円谷プロダクションが11月20日に発売する、 特撮テレビドラマ『ウルトラ Q』の、4K・HDR版を、これまでリリースされていた2K・SDRのブルーレイ版と比較した。圧倒的なハイクオリティに、驚いた。私は過去日本映画作品の修復ものを数多く観てきたが、白黒作品としては最上クラスの質を獲得したのではないか。
オリジナル35mmフィルムから4.5Kスキャン後、4K・HDR化
『ウルトラ Q』は、昭和41年に、アメリカのSFドラマ『トワイライト・ゾーン』をヒントに映画『ゴジラ』の特殊技術を担当した、円谷英二が製作した30分1話完結型のSFドラマシリーズだ。その後の『ウルトラマン』『ウルトラセブン』『帰ってきたウルトラマン』など、ウルトラシリーズの先駆けとなった歴史的な名作だ。今回はオリジナルの35mmネガフィルムから4.5Kスキャンし、4Kで修復、HDR化、グレーディング(調整)を施した。
従来のブルーレイ版(2K・SDRテレシネ)とは、比較にならないほどハイコントラストで、階調感が実に豊かだ。細部まで明暗の抑揚が付与されるので、精細度も高い。白黒作品だから、コントラストと階調と解像力だけが画質そのものだが、それが刮目の出来映えなのだ。これはグレーディング時に、HDR化が大いに効いたとみた。
しかし、このような古いフィルム作品をレストアする時には、「いったいどこまで直すのが正解なのか」という問題は、必ずつきまとう。グレーディングではどんな映像にも加工できるからだ。極端な話、色だって後から付けられる(以前、カラライズ版も制作された)。
4K・HDR版がどんな風にオリジナリテイにこだわり、作品の正しい世界観に添ったレストア、グレーディングを丁寧に、そして意図的に行ったかの興味深い話は別の機会に譲るとして、ここで私が2K・SDRと4K・HDRを比較したいくつかのシーンのインプレッションを記そう。
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