8月23日(金)に公開された『ロケットマン』は、数々の名曲を生み出した「エルトン・ジョン」の半生を描いたミュージック・エンターテイメント作品である。エルトン・ジョンの栄光と挫折、そして再生までの過程をミュージカルタッチで表現したほか、誇張・省略なしでありのままの姿を描いている点も本作の見どころだ。第72回カンヌ国際映画祭で上映されると、約10分間のスタンディングオベ―ションで絶賛を受けたという。
エルトン・ジョンを演じるのは、スパイアクション映画『キングスマン』シリーズでブレイクを果たした英国俳優のタロン・エガートン。エルトン・ジョンを忠実に演じきったのはもちろん、彼が手がけた名曲を自らの声で歌い上げている。本作で披露した演技、歌、ダンスなどのパフォーマンスは、観る者の心を魅了することだろう。
特筆すべき点は、『ロケットマン』を製作したスタッフの面々だ。国内でも大ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』の最終監督を務めたデクスター・フレッチャー監督のほか、『キングスマン』シリーズなどを手がけたマシュー・ヴォーンや、エルトン・ジョンも制作に参加。また、エルトン・ジョンの夫であるデヴィッド・ファーニッシュもプロデューサーとして参加している。
名曲にのせて描かれる、エルトン・ジョンの光と闇
一足先に『ロケットマン』を鑑賞したが、エルトン・ジョンの楽曲にのせて描かれる波乱万丈な半生に衝撃を受けた。スターダムを築く光の部分だけでなく、両親との不仲や麻薬依存などといった闇の部分も描かれている。そういった二面性を忠実に描くことで、エルトン・ジョンという人間のドラマに重厚な深みをもたらしている。人間の生き様にスポットを当てた作風が本作の魅力だ。
もちろん、エンターテインメント作品としての出来も素晴らしく、エルトン・ジョンを演じるタロン・エガートンの歌唱力とダンスに心が躍ったものだ。人生の浮き沈みを表現した演出に何度も心を打たれた。また、エルトン・ジョンが当時来ていた派手な衣装を着こなしており、本人と見間違えるほど再現度が高かった。
『ロケットマン』は、エルトン・ジョンの光と闇を描いたミュージック・エンターテイメント作品だ。興奮と感動を同時に味わえる内容に仕上がっているので、ぜひ劇場で堪能してもらいたい。