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英会話に文法は要らない? 本当に話せるようになるための英文法

2020年01月08日 06時00分更新

文● MOVIEW 清水

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 学生時代から長く英語の勉強をしているのに話せない、英語力がなかなか伸びないという人は少なくない。日本の学校教育での英語は文法の丸暗記が多く、膨大な規則と例外を覚えることを繰り返しているだけで、英語で会話することには役に立たないという人さえいる。はたして本当に英会話において文法は不要なのだろうか?

 今回おじゃましたセミナーは書籍『英文法の鬼100則』を執筆した時吉秀弥氏による、英文法を体で覚える英語セミナー。時吉氏は文法の根本にある人間の感覚を知ることで英語を直感的に理解することができるようになるという。これは「ネイティブスピーカーがどのように世界を認知しているか」をベースにした「認知文法」という考え方であり、これを用いることで英語特有の表現を理解し、アウトプットできるようになるとのこと。今回はこの英語セミナーで語られたポイントをいくつか紹介する。

キャプション:セミナー講師を務めた株式会社恵学社コンテンツ開発室シニアリサーチャー 時吉秀弥氏。

日本語と英語の大きな違いは、文法や言い方ではなく世界の見方

 ネイティブスピーカーはなぜそのような言い方になるのか? これを文法という名の規則で覚える英語教育では英語を使えるようにならない。それよりも文化などを理解し、ネイティブスピーカー特有の考え方を知ることで英語を直感的に理解できるようになる。では日本語と英語の大きな違いはなんだろうか? それは視点の違いによるところが大きい。

 日本語では自分がカメラとなるが、英語では自分を俯瞰し、外から自分を見ているもう一人の自分がいるという感覚だ。自分がカメラになる場合、写真に自分は写り込まない。そのため日本語では目の前のことは描写するが言語の中に自分が現われず、一人称がなくなる。英語やヨーロッパ言語では視野が広く、原因を主語にするため「this」といった単語が主語になる。

 この感覚をわかりやすい例で示すと庭の違いがあげられる。ヨーロッパの庭は一段上に上がったところに展望台があり、全体を見渡せるように設計されているのに対し、日本の庭は自分が飛び込んで回る回遊式になっている。こうした文化の違いが、言語での表現と一致する。こうした世界の見方の違いを理解することが英語上達への近道となる。

英語を話せるようになる、書けるようになるには構文を覚えることが重要

 英語を覚えるために重要なのは、文の主役は動詞だということ。名詞という単語だけを覚えても文は作れない。話を組みたてるには動詞という心臓部を中心として枝が伸びていくイメージだ。しかし、動詞だけを覚えてもこれもいけない。動詞の意味を調べるだけというのは勉強していない証拠であり、動詞がどのような構文を作るのかを確認するようにしていくことでライティング能力が上がっていく。

文の主役は動詞。

英語は動詞がどのような構文を作るのか確認することで上達する。

 今回のセミナーでは「use」の使い方を例に、日本語と英語の構文の違いによって起こる間違いが解説された。「use」つまり「使う」という動詞は、日本語では「物を用途に使える」が、英語では人が主語でなければならない。この構文の違いから日本語の構文構造を英語に当てはめてしまい、間違いが起こる。このように、英語では動詞の構文を覚えることがとても重要なことがわかる。

日本語構文を当てはめてしまうと間違いいなりやすい。

体で覚える構文5文型

 ここで本セミナーでもっとも重要とも言える構文5文型について解説された。構文の基礎とも言える5文型は下記の通りだ。

第1文型:S+V
第2文型:S+V+C
第3文型:S+V+O
第4文型:S+V+O1+O2
第5文型:S+V+O+C

 この中で第1文型のV(動詞)は自動詞であり、第3文型のVは他動詞だ。自動詞と他動詞は日本語にも存在するが意識しづらい。たとえば「皿が割れる」といったように自分が勝手に行なうことは自動詞であり、「皿を割る」のように他者に力をぶつける場合は他動詞となる。この自動詞と他動詞について、文章の中の動詞が自動詞の場合には両腕を目の前で回す、他動詞の場合には手を叩くという動作をつけながら文章を読むことが行なわれた。例えば「The cup broke.」は自動詞だから腕を回す、「She broke the cup.」は他動詞になるので手を叩くという具合だ。このようにすることで構文を体で覚えていくことで、その違いを無意識に習得していく。

