ブッダマシーン、ゲーミング環境に馴染む
まずこの蓮、外観のクオリティーが高い。仏教的な観点から見て、蓮の花をデザインに取り入れるのは気が利いているし、花部分だけでなく台座部分の金メッキや装飾も仏教グッズらしく見えるよう配慮されている。サイズ感はそれほど大きくないのだが、後述するLED発光により得られる抜群のインパクトもいい。
小型のブッダマシーンは外観の点で見るべきところが少なく(そもそもハート型ってどうなんだ?)、所有することによる満足感を与えてくれた点では、圧倒的にこの蓮型が優れていた。一部傷や塗装ハゲもあるが、そこはご愛嬌だろう。
サウンドに関しても褒めるところは多い。全39曲は先に述べた木魚型よりもだいぶ少ないのだが、しっかりとメロディーのついた音源が多く含まれており、男性ボーカル、女性ボーカルのバランスも悪くない。1曲だけやたらビブラートを効かせた男性が歌うエモい曲が入っていて思わず聞き入ってしまったのだが、全体として音源自体のクオリティーも秀逸だ。
また、実際に購入してからわかったのだが、ブッダマシーンは本体に内蔵したスピーカーの質が製品によってかなり異なる。やはりスピーカーの質が悪いとサウンドが耳障りになるものの(ハート型は小さいこともあってか、音質はかなり厳しいものがあった)、蓮型はそれなりのスピーカーを搭載しており、BGM再生用としては及第点と言える。地味だが、音量がダイヤル調整式なのも評価したい。
本製品の魅力を語る上で外せないのが、LED発光機能だ。スイッチによるオン/オフのみが可能で、調整もへったくれもないのだが、不思議と視界の端にあってもそれほど気にならない。ほどよい輝度でじんわりと色が移り変わるLEDを眺めながら、緩やかなメロディーに乗って流れてくる念仏を聞いていると、正直かなり落ち着く。そんな馬鹿なと思われるかもしれないが、こればかりは実際に試してもらうほかない。机の横に置いて作業をしていると、なかなかどうして捗ってしまうのだ。
そして、自作PC、特にPCゲーミングを好むユーザーであれば、このLEDブッダマシーンがゲーミングデバイスを取り入れたPC環境によくマッチすることに気付くだろう。だから何だと言うわけではないが、Razerあたりのゲーミングデバイスを入れたカットにしれっと写っていても、よく見なければバレないのではないだろうか。
一風変わった映えるデスク環境を作りたいという人にも、LED搭載タイプのブッダマシーンはオススメできる。蓮型なんか目じゃないレベルのド派手な製品もあるので、興味が湧いた人はぜひ探してみてほしい。
実際にこれを使いながら作業している風景を動画で撮影してみた。途中で曲送りボタンを押し、何曲か流しているので、「どんな音源が入っているか気になる」という人の参考になれば幸いだ。
ブッダマシーンを生活に取り入れ、「自利利他」に思いを馳せる
作業用BGM再生機として購入したブッダマシーンだが、その適正は思ったよりも高いというのが正直な感想だ。1曲1曲が短く、無限にループ再生されるため、曲の転調などで必要以上に集中力を削がれることがないのが大きな要因だろう。飽きたら適当に曲送りボタンを押せば、ノータイムで別の曲を再生できる。BGMの選曲に意識を取られることなく、作業に集中できるわけだ。
一方で、製品によってはスピーカー品質の問題があるため、BGM再生目的であれば中型サイズ以上の製品を選ぶことでリスクを回避しやすくなるだろう。ちなみにイヤホンで聞きたい場合、製品によってはイヤホンジャックがないものもあるため、購入前によく確認しておこう。
ブッダマシーンは電子楽器に過ぎないが、そこから流れてくるのは念仏だ。そして念仏とは、仏の姿や功徳を思い描き、心の煩悩を抑えるために唱えるものとされる。宗教者でもない限り、それを普段から意識する必要はないと思うが、信仰を持つ持たざるに関わらず、誰しも我が身を顧みる時間が必要なのは事実だろう。何かと世知辛いことばかり続く昨今、時おり「自利利他」の心に思いを馳せてみるのも悪くないように思える。
なお、ここまで読んで「自利利他」の考えがピンと来ないという人には、アニメ『まちカドまぞく』を観る、もしくは原作漫画を読むことをすすめたい。同作は宗教色のまったくない癒し系日常アニメだが、厳しい境遇にあっても自利利他の心を忘れない登場人物に溢れており、かなり仏教なので、荒んだ心にはてきめんに効く。筆者は最近Amazon Primeビデオで観て泣きました。
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