2021年6月28日~7月1日まで開催されたMWC Barcelona 2021の会期に合わせ、サムスン電子とドイツテレコムは「グリーンな5Gスマートフォン」開発の戦略的パートナーシップを結んだ。サステナビリティー(持続可能性)への取り組みの一環であり、地球環境を考えた製品を共同で開発する。
両社が開発するグリーン5Gスマートフォンは、2022年にヨーロッパで発売することを目標としている。スマートフォンが故障・劣化しても容易に修理可能な設計とし、本体内部のパーツを部品ごとに交換できるようにする予定だという。現状のスマートフォン修理は基板の一部が故障しても基板全体を交換することが多いが、グリーン5Gスマートフォンは故障個所だけを修理できるものになる。
またバッテリーは交換式とし、バッテリーが劣化しても交換することで使い続けることができるようにする。これによりスマートフォンをより長い時間使い続けることができるようになり、また中古として市場に再流通した際もバッテリーが交換できれば再利用率も高められる。
サムスンとドイツテレコムは中古スマートフォンの回収や修理の協業も強化する。現在両者はドイツとポーランドで中古で回収したスマートフォンを修理して再販したり、中古スマートフォンから利用可能な部材を回収しリサイクルも行なっている。今後はこの対応国を拡大していく予定だ。
さらにはリサイクルにかかる費用の補償プログラムも開発中という。端末メーカーと通信キャリアが組むことは、消費者側も不要になった端末を手軽にリサイクルに出すことができるというメリットがある。
サムスンはすでに、家電製品のパッケージに再生可能な段ボールを利用した「エコパッケージ」の採用を進めている。エコパッケージは再利用しやすいだけではなく、パッケージにプリントされた線に沿って切断すると、段ボール製の本棚やテーブルなどを作ることもできる。また古いスマートフォンをリモートカメラや音センサーにする「Galaxy Upcycling at Home」といったプログラムも展開中だ。サムスンはサステナビリティーへの取り組みを様々な製品に広げている。
サムスンのモバイルコミュニケーションビジネス部門のマーケティングトップ兼シニアバイスプレジデントのステファン・チョイ氏は「イノベーションとサステナビリティーは排他的なものではない。ICT業界に接続可能なビジネスモデルを構築し、環境にプラスの影響を与えることをサムスンとドイツテレコムは目指している。両者のパートナーシップにより『すべての人に有益となる持続可能な未来を作り上げる』という共通の目的を達成することができるだろう」と語った。
なおヨーロッパでは2021年6月からスマートフォンや携帯電話のサステナビリティー性を評価するシステム「Eco Rating」が導入された。ドイツテレコムなどヨーロッパのキャリア6社と、サムスンなどスマートフォン・携帯電話メーカー12社が参加。「耐久性」「修理可能性」「リサイクル性」「気候効率」「資源効率」をスコア化して消費者に提示。業界を挙げて持続可能な製品の普及がこれから進められようとしている。