土星の衛星に生命が生まれる要素アリ
さぁ、前回に続き“生命の起源”後半戦です!
前半に“他の惑星で熱水噴出孔と同じようなシステムがあれば、生命が存在する可能性も無きにしも非ず”と締めくくりましたが、実際問題、この広大な宇宙の中からそのような惑星を探し出すのは可能なのでしょうか? いくらハビタブルゾーンの領域が計算できて観測も可能とはいえ、そこから惑星を見つけて、さらに状態を調べるのは至難のワザのような気がします。
が、実はめっちゃ近いところに同じようなシステムがあるんです。光年というレベルではありません。キロメートルで表せる、宇宙から見たら“至近距離”な場所にあるのです。それは“土星の衛星”。惑星ではなく、惑星の周りを公転する“衛星”に、この熱水噴出孔と同じような現象が発見されました。その衛星とは『エンケラドゥス』です。これ、アニメ好きな方なら聞いたことがある名前ではないでしょうか? あの宇宙戦艦が、新作において鉱物資源を求めて立ち寄った衛星です。
このエンケラドゥスに生命の可能性が示唆されたのは、今から約6年ほど前のことで、土星探査機『カッシーニ』の調査によって明らかにされました。そもそもカッシーニは、土星本体と、その衛星の代表格であるタイタンの調査が主目的であり、エンケラドゥスに関しては“あ、土星にある別の衛星ね、ふーん”くらいの扱いだったようですが、カッシーニの調査によって状況は一変します。それはなんと、水蒸気を含んだ噴出現象が捉えられたのです。“これは中に(液体の)水があるかもしれない……!”と、ここからエンケラドゥスの調査が本格的に始まったのです。
アニメをご存知の方は胸熱ですよね! なんでも旧作ではエンケラドゥスではなく、タイタンに向かっていた戦艦ですが、新作ではエンケラドゥスに向かっているなんて、これは作った方々の中の事情なんて知る由もありませんが、このカッシーニの探査に似てますよね!
さてさて、地球の深海熱水噴出孔になぞらえて考えると、生命の誕生には水と無機物と有機物、そしてエネルギーが必要でした。エンケラドゥスにもこれらはあるのでしょうか? 内部機構に迫ってみたいと思います。

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