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ピザ25枚、飲み物600本、250名規模の会場で大盛り上がり

オペラシティにサメが出た!NW-JAWSが3年ぶりに国内開催

2019年09月20日 10時00分更新

文● 重森大 写真●Tomoaki Yamashita

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 2019年9月17日、約3年ぶりの国内開催となる第5回 NW-JAWSが開催された。会場は初台のオペラシティにある「NTTインターコミュニケーション・センター」。ネットワークにフォーカスするJAWS-UGの勉強会が、NTT東日本の会場提供で開催されるのも胸アツだが、そんな感慨を吹き飛ばすような強烈なキャラクターがその勉強会にはいた。というか出た。

オペラシティにサメが出た

ピザ25枚を届けてくれたF-Secureが3分で製品紹介

 初回以降、re:Inventに合わせてラスベガスでばかり開催されてきたJAWS-UGがある。ネットワークにフォーカスしたNW-JAWSだ。5回目の開催となるNW-JAWSは「AWSとネットワークの未来」をテーマに掲げ、3年ぶりの国内開催となった。前回取材を担当し、国内開催を渇望していた筆者を含め、多くの人が訪れた。今回は本イベントの冒頭で展開されたスポンサーセッションの様子をお届けしたい。

 勉強会であるJAWS-UGのレポートなんだからスポンサーセッションなんてとりあげなくてもいいのでは。そう思いかけたが、よく考えてみればこうしたスポンサーがいてくれるからこそ、JAWS-UGは成り立っているのである。そこにかけられた熱意は、一般参加者とは桁違い。その熱量を伝えずにはいられないという使命感から、この記事を書いている。

 トップバッターは、会場にLサイズピザ25枚を届けてくれた、F-Secure 法人営業部の河野 真一郎さん。3分の持ち時間に対して38枚ものスライドを用意し、F-Secureの最新の取り組みについて紹介した。

F-Secure 法人営業部の河野 真一郎さん

「みなさん、脆弱性診断ちゃんとやってますか? パッチを当てていないLinuxインスタンスに心当たりのある方はいらっしゃいませんか? おまかせください。脆弱性診断を自動で、継続的に行なうソリューションをご紹介します」(河野さん)

 脆弱性診断ツール F-Secure Radar の中心となるのは「セキュリティセンター」と呼ばれるソリューションだ。ディスカバリースキャン、システムスキャン、Webスキャン、インターネットディスカバリーの4種類のスキャンが統合されたスキャンソリューションで、これらを組み合わせて継続的な脆弱性診断が行える。なお、機能の詳細については「時間がないのでこの辺は飛ばします。資料はアップロード済みなので興味のある方はそちらをご覧ください」とあっさり端折られた。

「すでに5万インスタンスに適用されており、1週間ごとの脆弱性診断実施数は1万回にのぼります。なお、くわしい使い方は、某ブログの会社のブログエントリーに詳しく掲載されておりますので、そちらを参考にしてください」(河野さん)

 某ブログの会社とは、もちろんクラスメソッド。スポンサーになることで自社製品を宣伝する時間を得たというのに、まさかの他社に丸投げ。こんなだから、JAWS-UGのスポンサーセッションは嫌みがなくて楽しい。会場に笑いを起こし、トップバッターとしてしっかり場を温めたセッションだった。

缶ビール600本を持ち込んだスカイアーチはサバ缶の歴史をアピール

 今ではサバ缶屋として業界内で異色の地位を築いているスカイアーチネットワークスからは、岡田 行司さんが登壇。こちらは自社サービスの話題は一切なく、同社がサバ缶屋として名を馳せるにいたった経緯と現状について語った。

スカイアーチネットワークス 岡田 行司さん

「スカイアーチは2001年の創業当時からシステム運用、サーバー管理業務を行なってきました。サーバー管理屋だから、サバカン屋だねという話が社内で出まして。ただのダジャレですね」(岡田さん)

