日本は素晴らしい刃物の国
記事の制作にあたり調べていく中で、日本という国は刃物と深い関係にあることがわかった。江戸の世までは、武士や侍が日本刀を扱っていたため、刀鍛冶がたくさんいたのだ。ところが明治3年になると廃刀令が発布され、刀は世間から消えた。
日本刀を作ることで生計を立てていた刀鍛冶は廃業するしかなかった。と思いきや。業態を変更して、包丁を作り始めたのだ。
したがって、日本の包丁は、事実としてそのルーツに日本刀があるとも言い換えられ、日本の包丁にはサムライのDNAが息づいているのである。
かつての武士や侍はきっと様々な日本刀を吟味し、最高の一本を手に入れようとしたはずだ。
少し話が逸れるが、IT関係のライターや編集者は、明らかに、かけた金額に見合わない効果しか得られないのに、ノートPCやスマートフォンにこだわりまくって大金を使っているように見える。しかし、それは武士や侍にとっての刀と同じこと。無駄に大金を使っているわけじゃない。こだわることに最も大きな意味があるのだ。
いまや料理が生活でありエンターテインメントである俺にとって、包丁も、ノートPCを選ぶときと同じように、慎重に選ぶ必要がある。今回試し切りをした5製品は、どの製品も素晴らしく、それぞれ個性的だ。個人的にもどれかを買おうと思っているのだが、実際に使ってみたら全部よくて、決め切れないというのが正直なところ。
また、今回紹介した「牛刀」というジャンルにも少し触れたい。牛刀と言っても、牛の肉を切るためだけの包丁というわけでなく、「シェフズナイフ」などとも呼ばれ、万能の洋包丁というイメージだ。一般家庭では、もう少し刃が高くて、背に丸みのある「三徳包丁」か、この「牛刀」のいずれかがよく使われているはず。
三徳包丁は背が高い分、押し切る動作がしやすく、牛刀は刃が長く背が低い分、すべらせて切り出すといった動作がしやすいが、どちらかを持っていれば、ほとんどの料理に対応できるだろう。今回紹介した製品は、いずれも同シリーズに三徳包丁をラインアップしているため、好みに応じて選んでほしい。それではいい包丁ライフを!