業務システム間データ連携+業務フロー自動化+チャットボットが人とのインタフェース
ウイングアーク1st、業務自動化とデータに基づく判断を促す「DEJIREN」
2020年04月16日 07時00分更新
ウイングアーク1stは2020年4月15日、新製品のクラウドサービス「DEJIREN(デジレン)」の販売を開始した。異なる業務システムやクラウドサービス間を接続して業務フローを自動化し、同時にシステムと人(ユーザー)のインタフェースをボットが務める仕組み。同社製品との連携によって、ユーザーがチャットで問い合わせた各種業務データをリアルタイムに提供し、データに基づく意思決定と迅速なアクションを促すのが特徴。
オンライン発表会に出席したウイングアーク1st 執行役員CTOの島澤甲氏は、「企業で働く人とビジネスで必要となるシステムやサービスをつなぎ、リアルタイムに情報を提供することで、人の意思決定を加速させるコミュニケーションツール」と位置づけている。
ノンプログラミングで自動化フロー作成、人とシステムはチャットでつながる
DEJIRENは、ノンプログラミングで自動化フローを作成できる「アクションフロー」を中心に、APIを使って業務システムやサービスと連携する「コネクター」、ユーザーとコミュニケーションを行う「ボット」、ユーザーが利用する「DEJIRENクライアント」という要素で構成される。
まずアクションフローは、さまざまな業務システム/クラウドサービスと接続し、データ連携を通じて業務を自動化する。自動化の処理フローは、直感的なUIを通じてコネクター、条件分岐、アクションのパーツを配置するだけで作成が可能。専門知識を持たない社員でも、ノンプログラミングでシステム間連携を含む業務の自動化ができるのが特徴だ。
API経由で各種システムとアクションフローを接続するのがコネクターだ。現在は、ウイングアーク1stが開発するBIダッシュボード製品の「MotionBoard」、OCRと文書管理の統合製品「SPA」、さらにメールやボットと連携しており、今後は集計/分析プラットフォーム「Dr.Sum」、帳票作成/運用ツール「SVF」も順次対応予定。さらに、サードパーティ製のRPAやワークフロー製品、業務システム向けのコネクターも開発していくとしている。
そして、システムと人間との双方向型コミュニケーションを実現するのがボットだ。DEJIRENクライアントを通じてユーザーがチャット形式で必要な情報を問い合わせると、アクションフローを介して複数のシステム/サービスから自動的にデータを取得、それらを組み合わせて可視化し、ユーザーに返答する。また、チャットを通じてユーザーからアクションの実行を指示することも可能だ。これにより、ユーザーの「データに基づいた意思決定」を加速させることを目指している。
なお現在、ボットが対応しているのはDEJIRENクライアントのみだが、今後「Slack」「LINE WORKS」「Microsoft Teams」「Chatwork」といったサードパーティ製チャットツールにも順次対応していく予定だ。
島澤氏は、DEJIRENはRPAの一部として利用することもできるが、定型業務を自動化することが狙いではなく、「情報に基づく意思決定のためにRPAと連携する使い方が中心になる」と説明した。「DEJIRENは『システムと人との接点』のために作られた製品であり、RPAの機能とは異なる」(島澤氏)。
DEJIREN(DEJIREN Cloud)の利用価格(税抜)は、初期費用が10万円、10ユーザーあたりの基本ライセンスが月額7000円。基本ライセンスで3つのアクションフロー、100GBのデータストレージ、1つのブリッジ接続サービスが利用できる。
「『売上推移を教えて』とボットにつぶやけば、チャート画像で答える」
DEJIRENの具体的なユースケースとして、島澤氏は次のような例を示した。
たとえば、MotionBoardは100以上に及ぶデータベースやクラウドサービスなどのデータソースから取得したデータを、チャートやマップを含むBIダッシュボードとして可視化する製品だが、これとDEJIRENを連携させることで、レポートなどのフォーマットにして自動配信させることができる。さらに、MotionBoardが取り込んだ業務システムデータやIoTデータなどに基づいて、在庫不足や機器の不具合といったアラートをボットに自動通知させることもできる。
「さらに、スマホ(DEJIRENアプリ)から『売上の推移を教えて』とつぶやけば、DEJIRENがボット経由でその指令を受け取り、MotionBoardのアクションブロックから売上推移のチャートを引き出し、画像に変換して、ユーザーのスマホに表示するといったことも可能になる」(ウイングアーク1st Cloud事業部ビジネス戦略室の大畠幸男副室長/エバンジェリスト)
DEJIRENの先行導入ユーザーである東急スポーツオアシスでは、役員向けに毎朝午前7時にレポートを自動配信しているほか、最新の加入者状況データが欲しい場合に、店舗ごとの状況まで細分化して閲覧できる環境を整えたという。
また、同じく先行導入したあるリネンサービス会社では、使用済みタオルなどを回収するためのボックスに距離センサーを取り付けて「使用済みタオルのたまり具合」を測定。回収タイミングが来ると、チャットを通じて自動的にスタッフへの回収指示が行われるという。