業務を変えるkintoneユーザー事例 第85回
リアランはkintoneを使って全社で情報共有、処理スピードを大幅アップ
社員12人で1万人のグループ会社に対応しなきゃいけなくなった件
2020年07月29日 09時00分更新
企業の成長は喜ばしい反面、業務の増加という痛みを伴う。急成長の場合、その痛みをいかに減らしていくかを考えなければ、現場は疲弊してしまう。kintone hive matsuyama 2020に登壇したリアランは、2018年に九電工グループ傘下となり、12人の社員で1万人を超えるグループ企業に対応しなければならなくなった。商流、販売数の急激な増加に対応できたのは、kintoneのおかげだという。
九電工グループ傘下に入り商流が増え、案件への問い合わせ激増に備えることに
リアランは、愛媛県今治市に本社を置く照明器具メーカー。2020年6月で創業から10周年を迎える。主力商品は割れないLED直管ランプなどで、当初は販売代理店を通じてエンドユーザーに提供していた。転機となったのは2018年8月、九電工グループ傘下に入ったときだった。
九電工はいわゆる「サブコン」と呼ばれる企業で、電気設備工事を中心とした総合設備業を営んでいる。その施工現場に、リアランの照明器具が使われることになったのだ。九電工グループから見てリアランは、施工性の高い照明器具を提供してくれるメーカーであり、リアランから見て九電工グループは新たな商流のひとつとなった。当時の衝撃を、リアランの越智 舞氏は次のように語った。
「商流がひとつ増えたというのは喜ばしいことですが、九電工グループには1万人以上の従業員がいます。取引先が一気に何倍にも増えるようなものですから、12人で1万人に対応できるのだろうかという不安がありました」(越智氏)
それまでのリアランでは、各自がそれぞれに案件情報を管理していた。その手法はExcelだったりメールだったり、ときには紙のメモだったりした。情報管理が属人化していたので、担当者が不在の際は対応が滞った。1万人規模の会社を相手にできる体制ではなかったため、九電工グループ入りまでに対策が求められた。
「何か手を打たなければと考えていたとき、社長がサイボウズのセミナーに参加して知ったのがkintoneでした。一番の魅力は、自分たちでカスタマイズできるシステムであること。急激に変化しているときなので、システムにも柔軟性が求められたのです」(越智氏)
4つのゴールを達成するためにkintoneアプリにこらした工夫の数々
2018年2月、リアランでkintone利用が始まった。目指したのは、全社で使えるメインシステムの構築だ。ゴールは大きく4つあった。あらゆるデータの保管場所を定めること。情報を整理して記録、保存すること。部署を超えて状況がわかるようにすること。そしてもうひとつは、これまでできなかった新しいことにチャレンジすることだ。
業務に必要なあらゆるデータを、保管場所を決めてkintoneで管理する。製品カタログ、取扱説明書、図面に価格表、各種フォーマットなど、すべてをkintoneで管理するようにした。バージョン管理もしやすくなり、すぐに最新版を見つけられる。
個人が管理していた案件情報も、整理してkintoneに記録、保存することにした。建設業界の案件は、提案から結果が出るまでの期間が長い。途中にどのような問い合わせがありどのように対応したのかkintoneに記録しておけば、案件に社員全員で対応できる。
かつては個人がデータを抱え込んでいたほどなので、部署を超えた情報共有にはほど遠い状況だった。しかし、社員全員がすべてのkintoneアプリを見られるようにしたことで、他部署の状況も把握できるようになる。
「もうひとつのゴール、これまでできなかった新しいことへのチャレンジは、kintoneを使うことで見えてくるものや、kintoneが新しい何かを始めるきっかけになることに期待していました」(越智氏)
これら4つのゴールを達成するためには、社員全員がkintoneを使いこなさなければならない。そこで導入にあたり、いくつかの工夫をこらした。トップ画面では、大きめのアイコンでアプリをアピール。アイコンの配置でアプリを覚えている人もいるというほど、わかりやすく並べられている。さらにアプリ内では、色を使ったアピールも行なわれている。
越智さんが一例として紹介したのは、製品サンプル管理アプリ。それぞれの製品が在庫されているか、貸し出し中か、もしくは販売済みなのか、一覧表の当該項目の背景を色分けし、ひと目でわかるようにしてある。見落としや入力忘れがないよう、リマインダーやポップアップも活用しているとのこと。
「こうした工夫は、kintone操作中の不要な時間をなくし、ミスも減らしたいと思って行なったものです。kintoneでの入力操作に無駄に時間をかけることなく、本来やりたいことに時間を使ってもらいたいと思っています。またこれとは別に、kintoneに興味をもってもらうための工夫もしています」(越智氏)
面白さを感じてもらい、kintoneに興味をもってもらいたいと思って施された工夫、それはスペースを活用した情報共有だ。ひとつは、自社製品の施工現場写真集。どのような部屋で、どのように自社製品が使われているのかを知ることができる。もうひとつは、展示会情報を共有するスペース。どこでどのような展示会があったという報告だけではなく、展示会ごとにスレッドを立て、展示会の準備段階からどのようなことに取り組んでいるか公開している。部署を超えた情報共有になるうえ、過去の展示会における課題とその解決方法が、次の展示会のノウハウとなる。
「これらはいずれも、自分たちの仕事への達成感を得るのは目的です。案件や計画の情報を共有することで達成感を感じ、さらによくするにはどうすればいいかと考えるきっかけにもなればと考えています」(越智氏)
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