上海で6月11日より開催しているCES ASIA 2019のキーノートにファーウェイのShao Yang氏(Consumer Business Group Chief Strategy Officer)が登壇。最新のファーウェイの各種取り組みについてプレゼンをした。
アメリカによるファーウェイ制裁が本格化しており、本プレゼンでアメリカに対してなにかメッセージがあるかとも思われたが、特別な主張はとくにナシ。冒頭でShao氏は「ファーウェイに勤めていると言うこともあり、以前は一般の人から『製品はどこで買えるか』やトラブルシューティング的な質問が多かったが、最近は『プレッシャーは大丈夫ですか? 健康には気をつけてくださいね』と声をかけられることが多い」と軽い話題として話した程度。
また「自分が入社した当時は夜遅くまで仕事をしていた。最近も同じようにもっとたくさん仕事がしたいと夜の10時を過ぎても働いている社員がいて、仕事を楽しいと感じている。」と社員の士気が高いこともアピールした。
今回プレゼンでは新しいデバイスやプロセッサー、サービスの発表はなく、スマートフォンについてと、スマートホームの2分野について、ファーウェイが取り組んでいる現状が説明された。
スマートフォンについてShao氏は「2011年あたりからコンシューマー向けの市場に乗りだした。スマートフォン市場では2018年の第2四半期で世界第2位となった。スマートフォン市場世界一も目指していたがそれはもうちょっとかかりそうだ」と話し、やはり世界的な販売規制は同社の成長に影響しているようだ。
Shao氏はファーウェイのスマートフォンについて「市場に参入した当初は酷い品質だった。ファーウェイの社員ですら社内でしか使わず、外ではiPhoneを使っていた」と話す。その後筐体の薄さや軽さなどのデザインや、指紋認証の搭載、カメラ性能の向上など様々な技術をつぎ込んで、世界でもトップクラスの品質に仕上げてきたとのこと。なかでももっとも力をいれてきたのがプロセッサーだ。
プロセッサーについても当初は低性能で「最初に開発したプロセッサーは電力消費が大きくバッテリーを大きくする必要があった。次に開発したK3V2はAscend D2などに搭載されたが、これも放熱性能が悪くゲームにはまったく向かないと罵声を浴びた」とプロセッサーの初期モデルについても厳しく振り返った。こういった失敗からのスタートが、今のファーウェイの礎となっているわけだ。またインターフェースにもなっている独自OSの「EMUI」についても言及。「EMUI 5.0では18ヵ月使っても端末が遅くならない機能を装備。8.0からはAIにも力を入れ始めた」とShao氏は説明する。
Shao氏は、現在、携帯電話やスマートフォンに関する約12年に一度の大きな変革期を迎えているという。「1983年にモトローラからハンディフォンが登場し、1996年頃はデジタルケータイへと切り替わった。2007年にiPhoneが販売され、その12年後が今年」というわけだ。
新しい時代のスマートフォンについてShao氏は「どのような形になるかはわからないが、あらゆるモノの中心に位置するデバイスとなる」とし「スマートフォンをメインの入り口とし、タブレットやテレビ、スピーカー、メガネ、時計、クルマ、イヤホン、PCの8つが連携するもうひとつの入り口となる。この1+8の連携もとにあらゆるサービスなどを利用する」と語った。
もうひとつのスマートホームについて、ファーウェイが推進する「HUAWEI HiLink」について解説。2015年からスタートした同規格は3年半が経過し、今年はさらにバージョンアップが予定されているとのこと。Shao氏はHiLinkに関して「ファーウェイは家電を作らない代わりに、システムを作った。提携するメーカーにはプロセッサーも提供できる。さらにルーターに関しては中国国内でトップシェア」と、 HiLinkの優位性を言及。
さらにHiLinkのポイントとして、デバイス同士を近づけるだけでメッセージが出て簡単に接続設定ができること。どのデバイスからもほかのデバイスをコントロールできる親和性。そしてベッドルームのドアの開閉で室内灯のコントロールが自動でできるなどの連携機能を3つ挙げた。
最後にShao氏は「技術を革新していく中で、技術に進む人が成功する」とし、技術革新を突き詰めていくことが、ファーウェイの強みであることをアピールした。