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空冷クーラーでも12コアのRyzen 9 3900Xが安定動作!? BTOカスタマイズで水冷に強化も可能

第3世代Ryzen&RTX 2060でバランスいいコスパが魅力のゲーミングPC「G-Master Spear X570A II」の実力や冷却性能をチェック

2020年07月10日 13時00分更新

文● 宮里圭介 編集●八尋/ASCII

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「G-Master Spear X570A II」

 サイコムが販売する、X570チップセット搭載マザーボードと第3世代Ryzenの組み合わせという、今が旬のパーツを採用したゲーミングパソコンが、「G-Master Spear X570A II」(関連記事)。

 究極を目指したハイエンド構成というわけではなく、CPUクーラーはサイドフローの空冷、SSDには価格と速度のバランスに優れたPCIe接続のIntel 660pを採用するなど、コストパフォーマンスを意識した絶妙なバランスが面白い1台だ。

 BTOメニューが豊富で、自作パソコン並みに自分好みのスペックへとカスタマイズできるのだが、少し気になる部分もある。それは、16コア/32スレッドのRyzen 9 3950Xを搭載する際は水冷クーラーがマストになるのに対し、12コア/24スレッドのRyzen 9 3900Xでは、標準の空冷クーラーのままで注文できるという点だ。

 実はこのCPU、AMDのスペックを見るとTDPはどちらも同じ105Wとなっている。さらにいえば、8コア/16スレッドのRyzen 7 3800Xでも105Wとなっているだけに、上位のCPUでも空冷で大丈夫なのかという一抹の不安があるのだ。

CPUの温度など、PCのセンサー情報を多数調べられる「HWiNFO」でCPUとGPUをチェック。CPUのTDPが105Wだということもわかる

 そこで今回は、Ryzen 9 3900Xを搭載したG-Master Spear X570A IIの試用機で基本性能をチェックするだけでなく、CPUの温度がどこまで上昇しているのかも調べてみた。

ケーブルは必要最小限となっており、余計な部分は裏配線を駆使して見えないよう隠されている。こういった細かい配慮もサイコムのBTOパソコンの魅力の1つだ

G-Master Spear X570A II
モデル 標準構成 試用機
CPU Ryzen 7 3700X Ryzen 9 3900X
グラフィックス GeForce RTX 2060
メモリー 16GB 32GB
ストレージ 512GB SSD(Intel SSD 660p Series 、M.2 PCIe)
マザーボード GIGABYTE X570 AORUS ELITE
PCケース CoolerMaster CM694 CoolerMaster CM694 TG(強化ガラスサイドパネル)
電源 SilverStone SST-ST75F-GS V3 Corsair RM650x
内蔵ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
通信規格 有線LAN(1000BASE-T)
サイズ およそ幅220×奥行505×高さ493
OS Windows 10 Home(64bit)

まずはCPUの基本性能をチェック!
「CINEBENCH R20」で7000ptsオーバーを記録

 最初は基本性能ということで、CPUのベンチマークテストから。定番の「CINEBENCH R20」を使い、12コア/24スレッドの実力をチェックしてみた。このソフトはCGのレンダリング速度からCPU性能を計るもので、マルチスレッドの効果が非常に高いベンチマークとなるだけに、多コアCPU本来の性能を確認するのに最適だ。

マルチスレッドとなる「CPU」が7015pts、シングルスレッドとなる「CPU(Single Core)」が482ptsという結果になった

 G-Master Spear X570A IIでは、CPUのスコアが7015pts、CPU(Single Core)のスコアが482ptsとなったが、この数値だけを見せられても性能が高いか低いかわかりにくい。参考に過去のデータを見てみると、10コア/20スレッドのCore i9-10900Kのスコアが6385ptsとなっていた。そう、インテルのコンシューマー向けCPUでは、すでに太刀打ちできない性能となっているのだ。それだけに、この性能で満足できないソフトはほぼないといっていいだろう。

 もちろん上位のRyzen 9 3950Xと比べれば性能は負けてしまうが、水冷クーラー必須だということを考えると、空冷でも十分な性能を出せるRyzen 9 3900Xは、システム全体のコストパフォーマンスの面で優れているのが強みだ。

 気になるCPU温度を見ていこう。アイドル時は40度を超えることがないので気にしないとして、高負荷時の最大温度が気になるところ。そこで、「CPU-Z」のストレステストを約5分間実行した場合と、「CINEBENCH R20」を連続5回動作させたときの温度変化を調べてみた。

 温度を調べるのに使ったのは、「HWiNFO」というソフト。CPUを始め、GPU、ファン回転数、各種マザーボードのセンサー情報などを調べてくれるソフトで、これを使って温度を記録し、変化をグラフ化した。

CPU-Zは常時負荷をかけるストレステストとなるため温度変化は少ないが、CINEBENCH R20はテストが終わるたびに温度が急落している様子がわかる

 最大温度に注目してみると、CPU-Zではテスト後半からほぼ80度で一定になっており、これ以上上がる様子がないことがわかる。CINEBENCH R20ではCPU性能が高いため高負荷が長時間続かないこともあり、最大温度は80度に届いていない。とはいえ、温度の上昇は後半になるほどなだらかで、このまま負荷が続けば温度が上がり続けるようには見えず、上昇しても80度を超えたあたりで頭打ちになるだろう。

 しかし、いくらCPU温度が高くないとわかっても、性能が落ちてしまっていれば意味がない。そこで、負荷テスト中のCINEBENCH R20のスコアがどのように変化しているのかもチェックしてみたのだが、6949pts、6921pts、6895pts、6916pts、6914ptsとほぼ横ばいだった。HWiNFOを動かしていることもあって、他に何も動作させていない時と比べればスコアは下がってしまっているが、負荷集中による温度上昇を原因とした性能の低下はなかった。

 これらの結果を見る限り、空冷クーラーだからといって冷却性能不足にはなっておらず、安定して動作しているといえるだろう。ただし、高負荷時はさすがにファン回転数がかなり上昇しており、騒音は大きくなってしまっていた。予算に余裕があるなら、より静かでさらに冷える水冷クーラーを選んでおきたい。

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