レーザ網膜走査技術「VISIRIUMテクノロジ」を採用した話題のデバイス
「前を見ながら後ろを見る」ってどんな感じ? 「RETISSA Display II」で実現!
2020年03月24日 11時00分更新
「RETISSA Display II」とはどんな製品か
ASCII.jpでもたびたび特集しているRETISSA Displayは、三原色レーザ光源からの微弱な光と高速振動する微小な鏡(MEMSミラー)を組み合わせ、網膜上に映像を描き出すレーザ網膜走査技術「VISIRIUMテクノロジ」を採用したヘッドマウントディスプレーだ。
最大の特徴は、網膜上に映像を直接投射するため、「視力やピントに依存しない≒水晶体に問題があっても、鮮明な映像を見ることができる」「実視界とピントの齟齬がない」「ピント移動がなく疲れにくい」というメリットを持つ点。開発するQDレーザは、「目で“見る”のではなく、見たいものが目に“映る”」と表現している。
「RETISSA Display II」は、前モデルより使用感を大幅に高めているのが特徴。
RETISSA Display IIを使うと
前を見ているのに後ろが見える
RETISSA Display IIは、あくまでもディスプレーや一般的なヘッドマウントディスプレー、プロジェクターなどと同様に、パソコンやスマホなどからHDMI端子経由で信号を入力して使う出力デバイス。したがって使い方はユーザー次第になるが、開発するQDレーザでは、新たな可能性として、小型のカメラと組み合わせた実験もしている。
今回は小型カメラをRETISSA Display IIと組み合わせて使うための開発中のキットをお借りできたので、RETISSA Display IIとカメラを組み合わせると、どのような体験ができるのか紹介したい。
お借りしたキットは、小型のボックスに、IoTなどで使えるカードサイズのPC「Raspberry Pi」と各種端子を収めたもの。RETISSA Display IIの電源端子、HDMI端子にジョイントできる。
仕組み自体は非常にシンプルで、RETISSA Display IIから電源供給を受けて動くRaspberry Piに小型のカメラをHDMI経由で接続し、RETISSA Display IIから網膜に出力するというもの。
これが実用化されれば、網膜の機能さえ正常なら、視覚に障害を持つ方でも、RETISSA Display IIを通して疑似的にものを見られる可能性があり、大きな可能性を持ったアイディアだ。
特に視覚障害のない人がRETISSA Display IIを使うと、普段の視界に、RETISSA Display II経由の半透明の映像がオーバーレイ表示される。
これを応用すると、前の景色を見ながら、後ろの景色をRETISSA Display II経由で投影するという、「前を見ながら、同時に後ろを見る」という夢のような体験も可能になる。
筆者も実際に「前を見ながら後ろを見てみた」が、通常では考えられない不思議な光景が広がった。普段の景色に、本来は見えないはずの背後の景色がオーバーレイ表示されているのはまさに新感覚。
人間の左右の視野角は(目の位置にもよるものの)およそ180度程度と言われている。そこにカメラの画角分、およそ180度の視界がプラスされるため、疑似的に360度に近い視覚を得ていることになる。
RETISSA Display IIの特性上、見た光景をそのままお伝えできないのが残念だが、普段の視界と比べて情報量がかなり増えている感覚は、いまのところこのデバイスでしか実現できないのではないか。
ちなみに、RETISSA Display IIにはスモークのかかったサングラスのようなレンズがあらかじめ装着されているため、多少明るいところでも映像は視認しやすくなっている。
RETISSA Displayの前モデルは65万円とかなり高額だっただったため、いくら面白いからといって個人が手を出すには少々ハードルが高すぎたと感じる。しかし。RETISSA Display IIは27万2800円と、ハイスペックなPCほどに価格が抑えられている。新ガジェットに興味のあるユーザーには、ぜひ試して欲しい製品だ。
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