LIFEBOOK NHシリーズ開発者インタビューを実施。
富士通17.3型ノートPC「LIFEBOOK NH」の聞くまでわからなかった異様なまでのこだわり、各開発部隊が衝突した誕生秘話とは (2/4)
2019年07月24日 09時00分更新
パソコンをもう一度リビングの中心に置きたい
――今回の「LIFEBOOK NH」シリーズはどういった経緯で復活されたんでしょうか。
軽石 毅氏(以下、軽石):最近のノートパソコンの使い方は仕事だけとか、ネットショッピングしたいときだけちょっと見て、後はしまってしまうという感じになっています。しかし、家族が集まるリビングの中心にもう一度パソコンを置きたいという思いがありまして、17.3型と大画面のパソコンを作ろうということになりました。
ただ、17.3型のディスプレーをそのままのせると大きいだけのモデルになってしまうのですが、ディスプレーの技術の進歩やデバイスの小型化により、狭額縁でコンパクトに収められるようになってきています。LIFEBOOK NHシリーズは、ひと昔前の15.6型ノートパソコンとほぼ同じフットプリントなので、買い替えた際にそのまま置き換えができて、さらに大画面が楽しめるというのがコンセプトになります。このサイズであれば、ご家族3、4人が1つの画面を覗き込んで楽しめるであろうと考えています。
デザインと性能の両立を実現した狭額ベゼル
――狭額縁へのこだわりや実現するためにどういった技術を使われたのでしょうか。
佐々木 登氏(以下、佐々木):無線LANのアンテナは受信性能をよくするために、画面上部に設置しています。そこから画面の横側にケーブルを通すというのが一般的ですが、NHでは画面の後ろにケーブルをはわせることで狭額縁を実現しています。加えて、ただ単純に後ろに配置しただけでは装置(天板部分)の厚みが増えてしまうのですが、天板の樹脂をケーブルが通る部分だけ薄くしているので、これまでの製品と変わらない厚みのままになっています。
軽石:狭額縁を実現するため他社製品などではアンテナやカメラを画面下部に配置する機種もあるのですが、我々は受信性能や使い勝手を考えて「上にあるべきだ」と考え、狭額縁でありながらアンテナに加えマイクやカメラも上部に設置しております。
――アンテナが上にあるか下にあるかでどれくらい変わってくるものですか?
奥村:上と下で色々なシミュレーションをしていますが、単純に上にあるだけでも感度がかなり変わってきます。そのほか、今回のLIFEBOOK NHシリーズではキーボード面が金属なので、下にあると電波感度に影響を与えてしまうんです。
軽石:狭額ベゼルのこだわりとしては、落とし込みヒンジによって下の額縁も目に入りにくくなっています。ここが広いと17.3型ということもあってちょっと間が抜けた感じになってしまいます。また、落とし込みヒンジにすることで、キーボードを自然にチルトさせることができ、打ちやすさも高まるというメリットがあります。
みんなでワイワイ使ってほしいHDMI入力
切り替え時は使うキー以外とタッチパッドを無効化
――LIFEBOOK NHでとくに気になるのがHDMI入力端子なんですが、これはどうして搭載したんですか
軽石:ビデオカメラやスマートフォン、ゲーム機など、これまで1人で楽しんでいたものを、みんなでワイワイと楽しめるようにしたいというコンセプトで搭載しました。17.3型の大画面ですから、HDMI入力により新たな世界が広がるんじゃないかと思っています。HDMI出力と入力は、キーボード上部のボタンを使いワンタッチで切り替えられるようになっているのも特徴です。
山内 順一氏(以下、山内):テレビのように簡単に使えるHDMI入力を目指しました。機能としては単純ですが、画面を外部機器に切り替えた場合でもパソコン部分は動いていますので、映像を楽しんでいる時にふとキーを触ってしまってファイルを消してしまうといったことがないよう、切り替え時はマスク処理で音量と明るさ操作以外のキーとタッチパッドを無効化しています。また、PCとHDMI入力表示時では音量と輝度の設定が別々になっていますので、切り替えた途端に大きい音が出てしまうといったこともありません。