月額3万円からで小規模導入も容易に、マルチOCRエンジンや異種混在帳票の一括処理などの特徴
キヤノンMJ、手書き帳票AI OCR「CaptureBrain」でSaaS版も提供開始
2020年10月20日 10時00分更新
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)とキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は2020年10月20日、手書き帳票の読み取り処理を行うクラウド型AI OCRソリューションの新版「CaptureBrain Ver.2.0」を発表した。新たに利用料金が月額3万円(税抜)からのSaaS版(マルチテナント型)もラインアップし、小規模な導入にも対応した。また、汎用型OCRエンジンと目的特化型エンジンの組み合わせ機能、顧客作成辞書に基づく読み取り結果の自動補正機能なども追加され、読み取り精度をさらに高めている。
キヤノンITSが開発するCaptureBrainは、定型手書き帳票向けのクラウド型AI OCRソリューション。帳票のスキャンデータをクラウドにアップロードするだけで、その内容を自動的にOCR処理し、テキストデータとして出力する。OCR処理前の画像に独自の補正技術を適用することで、高精度な読み取りが可能。また複数種の帳票フォーマットが混在している場合でも、あらかじめ各帳票のサンプルを登録しておくことで、帳票の種類を自動判別して適切に処理することができる。
同ソリューションでは2019年5月に発表した初版から、高精度な手書き認識AI OCRエンジンとしてCogent Labs(コージェントラボ)の「Tegaki」を採用している。加えて今回は、金額特化型/活字特化型/チェックボックス特化型といった異種OCRエンジンも組み合わせて読み取り処理を行う、マルチエンジン構成に対応している。サンプル帳票の登録時に、ユーザーがGUIで各項目に適用するエンジンを設定することができる。
さらに「商品名」や「支店名」「担当者名」など、ユーザーが作成する単語辞書を用いてOCR結果を自動補正する機能も追加された。辞書補正が設定されている部分は、読み取り結果を担当者が確認修正するインタフェースで類似度の高い辞書登録単語が選択できるため、入力の手間も削減される。
これまでCaptureBrainは、顧客要件に応じたカスタマイズのできるシングルテナント構成でのみ提供してきたが、今回新たにマルチテナント型のSaaS版も提供を開始している。SaaS版は月間の読み取り項目数(エントリー数)に応じてSmall/Medium/Enterpriseの3プランが用意されており、Smallプランの月額費用は3万円(税抜)とスモールスタートがしやすい価格設定となっている(別途、初期費用20万円がかかる)。
両社ではAI OCR処理サービスだけでなく、スキャナー/複合機のデバイスからドキュメント管理までのソリューションをトータルに構築できる点をキヤノングループならではの強みと考えており、そうした顧客提案も積極的に行っていく方針。2022年までに、CaptureBrainを活用したOCRソリューションビジネス全体で売上高20億円を目指す。