LINE Payは10月6日、金融機関向けに、銀行口座保有者の継続的な顧客管理としての確認をLINE上で可能にすると発表。2021年夏頃をめどにサービスを開始する予定としている。
金融口座悪用対策の一環として、金融機関には、銀行口座の利用者が口座開設時に本人確認をした名義人と同一人物であるかを定期的に確認する継続的顧客管理が求められている。この手続きは主に郵送物で行なわれ、金融機関にとって制作や配送などの費用が負担になっており、口座保有者にとっては、書類の記入や返送対応の煩わしさから開封・返送されにくく、重要な手続きにも関わらずハードルとなっているという。
特に、犯罪収益移転防止法施行前の口座開設者については、現在の基準に即した本人確認を行なうことで口座利用の透明性や安全性が保たれる。今冬「FATF(The Financial Action Task Force:マネーロンダリング対策のための政府間会合)」からの勧告も想定されており、金融機関の確認対象増加に伴って、継続的な顧客確認業務の効率化は経営課題となり得るという。
そこで、LINE PayとLINE CLOVAは、LINE Payのオンライン本人確認(e-KYC)サービスなどを応用し、継続的な顧客確認をLINE公式アカウント上で実施できる仕組みを提供する。LINE Payが金融機関から委託を受けて対象顧客に対する本人確認依頼の通知、トーク画面内での本人確認を行ない、通知や本人確認の結果を金融機関へフィードバックするもの。
トークのやりとりや本人確認はLINE CLOVAが提供するAI技術等により実現するという。なお、この手続き内での本人確認前に、金融機関のインターネットバンキングログインなどを用いた本人認証も併用することでなりすまし犯罪などを防止する。口座保有者の継続的な顧客確認を完全にオンライン化し、金融機関のオペレーションのDXを目指す。
また、金融機関は、本手続きをきっかけに開設したLINE公式アカウントを用いて、本人確認後の顧客への金融商品の案内や住所変更などの諸手続きをLINEで実施することも可能になり、バックヤード業務の効率化や、プロモーションの最適化にも活用できるとしている。将来的には、金融以外の領域における様々な認証や簡単な申請、来店予約などの諸手続きをLINE上でセキュアに行なうことを目指す。
LINE Payでは今後の注力事業として、本人確認機能の提供プラットフォーム「LINE ID Passport」構想を掲げている。本人確認が必須となる金融領域をはじめ、e-KYCや、今後マイナンバーカードを用いたJPKIによる認証にも対応するなど、LINE IDを基盤にした決済・本人確認機能を提供していくという。