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IoTのお祭り「SORACOM Discovery 2021」がいよいよ開幕

ビジネスや社会の課題を解決し、新しい価値を生み出したSORACOMの事例

大谷イビサ 編集●ASCII

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食料の安定供給や環境問題など社会課題の解決を目指した4社の事例

 社会課題の解決を目指した事例を紹介したDirector of North America Salesの芹澤高志氏は「世界中の人とモノをつなげ共鳴する社会へ」というミッション、「テクノロジーの民主化」というビジョンについて改めて説明。その上で、テクノロジーイノベーションで世の中で非連続的な革新を起こし、パートナーや顧客とともに世界をよりよい場所にするように務めていると説明した。

Director of North America Sales 芹澤高志氏

 今回テーマにしたのは「持続可能な社会」をテーマにした4つの事例だ。

 1つめはなんと「ミツバチの受粉」。実は世界の食糧の90%を供給する100種類の作物のうち、約70%以上がミツバチの受粉に依存しており、「ミツバチさんは、われわれの食料の安定供給に重要や役割を果たしている」とのこと。しかし、このミツバチの受粉は危機に瀕しており、2006年に初めて確認された「コロニー崩壊症候群」ではハチのコロニーが形成されず、ハチが巣箱から逃げてしまい、受粉が成立しないという事態が起こるという。「一部のデータでは、ミツバチの受粉が行なわれないことで、年間で150億ドル以上(1.5兆円以上)の損失が出ていくと言われている」と芹澤氏は指摘する。

 この課題に取り組んでいるのが、BeeHeroになる。BeeHeroは巣箱の中にセンサーを取り付け、30以上のデータを収集・解析し、前述したコロニー崩壊症候群の予測や巣箱の配置を最適化し、受粉の質を向上するという。ここで利用されているセンサーでは、SORACOMのグローバルSIMが使われており、アメリカやイスラエルなど世界数十カ国でソリューション展開が実現している。

ミツバチの受粉を促進するBeeHero

 次の課題は二酸化炭素の排出量。こちらは「世界の二酸化炭素排出量の約6%以上がセメントの製造過程で排出されている」という課題に根ざしたもの。このデータは2007年頃のものだが、最近では8%くらいまで増えており、ますます拡大する傾向にあるという。この課題に関しては、2社が紹介された。

 1社目のCurbon Cure Technologiesはセメント製造において排出される二酸化炭素をなんとコンクリートに注入するという技術を持つ。二酸化炭素を減らすだけでなく、コンクリートの硬度を高めることもできるということでまさに一石二鳥。しかも、既存のプラントに後付けで導入できるのが大きなメリットだ。ここでは二酸化炭素の注入量などをSORACOM経由でクラウド上に送り、可視化することが可能になっているほか、システムの安定稼働を支援している。

二酸化炭素をコンクリートに注入するCurbon Cure Technologies

 2社目のEXACT Technologiesはコンクリートの打設や硬化までの状況をモニタリングするというソリューションだ。「コンクリートを打設して硬化するまでの7日の間で適切な温度管理を実現すると、コンクリートの寿命を劇的に伸ばすことができる」(芹澤氏)とのことで、従来はマニュアル・人手でやっていたが、センサーとSORACOMを用いることで適切なコンクリートの温度管理を実現しているという。

 最後の課題は水産養殖の課題。実は水産養殖はまだまだ産業として伸びしろが大きく、現在の水産消費量の100倍を生産できる可能性を秘めているという。しかし、既存の水産養殖は魚群にあわせて人手でエサをまいていたため、人的リソースが必要で、養殖ビジネスの拡大をはばむ要因にもなっていた。そんな水産養殖に向けた養殖の給餌最適化を実現するのがウミトロンという日本の会社だ。

伸びしろがすごい水産養殖

 ウミトロンは養殖場にセンサーを設置し、魚群データを収集。魚群の行動データを収集し、リモート監視による養殖の給餌の最適化を実現している。スマホからリモートでエサを与えることも可能で、魚に最適なタイミングでエサを与えることで、無駄なエサを減らし、海洋を汚すことも減る。SORACOMはウミトロンセルと呼ばれるセンサーに搭載されており、セキュアな通信を実現しているという。

 遠隔監視・操作といった典型的なIoTユースケースのみならず、業務改善や新ビジネスの創出、さらには社会課題の解決まで。SORACOMで一歩先へ進んだユーザーの活用事例が一望でき、初めてSORACOMに触れるユーザーにとってわかりやすいセッションだった。SORACOM Discovery 2021は23日・24日も開催される。

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