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非常時を想定した適切なキャッシュレスとの付き合い方とは

災害大国におけるキャッシュレスの意外な弱点

2019年10月31日 08時00分更新

文● 戸津弘貴 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP

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災害時に決済ができない電子マネー

 大規模な災害では、現金の持ち出しすらままならず、タバコや食料などを物々交換で入手する光景も見られた。

 だが一方で、それでは現金主義の人は決済に不自由しなかったのだろうか。

 電子マネーやクレジットカードを使用しない「現金主義」の人は、普段の買い物をすべて現金で賄っていたために、手持ちの現金に左右されてしまった。前日に多く使って財布に補充していなかった人は、結局のところ手元に現金がなくて買い物ができない状態に陥ってしまうのだ。

 また、停電や通信回線の断絶では、ATMも停止してしまうことになる。つまり、銀行の預貯金に残高があっても下ろせない、という事態に直面する。電力や通信インフラのトラブルは、現金主義の人にとっても他人事ではないのだ。

非常時を想定し、一定金額の現金を手元に残すためには
普段のキャッシュレス化が重要

 では、いざという時に必要な額の現金を手元に置いておくにはどうすれば良いか? 実は、いざという時の現金を確実に確保するには、キャッシュレス生活を推進したほうが良いのだ。

 財布やパスケースなどにいざという時のための現金をリザーブしておき、普段の買い物はSuicaやEdy、クレジットカードなどを使用することで、普段は使用しない現金を一定金額身につけておくことができる。

 筆者の場合、財布のほかにパスケースやキーホルダーなどに分散して3万円ほどの現金を身につけているが、支払いはクレジットカードもしくはEdyやSuicaなどの電子マネーで行うことがほとんどだ。

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 飲み会の割り勘やクレジットカードの使えない店での支払いでは、止むを得ず現金を使用するが、時間をおかず使用した分の現金を補充するという運用を続けている。

 身につける現金の金額の目安としては、勤め先から自宅までのタクシー代、都内から実家までの交通費などをベースに1.5倍から2倍程度だろうか? 災害時の避難や、当座の生活費などの想定に加えて、終電を逃したり、家族の怪我や病気などのトラブル対応など、想定される「緊急事態」に対応出来る額を算出すると良いだろう。

 また、非常持ち出し袋などの防災用品にも、現金を収納することをオススメする。こちらは、災害時の当座の生活費をメインに、定額紙幣や硬貨も含めて揃えておくと良いだろう。500円玉貯金をしている人は、それがいざという時に活躍するかもしれない。

 なににしても、キャッシュレス決済が進むほど、一定額の現金をリザーブすることができるということになる。

これからのキャッシュレスの動き

 キャッシュレス化のハードルとなっているのは、さまざまなサービスの乱立だ。交通系ICカードは、通勤通学で使用している人には普及しているが、ほかの電子マネーはどのサービスを利用すればより多くの店舗で使えるか分かりにくく、複数カードを持って使い分けるのも利便性が悪い。

 そんな中、Origamiは9月20日、スマホ決済サービス「Origami Pay」の加盟店ネットワークを無償でオープン化すると発表した。加盟店企業が、自社アプリにSDKを組み込むことで、独自の決済サービスが利用できるものだ。独自規格の乱立により、利用者や事業者双方の利便性が損なわれるのではないかとの懸念を払拭したい構えだ。

9月20日開催の「Origami Conference 2018」

 加盟店は、コンビニやファーストフード、家電量販店や居酒屋チェーンなど多岐にわたるほか、個人間送金にも対応。将来的には資産運用や与信などの機能も盛り込まれるという。

 キャッシュレスが進めば小銭も減り、サイフもスリムになってゆくことと思う。いざという時の現金のみを収納し、残りは電子マネーやクレジットカードとなれば、財布もスリムになデザインになってゆくことだろう。

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