ソニーは6月12日、機械学習を使った予測分析ソフトウェア「Prediction One」の提供を開始した。これは、ソニーグループ各社でダイレクトマーケティングやシフト配置、CRMなどに活用していたものを、外部の法人に提供するもので、当面は無料で提供する。
予測分析は統計アゴリズムや機械学習を用いて過去の実績から将来の結果を予測するデータ分析手法のひとつ。
ソニーによると、蓄積したデータをビジネスに活用しようという動きが企業を中心に年々加速しているという。しかしながら、予測分析を実際にビジネス効率化や、顧客価値の向上につなげるには、高度な専門知識を必要とし、そうした専門家も不足しているとのこと。
このような背景もあり、ソニーは「Prediction One」を提供する。同サービスは、シンプルで直感的な操作を可能とし、機械学習やプログラミングの専門知識がなくても操作できる。
特別なシステムを必要とせず、Windows 8.1以降を搭載したPC環境であれば動作し、数クリックの簡単な操作だけで高精度の予測分析を実行できる。Macについては提供開始時点では対応していないが、対応に向けて検討している。
データを前処理してモデリングをし、分析する。途中の前処理とモデリングが専門知識を要する。Prediction Oneではそれも自動で行なう。
予測分析とともに、その根拠も合わせて提示されるので、それが次のアクションへとつながるという。
Production Oneの発表時には、高松慎吾氏が登壇し「Prediction Oneは、マーケティングや営業、生産管理などの幅広い分野で使うことを想定したもの」と説明し、「たとえば営業では顧客がどの程度制約してくれるのかを予測する」と述べた。
加えて「機械学習やプログラミングなどはまだまだ一般企業の成長に貢献できていない」とし、「UIや操作を簡単にすることで、いわば天気予報に近い感覚で使ってもらい、社会に貢献していければ」と述べた。
Prediction Oneのデモも行なわれ、実際の画面と共にデータ分析をするところまで説明があった。
ソニーグループでの活用事例も
サービス開始前に、ソニーではグループ会社のソニー損害保険やSRE AI Partnersなどで導入し、成果を挙げたと説明した。
ソニー損保では、手続きなどの不明点や商品について問い合わせるコールセンターを設けている。コールセンターへの入電数を各日時ごとに予測し、それに基づいてオペレータのシフトを決定している。Prediction Oneを使い、予測精度を高めることで、オペレーターのシフト配置の最適化ができたという。
SRE AI Partnersでは、過去の顧客リストからどういった人が家を売却するのかを予測する「追客(ついきゃく)」という業務を行なっているが、Prediction Oneを導入したところ、人による追客が500分かかっていたところ、同ツールでは13分と大幅に短縮され、1000顧客あたり8時間以上の作業削減効果があったという。
なお、Prediction Oneを普及させるべく、導入を検討している法人担当者に向けたセミナーを2019年6月26日にソニー本社ビルで開催し、Prediction Oneの使い方やビジネスでの活用方法、ノウハウ、導入事例を紹介する。