第1文型の解説。

第3文型の解説。

 では第2文型のC(補語)と第3文型のO(目的語)の違いはなんだろうか。主語の中身を補うものが補語であり、それに何かをしているものが目的語となる。例として、主語とイコール関係にあり、中身を補う情報が保護であることが解説された。

第2文型の解説。

補語と目的語の違いは中身か、何かをしているものなのか。

 また修飾語についてはV(動詞)の力が届かない言葉と語られ、その例が示された。さらに第4文型の二重目的語構文では、目的語から目的語へ渡す意味が加わり、動詞自体に渡す意味があれば第4文型を使うのが通常だ。最後の第5文型は第3文型と第2文型を足したものとなる。

修飾語は動詞の力が届かない言葉という例。

第4文型の二重目的語構文は目的語から目的語へ渡すという意味が加わる。

第5文型の解説。

 このようにして文型の形を判別して生きた意味を理解することでその文型が行なっていることがわかるようになる。あとは空いたスロットに、文型や構文から考えてどのような名詞を組み込んでいけばいいかを考えることになるが、自動詞、他動詞、文型を意識しながら身振りを付けて話をすることで動詞の力のやり取りが身についていくので、先ほどの腕を回す、手を叩くといった形で体を使って覚えていくと自然に英語の感覚が身についていくと語られた。

構文5文型のまとめ。

自動詞、他動詞、文型を意識しながら身振りを付けて話をすることで英語の感覚が身につく。

日本人に使いづらい「a」

 名詞には数えられる名詞・可算名詞と数えられない名詞・不可算名詞がある。この違いは形を表わすものが可算名詞で、性質を現わすものが不可算名詞だ。例えばコップは形で認識しているので可算名詞だが、割れた場合は単なるガラスとなるので材質で認識することになる。魚も「a fish」であればお頭付きの一匹だが「some fish」は切り身であり、切り身はいくら切っても切り身なので材質で認識する。つまり同じ魚でも可算名詞になったり不可算名詞になったりするので、リスト化して覚えるのは誤りだ。

可算名詞と不可算名詞の違いをわかりやすく解説。

 違う例で言うと、「I like a dog.」を「I like dog.」と言ってしまうと、好きなものが犬から犬の肉に変わってしまうので注意が必要だ。簡単に分類するとこのようになる。

a cat:とある一匹の猫
some cats:何匹かという限定
the cats:今言ったネコという限定
cats:種類全般をいう場合は複数形にする

 この「a」は日本人が使いにくく間違いやすい単語なので注意したい。今回のセミナーで教えられたチップスは、受講者全員に配布された時吉氏の著書『英文法の鬼100則』の内容を参照しつつ解説されている。当日レクチャーされた内容はまだまだあるが、興味があれば本書を参照していただきたい。

「a」の持つ役割。あるとないとでは違う意味になってしまうこともあるので注意が必要だ。

 最後に時吉氏は「英語を話すのに文法は要らないという人がいるが、正しい形で繰り返し練習することでできるようになるし、その後の語学力の伸びも決まってくる。ただ、漠然と文法を覚えても頭に入らないので、自分の気持ちを伝える型だと思い、繰り返しやることで理解ではなく無意識にできて初めて文法は要らないということになる。体が勝手に動くようになるまで、自然と文法を踏まえた文章が出てくるまで、意味を伝えるためのユニットと感じてほしい」と述べ、セミナーを終了した。

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