OPPOのホーム・深センで開催された
発表会の主役はスマホではない!
OPPOは10日、同社の本社がある中国・深センにて「OPPO INNO DAY 2019」を開催。OPPOが実現および開発している最新技術などが紹介され、スマートフォンだけでなく、CPEやスマートウォッチそしてARグラスといった製品を開発していることを明らかにした。OPPOが主催するプレスツアーに参加したのでイベントの模様を紹介する。
イベントのオープニングには、OPPOの創業者で現在もCEOのトニー・チェン氏が登壇。同氏がこういった場に出るのは珍しく、OPPO関係者によると6年ぶりとのこと。2Gから3G、4Gと通信方式が変わるたびに変革が行なわれてきたが、それは5Gでも同じ。5GではさらにAIやクラウドとの連携も重要で、同社ではAI、ビッグデータ、クラウドの開発に従事しているチームが半数を占めているという。ただし、それでも中心となるはスマートフォン。そのうえで、周辺機器などとの連携によって、新しいエコシステムを構築したいと考えているとのこと。
開発中のデバイスなど、詳細な説明はトニー氏のあとに登壇したバイスプレジデント・OPPO研究所所長のレヴィン・リュウ氏が担当。ただしトニー氏の考えを受けてか、スマートフォンに関する発表はほとんどなく、今後発売予定の周辺機器についての説明に多くの時間が割かれた。
スマートフォンの最新モデルとしては、すでにアナウンスされている「Reno3 Pro」について触れたものの、スペックなどの詳細な情報はなし。クアルコムのイベントでは「Snapdragon 765G」搭載がアナウンスされているので、軽量で使いやすいサイズの5G端末として登場しそうだ。
イベントでもっとも時間を割いて紹介されたのが、ARグラス。マイクロソフトの「HoloLens」と同じコンセプトのデバイスで、グラス越しの風景に映像などを組み合わせて表示し、実際に手で操作できるというもの。
ARグラスはイベント終了後には展示ブースが用意されており、テスト機でデモも体験できた。後頭部のダイヤルで大きさを調整できるのはHoloLens 2と同じだが、グラス部分をサンバイザーのように持ち上げることはできない。そのかわりかなり軽量で装着性は悪くない。
実際に装着して、映像などを操作してみた感想としては、映像はかなりはっきりしていて見やすい。ただし、立体感や自分の手をセンシングして操作するといった性能はHoloLens 2のほうが上。リリース時期は未定のため、今後どこまでブラッシュアップできるかがポイントだ。
また、ARグラスはモバイル通信機能を装備しておらず、スタンドアローンでは動作しないとのこと。クアルコムから5G対応のAR/VR向けプロセッサー「Snapdragon XR2」も発表されているので、そのあたりも残念なポイントだ。
実機展示があったデバイスとしては、5G対応CPE(Customer Premises Equipment)も発表された。5GCPE据え置き型の5Gルーターとしての機能ほか、Bluetooth、ZigBee、Zwaveなどに対応。そのため、パソコンやタブレット、スマートフォンだけでなく、IoT機器すべてをカバーしてコントロールできる、宅内ネットワークの母艦的役割をはたすデバイスだ。
そのほかスマートウォッチや左右独立型イヤホンも発表されたが、詳しいスペックや発売時期は公表されず、テスト機の展示もなかったため、今後の発表にて詳細は追いたいところ。
展示ブースにはMWC Shanghai 2019でも展示されていた、インカメラをディスプレー内に埋め込んで目立たなくする「アンダースクリーンカメラ」も展示。かなり注意深く見てもカメラの存在はわからず、これが登場すれば醜いノッチを採用したデザインのスマートフォンが一掃されそうだ。
スマートフォンから周辺機器の開発に力を入れ始めたOPPO。実際中国の大手スマートフォンメーカーで、スマートフォンだけを開発しているところはなく、IoT機器を中心に数多くの周辺機器を出しているところがほとんど。これまでスマートフォンに注力していたOPPOもその流れに乗ったといったところだ。OPPOはスマートフォンでは「ハイブリッドズーム」や「アンダースクリーンカメラ」といったオリジナリティーあふれる製品をリリースしているので、周辺機器でもOPPOらしさが入った製品の登場に期待したい。
筆者紹介:中山 智
海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。