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ダイキン工業と相愛がSORACOM Discovery 2021で遠隔監視IoTのメリットを披露

事例で知るIoTによる遠隔監視のメリット 法令遵守やサービス向上、コストダウンまで 

指田昌夫 編集●大谷イビサ

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高知県全土に広がる、70カ所×週2回の点検業務がゼロに

 相愛は、高知県にある総合コンサルティング会社。地質調査などの建設関連事業、観光や教育などの地域コンサルティング、木質バイオマス事業の3つを事業の柱としている。同社事業部防災地質課の須佐美俊和氏は、バイオマス事業で用いる木質ペレット燃料の販売、メンテナンスにIoTした経緯を説明した。

 同社では、施設園芸ハウス向けの暖房用ボイラーを販売しているが、その燃料である木質ペレットを、販売先の高知県内約70カ所に自社で配給している。このペレットの使用量は、外気温や利用者の設定温度によって変動し、一定ではない。

相愛 事業部 防災地質課 須佐美俊和氏

 顧客の燃料を切らしてはいけないため、同社の担当者は70カ所の顧客に対して、週に2回ずつ見回りを行なっており、大きな負担となっていた。また、ボイラー設備の異常は、顧客からの連絡がなければわからない状態だったため、素早い修理対応が難しいことも問題だった。同社ではペレットの目視確認工数の削減と、能動的なメンテナンス対応のために、IoTを活用することを決めた。

 木質ペレットは、製材所などから出たおがくずを圧縮して作った粒状の燃料で、園芸ハウス(ビニールハウス)の外部に設置した貯蔵タンクから内部のボイラーに供給される。このタンクの上部に自作のIoTデバイスを取り付け、ペレットの残量を確認するシステムを開発した。

 本システムは、現場から2つの現場データを取得している。1つはペレットの残量の実測値で、タンクの天井部分に取り付けた距離センサーで、ペレットの減り具合を測る。もう1つはボイラーの制御盤にリレーを設置し、リレーからの異常信号を取得する。

相愛のシステムでは現場から2つの現場データを取得

 この2つの情報を、ソラコムのクラウドに飛ばしている。また、通信回線は、見通しのよい平野部ではSigfox、山間部ではLTE-Mを使い分けているという。データはSORACOM Harvest、SORACOM Lagoonのサービスで可視化、通知を行なっている。「システムの自作に際して、ソラコムのブログやユーザーグループ、書籍などで情報収集し、1つ1つ仕様を決めていった。すべて、汎用部品で組み立てたというのも本システムの大きなポイントだ」(須佐美氏)

 このIoTシステムによって、同社では毎朝すべてのタンクの燃料残量を確認することができるようになった。「担当者はPCやスマホで、すべての顧客の燃料の残量を知ることができるようになり、週2回の見回りがゼロになった。また従来は残量を確認した日と、補充する日にズレが生じていたが、リアルタイムな残量データに基づいて配給計画を立てるため、少ないところを優先して回ることができるようになった。なにより、担当者が燃料切れのプレッシャーから解放され、ストレスが大幅に減ったことが成果だ」(須佐美氏)

 また異常検知機能は、SORACOM Lagoonの通知機能を使い、ボイラーに異常が起きた場合、Slackに通知を送るようになっている。これまでは、顧客が異常に気づかないケースもあったが、通知機能によって先んじて連絡することができるようになった。またサービス対応も連絡待ちではないため、1日の予定を組みやすくなったという。その結果、異常対応に充てる工数を前年度比で大幅に削減している。

「高知県のような地方で広範囲に納入先がある場合は、遠隔監視による業務改善の効果は非常に大きいと実感した」(須佐美氏)

 須佐美氏は、今回の成功の理由は、現場の近くで自作したことで、現場の課題をより速く、柔軟に解決できたことだと話した。同社では、今後は他の業務へのIoTの展開も考えているという。

 最後に須佐美氏は、IoTを始める企業に対して、「現場を持っている人が自ら作ることにメリットがある。今は、個人でも中小企業でも、IoTデバイスを自作できる環境がすでに整っている。好奇心を持ち、徹底的に情報収集すれば、モノもネットワークもクラウドも十分自作ができるので、ぜひチャレンジしてほしい」と語った。

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