Samsung Portable SSDを使いこなす!

M1 Macで外付けSSDが遅いという噂は本当か?Intel Macとの比較も交えて徹底検証

文●藤田 忠 編集●北村/ASCII

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Macオンリーの環境なら「APFS」がおすすめ

 mac環境で外付けSSDを使う際に知っておきたいポイントがもうひとつある。それが外付けストレージデバイスに使うファイル形式だ。これにはexFATとAPFSがある。

 exFATは、マイクロソフトがフラッシュドライブ向けに最適化したファイルシステムで、Windowsをはじめ、macOSとLinux(2019年のLinux Kernel5.4以降)でも読み書きがサポートされており、USBメモリーやデジタルカメラのメモリーカードなどといったさまざまなデバイスのデフォルトフォーマットに採用されている。しかし、exFAT形式の外付けSSDをmacOS環境で使うと、パフォーマンスがいまひとつ伸びないことがある。

 外付けSSDで、会社や自宅のWindows PCなどとファイルのやり取りをする場合は、exFAT一択になるが、写真や動画などのデータ保管やTime Machineでのバックアップ先など、macOS環境のみで使うなら、APFSの使用をおすすめしたい。APFSはAppleが開発したファイルシステムで、フラッシュメモリーとSSDに最適化されている。APFS形式を使用した場合でも、「Samsung Portable SSD Software」のセキュリティー機能を活用できるので安心しよう。

「ディスクユーティリティ」でexFATからAPFSに再フォーマットできるが、フォーマット形式にAPFSが表示されないことも

「表示」タブの「すべてのデバイスを表示」を選択。ここではデバイスの「Samsung Portable SSD...」をクリックして「消去」をクリック

メニュー「方式:」を「マスター・ブート・レコード」から「GUIDパーティションマップ」を選択

「フォーマット:」で、「Mac OS拡張(ジャーナリング)」や「APFS」などを選べるようになる

APFS形式でも問題なく、「Samsung Portable SSD Software」のセキュリティー機能を設定、活用できる

ファイル形式の違いをチェック

 ここでは、exFATとAPFSでのパフォーマンス差をSamsung Portable SSDでチェックしてみたので、確認してほしい。

Blackmagic Disk Speed Test(単位:MB/s)
機材 M1 MacBook Air exFAT M1 MacBook Air APFS Intel MacBook Air exFAT Intel MacBook Air APFS
Read Write Read Write Read Write Read Write
X5 2572.2 1181.4 2555.3 1863.2 2368.8 2072.0 2356.1 2048.1
T7 Touch 672.0 524.9 677.9 628.3 875.4 793.5 872.7 815.2
T5 385.6 311.1 385.8 329.3 416.0 414.7 427.9 412.6

 まず「Blackmagic Disk Speed Test」の結果を見ると、APFS形式にすることでM1 Macはライト性能が向上する傾向が見られ、Thunderbolt 3インターフェースの「X5」ではM1 Mac接続時に大幅ダウンしたライトパフォーマンスが改善。Intel Macの2000MB/sec台には届かないが、1863MB/secのアクセス性能を記録している。

表のReadをグラフ化したもの

表のWriteをグラフ化したもの

 「AmorphousDiskMark」ではまた違う傾向で、Intel Macでもいまひとつ伸びていなかったシーケンシャルリード・ライトがAPFSにすることで改善し、リードに関してはメーカー公称値に迫っている。

 さらにM1 Mac、Intel Macともに数十MB/secだったランダム「RND4K QD64」のリードがAPFSにすることで劇的にアップしている。ただ、ランダムライトはM1 Macでは向上するものの、Intel Macではわずかにダウンしている。APFSのほうが総合的にパフォーマンスは良いので、積極的に使っていきたい。

「X5」でのAmorphousDiskMarkの結果(単位:MB/s)
機材 M1 MacBook Air exFAT M1 MacBook Air APFS Intel MacBook Air exFAT Intel MacBook Air APFS
Read Write Read Write Read Write Read Write
SEQ1M QD8 2376.99 815.95 2874.89 960.03 1981.69 1613.63 2615.93 2249.06
SEQ1M QD1 2395.49 820.51 2436.42 805.47 2028.37 1601.84 2010.14 1606.03
RND4K QD64 47.07 34.53 1289.88 216.97 63.32 348.56 1035.98 301.75
RND4K QD1 48.54 33.20 48.95 33.88 64.32 523.50 61.76 351.26
「T7 Touch」でのAmorphousDiskMarkの結果(単位:MB/s)
機材 M1 MacBook Air exFAT M1 MacBook Air APFS Intel MacBook Air exFAT Intel MacBook Air APFS
Read Write Read Write Read Write Read Write
SEQ1M QD8 653.93 573.28 773.75 642.42 694.03 652.64 982.79 922.46
SEQ1M QD1 654.40 577.83 654.98 559.00 691.25 644.82 677.88 665.22
RND4K QD64 23.68 13.31 128.51 33.33 23.50 157.57 201.11 133.88
RND4K QD1 23.40 13.28 19.14 12.08 23.42 178.15 21.44 144.31
「T5」でのAmorphousDiskMarkの結果(単位:MB/s)
機材 M1 MacBook Air exFAT M1 MacBook Air APFS Intel MacBook Air exFAT Intel MacBook Air APFS
Read Write Read Write Read Write Read Write
SEQ1M QD8 373.81 302.05 411.27 338.21 408.37 384.73 460.47 447.45
SEQ1M QD1 374.29 300.44 376.08 306.29 410.79 387.73 406.51 382.75
RND4K QD64 20.76 12.70 128.90 35.46 25.58 158.77 187.36 135.36
RND4K QD1 21.01 12.78 25.22 13.32 25.57 179.15 25.54 151.32

癖を把握してMacと上手く付き合っていこう

 Samsung製の外付けSSDをメインに、M1 MacとIntel Macでのパフォーマンスを見てきたが、確実に言えることは、Mac環境で外付けSSDを使う際は、M1 Macやファイル形式の違いでパフォーマンスに差が出るということ。

 解決策を示せないのは残念だが、「これ不良品?」と慌てることはなくなるだろう。あとはシーンに合わせて、ベストな外付けSSDを選んで活用するだけだ。

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