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麻倉怜士の「MIPTV 2019」レポート 最終回

日本のテレビ番組は世界に通じるのか? カンヌで見た「ネット配信と4Kの未来」(後編)

2019年05月16日 09時00分更新

文● 麻倉怜士 編集ASCII

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(5)NHKからの4K番組輸出が本格化

 4Kは日本からの番組輸出のニュースターだ。NHKエンタープライズが海外に販売する4Kコンテンツは80を数える。NHKでは2Kと4Kを同時に制作することが多く、4Kプログラムは自動的に、急激に増加している。売れ筋は自然、科学、アートものが中心だ。

 自然ものでは人気の『ワイルドライフ』シリーズは、22本がカタログに乗っており、半分以上はすでに販売済み。主な売り先はアジア(中国、韓国、香港)だ。放送局および放送局向けに配給会社にライセンスするケースが多いという。『月の魔法が命をよぶ グレートバリアリーフ(2014年放送)』、『大アマゾン(2016年放送、2本シリーズ)』、巨匠アッテンボローがナレーターを務めた『ディープ・オーシャン(2015-2017放送)』もセールス好調という。

 NHKが得意とする科学分野では、『人体 神秘の巨大ネットワーク(2017-2018年放送、8本シリーズ)』、『生命大躍進(2015年放送、3本シリーズ)』、などCGを駆使した大型番組が人気だ。単発番組でも『ファーブルもびっくり!ぞくぞく発見!夢のムシ技術(2016年放送)』、『若田飛行士が見た『宇宙絶景』(2015年放送)』など、4Kならではの映像体験が得られる作品が好評という。

 戦略的なポイントが共同制作。『ディープ・オーシャン』シリーズはフランス、ドイツの放送局、プロダクションとの共同制作だ。「共同制作では相手のテレビ局での良い時間帯での放映が期待できます。4Kの『ワイルド・トーキョー』という都心にいる動物や奥多摩の動物を描いた4K番組はイギリスの制作会社と共同制作中です。英語圏をはじめ、世界中の放送局で2020年にニーズが出ると期待しています」と、堀江さゆみ・NHK編成局展開戦略推進部部長は言う。

 テレビドラマのヨーロッパ進出、カンヌシリーズでノミネート、フォーマット輸出に期待株が続出、テレビ局がネットに番組を売るトレンド、NHKの4K番組輸出が本格化……と日本の番組輸出がさまざまな意味で飛躍期を迎えたことがわかったMIPTV2019であった。

(了)

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