最新の高性能XT CPUでも確かな静音性を確認!
Ryzen 9 3900XT搭載でアイドル時はほぼ無音(!?)の「Silent-Master NEO B550A」
2020年07月28日 19時00分更新
昨年リニューアルされ、その静音性の高さから人気モデルになっているのが「Silent Master NEO」。静音PCを名乗るからにはどのくらい静かなのか明確に示したい、という考えから、実際に無響室を借りて、独自に騒音値の計測まで行なったというこだわりのモデルだ。この結果はSilent Master NEOの製品ページで公開されており、誰もが確認可能。それだけ、サイコムがSilent Master NEOに自信をもっている証拠だろう。
静音PCの難しいところは、静音性を求めると性能が上げられず、性能を求めると騒音が大きくなってしまう点だ。性能と静音のバランスをどうするのか、静音パーツはどれがいいのか、どんな組み方をすると効果的なのかといったノウハウが重要となるが、こういった部分はサイコムの膨大な経験値がものをいう。大げさな言い方ではなく、サイコムにしか作れない静音PCが、この「Silent Master NEO」なのだ。
今回試用したのは、最新のB550チップセットを搭載したAMDモデル「Silent-Master NEO B550A」。これに、つい先日登場したばかりの「Ryzen 9 3900XT」、そして同じAMDのGPUである「Radeon RX 5700 XT」を搭載したハイスペック構成のモデルだ。
ハイスペックということはそれだけ温度が高くなり、冷却するためのファンの騒音も大きくなりやすいということ。このモデルを使い、性能や静音性、そして温度がどう変化するかを検証していこう。
試用機の主なスペック | |
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機種名 | Silent-Master NEO B550A |
CPU | Ryzen 9 3900XT (12コア/24スレッド、3.8GHz~4.7GHz) |
CPUクーラー | Noctua NH-U12S |
グラフィックス | MSI Radeon RX5700XT EVOKE OC (Radeon RX 5700 XT) |
メモリー | 32GB(16GB×2、DDR4-3200) |
ストレージ | Crucial CT500MX500SSD1(500GB、SATA接続) |
マザーボード | ASRock B550 Steel Legend (AMD B550チップセット) |
PCケース | CoolerMaster Silencio S600 |
電源 | CoolerMaster V650 Gold MPY-6501-AFAAGV-JP (650W、80PLUS Gold) |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
静音の要ともいえるケースは「Silencio S600」を採用
騒音を小さくするポイントは大きく2つあり、1つはファンなどから出る騒音そのものを小さくすること。これは静音ファンを選ぶ、ファンの数を減らす、HDDではなくSSDを搭載する、といったパーツ構成の違いによって実現するものだ。
これに対して、どんな構成でも騒音を小さくできるのが、内部の騒音を外部に漏らさない方法。つまり、ケースによる静音化となる。
「Silent-Master NEO B550A」が採用しているケースは、CoolerMasterの「Silencio S600」。静音性を重視して作られているケースだけあって、色々な工夫が凝らされている。そのいくつかを紹介しよう。
まず注目したいのが、フロント部分の構造だ。吸気口はフロントカバーによって覆われ、騒音が直接耳に届かないという構造になっているだけでなく、さらに内側には遮音材が貼られ、漏れ出る騒音を極力小さくしてくれているのだ。
また、吸気ファンには140mmと大型のものを採用。ファンは大きいほど風量が確保できるため、低回転でもしっかりと外気を取り込めるというのが魅力だ。なおこのファンは、静音ファンとして定評あるNoctua製。標準装備のファンではなく、より静かになるよう換装しているあたりに、性能を重視するサイコムの姿勢が表れている。
遮音材はフロントカバーだけではなく、サイドパネルの内側にもしっかりと貼られている。サイドパネルはどうしても薄い素材になるため騒音が漏れやすく、また、振動で震えると新たな騒音源になってしまうのだが、遮音材を貼ることでこの両方に対処できているのがうれしい。
本来このケースは、サイドパネルに強化ガラスを選ぶこともできるのだが、サイコムはあえてスチールパネルを選択。内部が見える強化ガラスの方が見た目はカッコいいのだが、騒音が漏れやすくなってしまうのを嫌い、実利を取ってスチールパネルを選んでいるのだ。
しかもこの側面パネルは吸気口がないうえ、しっかりと遮音材が貼られている。徹底して音漏れを防ごうとしているのがよくわかる仕様になっている。
PC内部をライトアップして楽しみたいという人には少々残念だが、この逆に、PCは光らなくていいという人にとっては、むしろメリットといえるだろう。マザーボードやビデオカードに搭載されたLEDも隠してくれるため、音だけでなく見た目もうるさくない、というのが魅力といえる。
音漏れを防ぐ工夫としてもう1つあるのが、天板部分。ケースファンや水冷クーラーのラジエーターを装着できるよう通気口があるのだが、この部分を隠すように遮音カバーが装着されているのだ。
これらにより、フロント、両サイド、そして天面からの音漏れが防げるため、ユーザーの耳へと直接届く騒音はかなり軽減される。もちろん、背面から回り込んで聞こえる騒音はあるためゼロとはいかないが、それでもかなり静かなのは確かだ。