メルカリ、LUUP、ライナフ、日本瓦斯のSORACOM活用とは?

ソラコムが最新事例を披露 新サービス「SORACOM Arc」の破壊力

大谷イビサ 編集●ASCII

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「テクノロジーの民主化」を実現するデバイスやサポートの進化

 基調講演の後半、「テクノロジーの民主化」というテーマで講演したのはがソラコム 執行役員 プリンシパル ソフトウェアエンジニアの片山暁雄氏だ。

 ソラコムは2週間に1回のペースで新機能や機能改善をリリースしており、昨年は57回ものリリースを実現した。直近では、可視化ダッシュボードを共有できる「SORACOM Lagoon」が大幅に強化されたほか、通信機能をSIM単位でキャプチャできる「SORACOM Peek for SIM」、API呼び出してIoTデバイスにPingを使える「デバイスPing」機能などが提供されている。

 デバイスに関しては、トラッキングのシステムを容易に構築できるAndroidベースのLTE内蔵デバイス「Acty-G3 スターターキット」、CO2や温・湿度情報を定期送信できる「RS-LTECO2スターターキット」などが発表済み。昨年発表された「S+ Camera Basic」に関しては、ソニー製のイメージセンサー「IMX500」を採用した「S+ Camera Basic Smart Edition」が昨日発表。「非常に高い解像度で撮影でき、イメージセンサー自体にアルゴリズムを入れられる。従来より速いエッジの処理が実現できる」と片山氏はアピールする。

ソニー製のイメージセンサー「IMX500」を採用した「S+ Camera Basic Smart Edition」

 こうしたさまざまな製品・サービスは、IoTの敷居を下げるためのテクノロジーの民主化が思想が背後にある。コスト、デバイス、クラウドといったサービス面のほか、開発・運用ノウハウ、セキュリティ、コンプライアンスなどの敷居をいかに下げるかに取り組んでいるわけだ。

 今回発表されたのは、サポートの前に自らトラブルシューティングできる診断機能(無料)。SIMを選んで診断を行なえば、SORACOM側から通信履歴や設定の不備など、障害原因の切り分けに通じるインサイトを提示してくれる。また、API監査ログのエンタープライズオプションが追加され、操作ログを1年間分保存してくれるという。

障害原因の切り分けに便利な診断機能

 サポートに関しても、優先対応を求める声に応えて、営業時間内の優先対応や初回応答時間が保証される有償のプライオリティサポートプランを提供開始。大規模・ミッションクリティカル利用向けに「エンタープライズサポートプラン」も開始され、24時間・365日対応、電話対応、初回応答時間、障害報告書の提示、専任技術者のアサインなど、サポート内容を個別に設定できるという。

エンタープライズサポートプランも用意

 片山氏は最後にSORACOMを手軽に始められるリファレンスデバイスを紹介。事例としては、ZTVは「GPSマルチユニット」を使って、ゴルフのカートの運行状況をリアルタイムに可視化しているという。7月31日までお手頃な価格でリファレンスデバイスを試せるデバイスキャンペーンも実施されているという。 

LPG託送でDXから業界変革に進むニチガス

 続いてのテーマは、最近ますます増えてきた大企業でのSORACOM活用。玉川氏は、大企業での成功のコツとして「パッションのあるリーダーと自走型のチーム」「プラットフォームの最大活用」「パートナーエコシステムを理解している」「Fail Fastで失敗と学習を繰り返す」を挙げる。こうした大企業の案件をサポートすべく、前述したエンタープライズサポート、プロフェッショナルサービス、デバイス開発を含めたエンジニアリングサービスを拡充しているという。

 ビジネスのデジタル化や企業の変革のみならず、業界の変革までもくろむ事例としてゲスト登壇したのが日本瓦斯(ニチガス)の代表取締役社長執行役員 和田眞治氏になる。和田氏は、同社の「雲の宇宙船」というシステムをベースにした「LPG託送4.0」について説明した。

日本瓦斯 代表取締役社長 執行役員 和田眞治氏

 同社が川崎に構築した「夢の絆」は、徹底的な無人化が図られたLPGガス充填基地。顧客のガスメーターに設置されたNCUである「スペース蛍」がガスの使用量を1日1回送信しており、このデータを解析することで配送に必要なガス量を自動充填できる。ボンベを運ぶトレーラーには配送先が送信され、効率的に配送される。こうしたLPG託送4.0のガス充填の仕組みは、ニチガスのみならず、競合他社も含めた配送の共創環境として構築されているという。

徹底的な無人化が図られたLPGガス充填基地「夢の絆」

 こうしたLPG託送の仕組みを構成するのは、Sigfox/LTE-M版のスペース蛍に加え、さまざまな規格のIoTデータを統一する「ニチガスストリーム」、シェアリングエコノミー基盤である「データの道の駅」、仮想空間にLPG供託を構築する「ニチガスツイン on DL」から構成される。こうした基盤に加え、ブロックチェーン、不正監視システム、データの匿名化や整合性、互換性を保障する「X-ROAD」というセキュリティ技術を投入している。また、毎月のガス、電気、その他のサービスの使用量や請求額を一目で確認できる「MyNICHIGAS」も提供している。

LPG供託4.0を実現するシステム

 こうしたシステムの基盤としてSORACOMのネットワークが血流の役割を果たしている。また、ニチガスでは入退室管理やS+ Cameraを活用したデジタル営業所の取り組みも進めており、すべての事象がデジタル化された最先端のDX事例になっているという。

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