Facebookが独自OSを開発中という報道が出てきた。といってもモバイルOSではない。すでに時代はポストスマートフォンである。そこで「自分たちのボジションを獲得する」のが狙いで、ARとVR向けのものと予想されている。デビッド・カトラー氏とともにWindows NTの開発に携わっていたマーク・ルコフスキー(Mark Lucovsky)氏を起用しているというから、本気度がうかがえる。
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どうやらスマホ用のOSではないようだ
2018年春のデータスキャンダル(Cambridge Analyticaとのデータ不正共有)以来、時代の寵児から一気に悪者のイメージが付きまとってしまったマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏。自慢のグレイのフーディよりも、スーツとネクタイで法廷に立つ姿の方が印象に焼き付いてしまった感もある。
外から見ると、Facebookにとって2019年はいい一年とは言えなかっただろう。満を時して発表した仮想通貨プロジェクト「Libra」が暗礁に乗り上げ、買収したInstagramとWhatsApp、それぞれの共同創業者からの批判も浴びた。
今回のOS開発というニュースは、そんな折に明らかになった同社の最新動向だ。独占報道したのはThe Information(https://www.theinformation.com/articles/to-control-its-destiny-facebook-bets-big-on-hardware)。何と言っても目を引くのは、Windows NTの開発で重要な役割を果たした1人であるマーク・ルコフスキー氏がチームを率いていることだ。なお、ルコフスキー氏はマイクロソフトの退社後、グーグル、VMwareなどで勤務、Facebookは2017年秋からのようだ。LinkedInによると、現在の肩書はOculus VRのOS担当ゼネラルマネージャーとなっている。
Facebookが開発しているのはスマートフォン向けのOSではない。ご記憶の方もいらっしゃるだろう。Facebookは既に2013年、HTCとの提携を通じてAndroidをカスタマイズした「Facebook Home」を発表した。だが、この戦略は失敗している。
狙うはスマホの次の覇権争い?
ポイントは、同社のハードウェアトップ、アンドリュー・ボスワース(Andrew Boswarth)氏がThe Informationに語った「次世代に、Facebookに居場所があることを確実にしたい」という言葉だろう。”次世代”とはポストスマートフォンであり、同社にとっては「Oculus」ブランドで展開するVR、AR、そして動画通話のためのスマートディスプレーの「Portal」などだ。
スマートフォン自体がデバイスになりうるARでは、アップルは「ARKit」を、Androidは「ARCore」を発表しており、これを利用してアプリケーションを開発できる。
Facebookは自社でOSを開発することで、端末と密に連携させ、優れた体験を構築したいのだろう。これならAndroidの開発ロードマップに依存することもない。「居場所を確保するにあたって、市場や競合は信用できない」というボスワース氏の言葉が、そのことをズバリと表現している。
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