 ダジャレや冗談をそのまま笑い飛ばしてしまわなかったところが、スカイアーチのすごいところ。2012年から、展示会やイベントでノベルティとしてサバ缶の配布を始めた。最初は市販品のサバカンにステッカーを貼って配っていたが、ある転機が訪れる。東日本大震災だ。被災した木の屋石巻水産が、波にさらわれた缶詰をひとつひとつ手で洗い、販売した。スカイアーチからも、缶詰再生にボランティア要員を派遣。そのつながりから、2015年には木の屋石巻水産の協力を得てついにオリジナルデザインのサバ缶が誕生したのだった。「ダジャレじゃん」で済ませてしまいそうなサバ缶には、こんな歴史があったのだ。

サバ缶の会社スカイアーチの会社概要

「メインとなっているのは味噌煮ですが、協業する企業とのコラボ缶として水煮缶を作成したこともあります。最近のサバ缶ブームに乗っかって、メディアにも掲載されました。『蘇るサバ缶』という書籍にも、ちょっとだけスカイアーチが登場しています」(岡田さん)

 そのサバ缶だが、ノベルティの枠を超えて百貨店やYahoo!ショッピングで販売もされているという。価格は1缶380円、売上の38%は東北の子ども支援に寄付されるという。岡田さんは名言しなかったが、価格も寄付比率も「38=サバ」にかかっているのではないかと推測。もし正解なら、どこまでもダジャレだが。

「という訳で本日はビールを600本持って来たんですけど、サバ缶を持ってくるのを忘れてしまったので配布できません。しかたないんで、店舗かオンラインショッピングで買ってください。東北への寄付にもなりますから」(岡田さん)

 という訳で、スポンサーのノベルティグッズコーナーに見慣れたサバ缶の山はなかったのだった。

会場を提供したNTT東日本からはJAWSが登壇!?

 最後は250名が着座可能という広くて快適な会場を提供してくれたNTT東日本のビジネス開発本部 宇野 咲耶子さんだ。今回のNW JAWS参加者にもっとも印象に残った登壇者を尋ねてランキング表を作れば、きっとこの方がダントツのトップに輝くだろう。理由はあえて語るまい。写真がすべてを語ってくれるだろうから。

NTT東日本 ビジネス開発本部 宇野 咲耶子さんというかサメ

 NTT東日本はネットワークやクラウドに関わるサービスを多数展開しており、NTTグループ各社との協力体制も整えて企業のクラウド利用を支援している。技術的なコンサルティング、開発、運用はもちろんだが、各クラウドサービスの再販を行なっており総合的なコンサルティングをできるのが強みだ。

 そうしたサービス紹介の中でさらっと流された一言が、筆者の意識に残った。クラウドの再販を行なっているので、決済は円建て、請求書払いにも対応しているとのこと。海外のクラウドサービスを使うために個人のクレジットカードを登録したり、ドル建て価格に頭を悩ませたりといった煩雑で本筋から外れた業務に時間を取られることがない。日本の商習慣に合わせることでロスもあると思うが、大企業は一足飛びにクラウド世界の「当たり前」に移行できない場合が多い。そういう部分の変革は後回しにして、クラウド本来のメリットをまず体験し、ステップバイステップで業務変革を進めていけばいい。そういう意味で、日本の商習慣に合わせて対応する姿勢は大手の強みとしてもう少し知られていいと思う。

 と、スポンサーセッションに登壇した三者の中では一番まともに自社サービスの紹介を行なった宇野さんだが、登場したときのインパクトが強すぎて、ほとんどの人は「話が頭に入ってこない」状態だったようだ。なにせ、二足歩行のサメがマイクの前に立ち「この日のために、自費でサメを新調しました」という言葉からセッションをスタートしたのだから。筆者もその姿に釘付けだった。

 正直に言おう。この姿を紹介したいがためにこの記事はしたためられた。

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