東京都 戦略政策情報推進本部 次世代通信推進課です。
戦略政策情報推進本部は、東京の成長戦略やICT利活用の更なる推進のため、2019年(平成31年)4月に新たに設置された組織です。その中で、次世代通信推進課は、TOKYO Data Highwayの構築を推進し、いつでも、誰でも、どこでも「つながる東京」の実現に向け、取り組んでいます。
都民の皆様がどこにいてもサクサクつながる環境を構築するため、全国初となる5Gアンテナ基地局を搭載するスマートポールの試行設置や通信事業者が5Gアンテナ基地局を設置しやすいように、行政財産を開放するなど様々な取組みを展開しています。こうした日々の取組みを都民の皆様に情報発信していきます。
今回は、5G整備促進のお話です。
突然ですが、「アセットデータベース(以下アセットDB)」をご存じですか?
このブログをご覧いただいている方にはあまり馴染みのないものかと思いますが、我々次世代通信推進課が携わる5Gの整備促進を図る上でとても重要なものなので、今回ご紹介させていただきます。
はじめに~アセットDBとは?
以前このブログでもお伝えしたとおり、5Gは4Gに比べて電波の届く距離が短く、たくさんのアンテナ基地局が必要となります。そこで、都は、アンテナ基地局を設置できる場所を提供するため、都が保有している土地、建物に加え、街路灯やバス停などの工作物の情報を公開しています(これを「アセット開放」と呼んでいます)。開放されているアセットは、データベース(csvファイル)としてウェブサイト上 (URL:https://www.senryaku.metro.tokyo.lg.jp/tokyodatahighway/assetdb.html )に掲載しています。これがアセットDBです。
このDBには、5Gアンテナ基地局設置を検討するに当たり、まず必要となる所在地や面積・高さなどのアセットの情報が掲載されています。通信キャリアはこれを見ることで、どのアセットにアンテナ基地局を設置するか検討を始めることができるのです。
工作物の開放件数が少ない?
このアセットDB、2020年9月18日現在で1万5189件ものアセットが掲載されており、その内訳は土地と建物合わせて1万5089件、街路灯やバス停などの工作物は100件となっております。
工作物が少なく見えますが、これは、工作物が元々アンテナのような重量のあるものを備え付ける想定をして作られていないことや、膨大な数があること、たとえば一口に「街路灯」と言っても様々な形状・仕様・経年の度合いがあることなどから、一気に都内全域で開放することが困難なためです。そこで、現在我々次世代通信推進課でターゲットエリアを選定・限定して、東京都各局にアセットのリストアップをお願いしています。また、工作物の種類に応じた設置方法を検討するなど、アンテナ設置に向けた進め方を通信キャリアの意見を聞きながら、推進しているところです。
担当者にインタビュー ~アセットDBの改善~
今回、このブログでアセットDBを紹介することとなりましたので、現在この管理を担当している都庁職員にインタビューをしてみました。
Q:アセットDB管理に当たって、どんな仕事をしているのでしょうか?
A:新しいアセットが開放されるたび、HP上のアセットDBを更新しています。また、アセットDBがより使いやすいものになるよう、適宜内容を改善しています。
Q:アセットDBを改善しているとのことですが、具体的な事例を教えてください。
A:最近の話ですと、アセットDB上の所在地情報の改善に取り組んでいます。各アセットの所在地は、アセットDBの基礎となった東京都の公有財産台帳と同じ地番表示で掲載しているのですが、これでは正確な位置の特定が難しく、設計の際に困っていると通信キャリアの方からお声をいただきました。そこで、より正確な位置を示す緯度経度情報をDB上に掲載することとしました。
Q:利用者である通信キャリアの方の声を反映した取組だったのですね!
A:はい。これによって、各アセットの位置を一括して地図に取り込むことが可能になりますので、通信キャリアの方が早く正確に設計をすることの手助けになればよいと考えています。現在は、工作物100件についてのみ緯度経度情報を公開していますが、近いうちにほぼ全てのアセットに付与したいと考えています。
Q:なるほど!ほかにも印象に残った仕事はありますか?
A:思い出深いのは、アセットDBの台帳番号を付与しなおしたことです。元々アセットDBの台帳番号は、東京都の公有財産台帳の番号をそのまま使用していました。ところが、新たにアセットを開放していくうちに、公有財産台帳に掲載されていないアセットが登場しました(例:一部工作物や、政策連携団体のアセットなど)。これらのアセットには新規に番号を付与する必要がありましたが、この番号は各アセット固有のものになるので、正確に管理するため、決して重複してはいけません。そこで、当時の台帳番号を見直し、将来にわたっても重複しないような規則性を考えた上で、アセットに番号を付与しなおしました。
Q:大変な作業を行っていたのですね…。
A:その甲斐あって、現在は番号に基づいた正確な管理が行なえていると思っています。
いかがだったでしょうか?「次世代通信推進課」というと、前例のない最先端 の取組をしている部署との印象を受けるかもしれません。しかしながら、前例がない中では、試行錯誤で地道な作業を積み上げていくことも重要だと感じました。
終わりに
繰り返しになりますが、アセットDBは通信キャリアが都のアセットへアンテナ基地局設置を検討するにあたり、まずはじめに確認する大事なものです。5G整備促進に向け、これからもアセットDBの管理・改善を頑張っていきたいと思います!
◆この記事は、下記より転載しています
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