーが消えるが、アプリの表示領域としては使われないため、ベゼルの幅は実質的に13mm近くにまで太くなる。
フルスクリーンモードでも、マウスのポインターを画面の上辺まで移動すると、一時的にメニューバーが表示される。その際のメニューバーの下端までの距離は、ディスプレーの外枠からやはり13mm弱だった。
ノッチの有無の是非は置いておくとしても、現状のフルスクリーンモードのアプリがノッチ付きディスプレーの表示領域を有効に利用できていないのは確かだ。これは主にOS側の問題だが、ノッチ付きディスプレーのフルスクリーンモードの表示方法、要素の配置については改良の余地がありそうだ。
いずれにしても、ノッチを設けたことによってベゼルの幅が細くなったのは間違いない。ノッチによって表示領域が削られたのではなく、ノッチの両側に左右に分割したメニューバーの表示領域が確保され、ベゼルが細くなった分だけ表示領域が拡張されたと解釈することも可能だろう。そう考えればノッチの存在も、必ずしもマイナス面だけではないと言える。
新しいMacBook Proのディスプレーについて、もう1つだけ述べておこう。それは、本体から開く角度が、相変わらず意外に小さいということ。現状では水平面からほぼ45度、開閉角で言えば135度といったところだ。
他社の一般的なノートパソコンでは、ディスプレーがペタッと180度まで開いたり、場合によっては360度まで開いて本体の底面と上面を背中合わせにできるものも珍しくない。ただし、そうした機種は、ほとんどがタッチパネル式の液晶ディスプレーを装備している。MacBook Proでは、相変わらずタッチパネル式のディスプレーは採用していないので、そもそもそこまで開く必要がない。開く角度が物足りないと感じる人もいるかもしれないが、これはある意味節度を保った設計と言えるだろう。
この連載の記事
-
第21回
Apple
新MacBook Pro詳細ベンチマークテストでわかったメディアエンジンの効果は絶大 -
第20回
Apple
第3世代AirPodsが「すべてを楽しむならマストバイ」なわけ -
第19回
Apple
新「MacBook Pro」高性能チップを搭載しても破格のバッテリー寿命! -
第18回
Apple
モンスターマシン! 新MacBook Proのエンタメ性能を徹底解剖 -
第17回
Apple
M1 ProとM1 MAX比較「新MacBook Pro」緊急ベンチマークテスト結果公開 -
第16回
Apple
MacBook Pro 14インチは「クリエイティブへのエントリー」レベルを大きく引き上げた -
第15回
Apple
新MacBook Pro発売開始、超強力チップ「M1 Pro」「M1 Max」搭載し大幅パワーアップ -
第14回
Apple
macOS最新バージョン「macOS 12 Monterey」正式版が配信開始 -
第13回
Apple
パワフルな音に生まれ変わった! 第3世代AirPods先行レポート -
第12回
Apple
新しいAirPods、オーディオライターが注目する「3つのポイント」 - この連載の一覧へ