映えるSNS投稿が思い出作りになる
「インターネットミーム」という言葉をご存知だろうか。「ミーム(meme)」とは通常、模倣やモノマネという意味だ。つまり、インターネットやSNSなどを通じて模倣されながら拡散されていくもののこと。多くの人が見かけたことはあるのではないか。
SNSトレンドとZ世代インサイトの研究機関「memedays(ミームデイズ)」の「10代女性のSNS利用実態」(2020年9月)を見てみよう。
Z世代(1990年代後半~2000年生まれ)女性がSNSに投稿する目的は、「思い出の記録」(49.9%)、「推しの応援」(38.7%)、「日常の記録」(37.7%)など。記録や応援を工夫して価値あるものにすること(memedaysのいう「SNSミーム」)は、InstagramやTikTokにおける投稿アイデアとして広がっている。
思い出の記録としては「透明トレカ」(100円で買えるラミネートで思い出の写真をトレカにする)や「体育祭うちわ」(SNOW自撮りやZEPETOアバターなどをプリントし、名前やInstagramアカウント名を添える)。推しの応援としては「アクスタ」(お出かけできず使えていない服やコスメと一緒に物撮り)。日常の記録として「フィルターメイク」(顔面にシールを貼ったりコスメで雲を描くなどのフィルターのような特別感を出す)などがある。

スマホアプリで加工した写真を利用する「#体育祭うちわ」

推しが印刷されたアクリルスタンドと一緒に物撮りする「#アクスタ」
映えるSNS投稿は「思い出作り」
Z世代では、なんと69.7%と約7割がSNSミームを投稿したことがある。具体的には、「推しの公式グッズ」(40.4%)、かわいいミラーを使ったミラーセルフィー「鏡越し」(14.1%)、「ダルゴナコーヒー」(14.1%)、応援するアイドルのメンバーカラーを意識した「推し色アイテム」(13.9%)、「あつ森」(12.6%)などだ。
投稿した理由は、1位「かわいいから」(52.5%)、2位「自分の趣味だから」(48.1%)、3位「映えるから」(36.6%)、4位の「思い出を作りたいから」(30.6%)、5位が「推しを応援したいから」(30.3%)となった。
コロナ禍で、多くのリアルイベントがなくなってしまった。そんななかでも、Z世代にとっては、映えるSNSミームをSNSに投稿すること自体が思い出作りとなっているのだ。他の世代とは違い、SNSに記録することで思い出に刻まれる世代というわけだ。
「正直普段から、映える写真が撮りたくて何かをすることは多いと思う。映える写真が撮れたときは楽しいと思える。後で見返したときにも楽しく見えるし、みんなにもそう思ってもらえるからかな」とある女子高生は映える写真にこだわる理由を教えてくれた。
大人世代も見習ってみると、日常が違う視点で見られるようになるかもしれない。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki

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