このページの本文へ

開発秘話や落合陽一氏参加のセッションなど見所たっぷり

HHKB生みの親・和田英一先生を迎えて5回目のHHKBユーザーミートアップが開催!

2022年01月07日 15時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

HHKBにカーソルがあるんですか?

 続いては「~コンピュータインターフェースとしてのキーボードとインターフェースの未来~」というテーマで、東京大学大学院情報学環教授の暦本純一氏、ギリアの清水亮氏、メディアアーティストの落合陽一氏によるスペシャルトークセッションが行なわれた。ファシリテートは清水氏で、落合氏はオンライン参加となった。

 暦本氏は和田先生が「bit」という雑誌で書いていた連載を読んでおり、こだわり配列のキーボードが発売されるということで、飛びついたそう。清水氏は20代のころ、周りの人たちが使い始めて、小さいからと、ファッションで最初は手に入れたとのこと。その後、UNIXを主に使うようになるとHHKBのほうが好きになったそう。

 落合氏は学生の時から使い始めたのだが、HHKBは「持ちがよくて、割と強い」と言う。その理由が、実家が火事になったとき、HHKBが消化器の泡だらけになったそうだが、エアダスターで拭いたらそのまま使えたからだそう。ニュースになってもいいような、びっくり情報だった。ちなみに、火事の原因はリチウムポリマーバッテリーを貯めていたら爆発したとのこと。

軽妙に熱いトークを繰り広げる清水氏、暦本氏、落合氏

 HHKBのいいところ、というお題の途中で、落合氏はアルミ製の「HHKB Professional HG」について語り始めた。どっしりとした重量がいいという。「HHKB Professional HG」の販売は終了しているが、落合氏は「アップルが60万円のモニターを出しているんだから、40万円のキーボードがあってもいいはずです」としきりに再販するように推していた。

 清水氏は就職祝いに、いい時計を贈る代わりに、アルミのHHKBを贈るようになればいいと言っており、まったくの同感。これからは万年筆や時計より、HHKBが喜ばれるシーンもありそう。

 次の話題は、配列。英語配列かJIS配列かは悩ましい問題で、HHKBマニアには英語配列好きが多い。案の定、落合氏も暦本氏も生粋の英語配列使いだった。しかし、実際、HHKBユーザーの6割は日本語配列を利用している。カーソルが便利ですよね、という話になったところ、落合氏はHHKBにカーソルがあるんですか?と驚愕。本当に日本語配列を触ったことがないようだった。

HHKBが考えアフォーダンスによって構文が導かれる!?

 本題のヒューマンインターフェースの未来はどうなる?の最初で表示されたのが、大昔のタイプライター。ライティングボールというもので、小文字が打てない半球型だ。昔はキーボードの形も安定してなかったそう。

 時代は進み、静電容量タッチパネルのスマートスキン、落合氏が研究する「Fairy Lights in Femtoseconds」などが紹介された。

「Fairy Lights in Femtoseconds」は触覚フィードバックを得られる空中ユーザーインターフェース

 インターフェースが進化すると、キーボードはなくなってしまうのだろうか?

「けっこうキーボードがしぶといと思います。頭の中で入力できるようになったら、使わなくなると思います」と暦本氏。

「長く使うんじゃないですかね。ホロレンズ使う時も、HHKBです。どうせ無刻印だし関係ないかって」と落合氏。

 どちらもしばらくはキーボードが使い続けられていくと予測した。HHKBの無刻印モデルを墓石に見立てたジョークも炸裂。

「(将来)メタバースで、あの人ってキーボード使ってるらしいよ、うわー昭和ーって言われると思います。俺たちは目線でフリック入力してるのに、なんて言われたらどうしよう笑 僕は昭和のキーボード人類の最後の生き残りとして、みんなが死に絶えた後、僕は石でキーボードの墓を作ります」と落合氏。

 清水氏も「確かに、HHKBの墓石とかすごい格好いいですよ。松本部長とかどうですか笑 押すと語りかけてくるとか」と畳みかけた。

 入力インターフェースの話では、落合氏がピアニストは手袋を着けるとピアノが弾けなくなる、というエピソードを紹介。

「頭で考えているより筋肉で考えている人が結構多そうですよね。キーボードの方が考えてると思います。キーボードに導かれて書いてる」とHHKBの開発者側も考えていなかったことが飛び出てきた。

「キーボードのアフォーダンスに導かれて文章の癖が変わったりする。Macbookで書いてる時とHHKBで書いてる時、明らかに何かが違いますね。構文とかも違ってると思います」と落合氏。

「プログラムでもあるかもしれないですね。なんか止らない感じがします」と暦本氏も同意した。

「HHKBだと(キーストロークに)遊びがあるので、キーを押しながら、「いや本当にそれでいいのか、お前」と(HHKBが)語りかけてる感じが確かにするかもしれない。湾岸ミッドナイトっぽくなってきましたね笑」と清水氏。

 途中で登壇者にはHHKBEERが差し入れられ、ビールを飲みながらのトークが盛り上がった。

 最後に清水氏から、今後HHKBにどうなって欲しいか、というお題が振られた。

「個人的にはHHKBのブランドをもっと確立して欲しくて。HHKBのiPadスタンドが欲しい」(落合氏)

「真面目に言うと、分割型(のHHKB)が欲しいです」(暦本氏)

HHKBEERを飲みながら、スペシャルトークセッションは大盛り上がり

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン