メモリーを8×2のデュアルチャネルに変更でさらに高性能に、BTOカスタマイズで強化可能

薄さ約28mmとコンパクトな「mouse CT6」、Ryzen 5 4500U搭載で小型PCとは思えない性能の高さが魅力

文●宮里圭介 編集●八尋/ASCII

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「mouse CT6」

 ほぼA5サイズ、約28mmという薄さの「mouse CT6」は、CPUにRyzen 5 4500Uを搭載し、そのコンパクトなボディーからは想像できないほどパワフルに使えるのが特徴だ。前回は主にインターフェースや外観についてみてきたが、今回はその実力をチェックしていこう。

 CPUはノート向けとなるが、6コア/6スレッドというリッチな構成となっており、5年前のハイエンドデスクトップと比べても見劣りしない。また、Ryzen 5 4500Uの魅力はCPUだけでなく、内蔵GPUも高性能だという点がある。どのくらいの性能なのか、いくつかのベンチマークソフトでチェックしていこう。

前面。ヘアライン加工が施されており、リビングなどに溶け込むようにデザインされている

背面も同様ヘアライン加工で仕上げてある

mouse CT6の主なスペック
CPU AMD「Ryzen 5 4500U」
   (6コア/6スレッド、2.3~4.0GHz)
グラフィックス AMD Radeon グラフィックス
(6コア、1500MHz)
メモリー 8GB
ストレージ 256GB SSD(M.2/SATA)
通信規格 無線LAN(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax)、Bluetooth 5
インターフェース HDMI出力、D-Sub 15ピン、USB 3.0 Type-C、USB 3.0 Type-A×2、USB 2.0×2、マルチカードリーダー、ギガビットLAN、ヘッドフォン出力、マイク入力
サイズ/重量 およそ幅28×奥行150×高さ194mm/約749g(スタンド装着時)
OS Microsoft「Windows 10 Home」(64ビット)

まずは標準構成となるメモリー8GBで性能チェック

 標準構成のスペックは前述のとおり、Ryzen 5 4500U、8GBメモリー、256GB SSDというものだ。Officeソフトでの書類作成、ウェブブラウジング、動画を楽しむ、ちょっとした写真現像に使うといった用途であればそのままでも十分活躍してくれるだけのポテンシャルがある。

「HWiNFO」を使い、CPUとGPUの情報をチェック。「Ryzen 5 4500U」は6コア/6スレッドのZen2と、6コアのRadeon Graphicsを組み合わせたモデルとなる

 いくつかのベンチマークソフトで、その性能の一端を見ていこう。使用したソフトは、総合ベンチマークの「PCMark 10」、CPU性能ベンチマークの「CINEBENCH R23」、3Dグラフィック性能ベンチマークの「3DMark」、ゲーム性能ベンチマークの「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(FFXIVベンチ)、そしてストレージベンチマークの「CrystalDiskMark」の5種類だ。なお、3DMarkはDirectX 11の「Fire Strike」、DirectX 12の「Time Spy」の2つのテストを行なった。順に結果を見ていこう。

「PCMark 10」のスコアは4447。タワー型デスクトップと比べてしまえば少し見劣りするものの、小型PCとは思えない性能を叩き出している

「CINEBENCH R23」のスコアは、マルチスレッドのCPUが5354pts、シングルスレッドのCPU(Single Core)が1176pts。5年前くらいのハイエンドPCに迫る実力がある

「3DMark」のうち、DirectX 11のテストとなるFire Strike。スコアは1774で評価は「Good」となっているが、Radeon内蔵という割には低め

「3DMark」のうち、DirectX 12のテストとなるTime Spy。スコアは704で評価は「Good」だが、こちらも高いとはいえない結果となっていた

「FFXIVベンチ」は、1920×1080、最高品質、フルスクリーンで実行。スコアは1455で評価は「設定変更が必要」と、厳しいものに

「CrystalDiskMark」(8.0.1)によるストレージ性能は、シーケンシャルでリード約490MB/秒、ライト約490MB/秒。SATA接続なので超高速ではないが、ストレスを感じるほど遅くはない

 全体的の性能を見ると、小型パソコンとしてかなり高性能で、4K動画編集などのかなり重たい処理を行なうのでなければ、とくに不満もなく使えるだけの性能があるということがわかる。

 とはいえ、いくつか気になる部分もある。とくに気になったのがグラフィック性能で、3DMarkはもちろん、FF14ベンチの結果も振るわないものとなっていた。ゲームをしないのであれば気にしなくてもいい部分だが、AMDのCPUは内蔵グラフィック性能が高いのもウリだけに、期待していた人にとっては少々拍子抜けしてしまう結果だ。

 実はこれには理由がある。先にチェックした「HWiNFO」のメモリー情報部分をもう一度よく見てほしい。

メモリー情報の部分をよく見ると、「Single-Channel」と書かれているのがわかる

   標準構成はメモリーが8GBとなっているが、実は8GB×1枚での構成となっている。そのため帯域は2枚同時に使うデュアルチャネルの半分にしかないのだ。

 一般的なCPU処理だけであれば、シングルチャネルでもそれほど性能低下はないのだが、内蔵GPUはグラフィック用のメモリーとしてメインメモリーの一部を使用するため、帯域が狭ければそれだけ性能が発揮できなくなる。

 そこで、手元にあった8GBのメモリーを追加し、8GB×2枚の構成へと変更してベンチを取り直してみた。なお、追加したメモリーの速度はDDR4-19200。標準搭載はDDR4-21300となるため、速度面では若干低下している。

手元にあった8GBのメモリーを追加し、8GB×2の合計16GB構成へと変更。性能がどのくらい変化するかチェックした

メモリーを追加し、8GB×2枚構成での性能をチェック

 条件などはまったく同じで、8GB×2枚でのベンチマーク結果を見ていこう。ただし、ストレージ速度はほぼ変化がなかったため割愛している。

「PCMark 10」のスコアは4447から4702へとアップ。全体的にスコアが微増しており、3D性能だけでなく純粋な描画性能も若干ながら向上していそうだ

「CINEBENCH R23」のスコアは、マルチスレッドのCPUが5354ptsから5343ptsへ、シングルスレッドのCPU(Single Core)が1176ptsから1165ptsへ変化。メモリー速度が低下している影響かわずかに下がっているが、誤差の範囲だろう

「3DMark」のFire Strikeでは、スコアが1774から2701へと大幅アップ。評価は「Excellent」となり、Radeonの実力が発揮されていることがわかる

「3DMark」のTime Spyもスコアは704から1020へとアップ。メモリー帯域の狭さが足を引っ張っていたのは確実だ

「FFXIVベンチ」のスコアは1455から2380へ。評価も「普通」になっており、軽めのゲームならフルHDで何とか遊べるレベルへと変化

 合計のメモリー容量が2倍になっているためその影響もあるにしても、とくに3DMarkとFFXIVベンチのスコアアップは大きい。また、グラフィック全般の性能が底上げされるため、いくらCPU性能への影響はほとんどないとはいえ、メモリーをデュアルチャネル構成にしておかない理由はないだろう。

 標準構成のままでも十分実用的な性能ではあるものの、メモリーをデュアルチャンネルにするとさらに高速化するだけに、最初からこの構成で購入するのがオススメだ。店頭販売モデルと違い、直販BTOパソコンは最初から自分好みのスペックへと変更できるのが最大の魅力。加えて、mouse CT6は通常のタワー型パソコンと異なり後からスペックを強化したりすることが前提にはなっていないため、今回のように自分でメモリーを補強する場合は保証外となる可能性も高く、注意が必要。心配なら、最初からBTOで追加しておくことをオススメしたい。

 メモリーは標準の8GB×1枚だけでなく、4GB×2枚~32GB×2枚まで選べるので、必要な容量へとアップしておくといいだろう。最近はソフトのメモリー使用量が増えているだけに、合計16GB以上にしておくのが安心だ。

 また、ストレージを高速化すると体感速度が向上するため、SSDもなるべく高速なものを選んでおくと満足感が高くなる。速度を重視するならSATA接続ではなく、NVMe対応のPCIe接続のものがオススメだ。容量も256GB~1TBまで選択可能できる。

リビング用パソコンや自分専用パソコンにオススメ

 コンパクトでもしっかりと使える性能があり、カスタマイズ次第でさらに性能を高められる「mouse CT6」。タワー型は置き場所がないと考えている人はもちろん、仕事や勉強で自分専用・子供専用PCを探しているという人にピッタリな1台といえる。