三菱電機が「空気マネジメント」説明会を開催
三菱電機が「ニューノーマル時代の空気マネジメント」というテーマで説明会を実施した。
説明会はオンラインで開催。まず、三菱電機 住環境研究開発センター 古橋 拓也氏が登壇し、「コロナ禍で住宅の『換気』や『空気清浄』に注目が集まる中、自宅用の換気扇やルームエアコンを扱うメーカーとして、伝えるべきことを紹介するために開催した」と話した。
気を付けて情報収集をしていないと、なかなか知る機会のない貴重な知識が多数披露された。同社の説明会より、今日からすぐに生活に役立てられる換気と空気清浄のポイントを、抜粋して紹介したい。
「換気」と「空気清浄」の秘密その1
〜換気と空気清浄は別物!〜
「換気」と「空気清浄」はイメージとしては似ているが、性質が異なる。換気は室内の空気と室外の空気を入れ替えるため、室内の二酸化炭素や、有害な物質も外に逃すことができる。しかし、熱や冷気も同時に逃してしまうというデメリットもある。
空気清浄は部屋を閉め切ったままで空気を清浄化するが、その度合いは空気清浄機の集塵作用に依存し、換気のように、空気をキレイにするものではない。
双方にメリットとデメリットがあるため、その性質を知り、使い分けることがポイントになりそうだ。
「換気」と「空気清浄」の秘密その2
〜窓の開け方で換気効率は変わる!〜
換気の際は、窓を対角線状に開けると最も効果が高い。ただし、対角線状に開けることが難しくても、効率は落ちるものの、気流によって換気はされる。また、換気扇で強制的に換気するのも、窓を対角線状に開けたときと同じくらい効果が高いという。
ただし、換気扇に汚れが詰まっていたり、住宅に備え付けられている吸気口がホコリで詰まっていると、空気の出入口がふさがることにつながり、正しく換気できなくなる。空気の通り道をいつでもキレイにしておくことが重要だ。
「換気」と「空気清浄」の秘密その3
〜換気には、実は種類がある!〜
日本では、2003年6月から、住宅への換気設備の設置が法律で義務付けられている。吸気口から外気を取り込んで、トイレや浴室から排気している構造を持つ住宅が多い。
住宅を購入したことのある人や、不動産関係者はよく知っているかもしれないが、換気には、第1種換気から第3種換気までの3種類がある。第1種換気は「吸気と排気の両方が換気扇」で、第2種換気は「吸気が換気扇、排気が自然排気」を意味する。そして第3種換気は、「吸気は自然吸気で、排気が換気扇」だ。
換気の効率や結露のしにくさ、室内の正圧の維持など、種類ごとに特徴がある。だが、戸建て、集合住宅を問わず、最も効率的で、確実に換気ができるのは、吸気と排気の両方に換気扇を用いる第1種換気であるという。
住宅を借りる際や、購入する際は、気をつけて確認しておきたいポイントだ。
「換気」と「空気清浄」の秘密その4
〜秋冬の換気は注意が必要!〜
説明会では、WHOが2018年に出したガイドが参照された。これによれば、安全でバランスがとれ、住民の健康にもいい室温は18℃であるという。
特に冬は、窓を開けると冷気が一気に入ってしまうため、暖房器具と併用しながらの換気が望ましいとした。換気中もエアコンを付けておくことで、気流を生み、換気の効率アップにもつながるそうだ。
また、寒い時期は、暖気が室内の上に滞留する。この性質を利用し、サーキュレーターを斜め上、窓の方向へ向けると、すばやく換気できる。短時間での空気の入れ替わり量が多くなり、冷気は入りやすくなるが、結果的には換気をする時間も短くなり、効率的であるという。
空気マネジメントの重要性とは?
古橋 拓也氏は、厚生労働省が換気の重要性、また、空気清浄機の併用もすすめていることに触れた。
換気の悪い密閉空間は新型コロナウイルスへの感染リスクを高める可能性があるため、日中は積極的な換気が求められるが、これは街の至るところで実施されているのを目にする機会も多いはずだ。自宅での換気にも、今回の三菱電機の説明を実践し、役立てよう。
また、空気清浄機は完全に空気を入れ替えるわけではないため、換気とは効果が異なることに触れつつ、換気がむずかしい空間や、補助的に利用するのに有効だとされている。
同社の説明によれば、中でも厚生労働省がすすめているのは「HEPAフィルター」と呼ばれるフィルターを搭載しているフィルターだという。
これは、大きさが0.3マイクロメートルの粒子に対し、99.97%以上の粒子捕集率を有するフィルターとJIS規格で定められており、クリーンルームの空気清浄システムのメインのフィルターにも用いられるものだ。