業務ハックとkintoneの相性のよさは「作って直してを繰り返せること」
オオタニ:業務ハックとkintoneの相性について、高木さんはどうお考えですか?
高木:業務ハックの相性という観点だと、kintoneは作って直してを繰り返していけるツールであることがやはり重要だと思っています。今までいろんなところで業務ハックについて話してきたのですが、今回は書籍がkintoneありきなので、「kintone前提の業務ハックってなんだ?」というテーマを考え直しました。それが前述したこの「作って直してを繰り返せるところ」です。
今回は5章で業務ハックを取り扱ったのですが、けっこう丁寧に落とし込めたかなと思います。自分たちで作って直すことで、改善の組織文化につながっていくというところは本書のポイントにもなっていくんですけど、これがまさに業務ハックとkintoneの相性のよさですよね。
オオタニ:この本だと、社内説明会でアカウントを作って、ログインしてもらうじゃないですか。このすぐに触ってみる、すぐに試してみるというのが、またクラウドっぽくっていいなあと。
高木:やっぱり触ってみる、試してみるがkintoneの醍醐味だと思うので。
沢渡:kintoneっていい意味で一人で完結できないツールなんですよ。やっぱり触ってみると欲がでてきて、プラグイン追加したいなとか、APIをたたけるようになりたいなとか、他のクラウドサービスと組み合わせたいなとか思うじゃないですか。そんなこんなでオンラインで情報収集しているうちに、知っている人に話を聞く機会ができるし、社内でも小さく作って、周りの人に試してもらうようになります。要は、お仕着せのアプリのように、導入してマニュアルを配布するだけでは完結しない世界がそこには拡がっている気がするんです。コラボレーションで物事を解決するというこれからの時代を体現しているツールなのかなと思いました。
オオタニ:なるほど。クラウドサービスって、パートナーとか、ユーザーが介在できる不完全さみたいなのが必要だと思っているのですが、その意味ではkintoneも不完全さを補っていくために、仲間作りやコラボレーションを促されるツールなのかもしれませんね。
沢渡:ITの世界でもオーケストレーションって1つのキーワードじゃないですか。複数のクラウドサービスとノウハウをいかに組み合わせて、現場や経営の課題を解決していくかですよね。単独で完結できないkintoneみたいなツールはとても今の時代にあっていると思います。
読者が一歩を踏み出す後押しになれば
オオタニ:最後に読者にお伝えしたいことをお願いします。
高木:執筆しながら、自らのkintone体験や業務ハックを思い返してきたのですが、進んできた道は本に書いた内容とまさに同じだったなと(笑)。わけわからないなーと思いながらkintoneを始め、知り合いがいないけど勉強会を立ち上げ、自信ないけどブログや勉強会で発表したりてきた経験。今回の書籍も沢渡さんのおかげで書き上げられたのですが、新たな一歩が踏みだせた感じです。
読者が一歩を踏み出す後押しになるような要素もいっぱい入れているし、一歩を踏み出した先の世界、失敗しても大丈夫であることなども書いてあります。この本を片手に、kintoneを使った業務ハックを進めてくれたら私はうれしいです。
オオタニ:意図せず、自らの成長してきた過程をなぞっていたということですね。だから、この本ってkintoneを始めたい人だけではなく、詰まっている人や取り組んでいる人も自分の立ち位置を知ることできますよね。
沢渡:主人公である一宮みさかちゃんの成長物語はリアル9割、フィクション1割で書きました。事務職でも、エンジニアでもない人が、どうやって価値を出していくかをリアルに書いていますし、組織も成長させる役割を果たすことができるんです。だから読者も主人公と自らを重ね合わせて成長につなげてほしいと思います。
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はじめてのkintone~現場のための業務ハック入門 |