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Insight ProやOrbi Proによる新たなサービスモデル、4K映像伝送の新市場への取り組みなど

新領域を開拓するネットギア、製品担当幹部4人に聞く最新動向

2019年05月29日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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 ネットギアが法人ネットワーク製品において新たな市場領域の開拓を進めている。従来型のネットワークスイッチ、無線LANアクセスポイント/コントローラー、ネットワークストレージ(ReadyNAS)を強化するだけでなく、「Insight」や「Orbi Pro」といったネットワーク運用管理を大きく変える製品を発売し、他方では“プロ映像市場のIPネットワーク化”に対応する取り組みも進めている。

 2月にネットギアジャパンが開催した販売パートナー向けセミナーでは、こうしたネットギアの新たな動きについて、製品担当幹部が市場の最新動向をふまえながら紹介した。今回はこの4人の製品担当幹部に、各製品市場における最新動向やネットギアの戦略を聞いた。

来日した製品担当幹部4名にネットギアジャパンのショールームでインタビューした

スイッチ:幅広いバリエーションで多様なニーズに対応、PoE++スイッチも

 まずは、ネットギアがこれまでも得意分野としてきたネットワークスイッチ製品について聞いた。セミナーではPoEスイッチ、マルチギガ(2.5/5ギガ)スイッチ、10ギガスイッチの紹介が中心だったが、そのほかのスイッチも含め、ポート数や管理機能(アンマネージからフルマネージまで)が細かく異なる多彩なモデルを展開しているのがネットギアの強みだ。

 スイッチ担当プロダクトライン・マネージャのイフィ・チェン氏は、顧客ネットワークには非常に多様なニーズがあり、それに柔軟に対応できるように幅広い製品ポートフォリオを展開することが、ネットギアの基本的な市場戦略だと説明する。それに加えて「製品の信頼性」「手頃な価格帯」「新技術へのいち早い取り組み」といったこともミッションであり、そうした立ち位置が市場においても確立されていると語る。

米ネットギア スイッチ担当プロダクトライン・マネージャのイフィ・チェン(Iphie Chen)氏

 「ネットギアのミッションは、信頼性が高く、かつ手頃な価格帯のネットワークソリューションを、市場のデマンドに応じて提供すること。さらに、市場におけるイノベーションリーダーとして新しい技術も積極的に取り入れていく、そうしたポジションが確立できている。ネットギア製品はグローバルのSMB市場で高いシェアを持っており、特に10万円以下の10ギガビットEthernet(10GbE)スイッチ市場では『61%』のシェアを占めている」(イフィ・チェン氏)

 セミナーで詳しく取り上げていたのが、PoEの最新仕様であるIEEE 802.3bt(通称:PoE++)である。昨年末にIEEEでの仕様策定が完了し、これから市場でも徐々に対応製品が登場してくることになる。Ethernetケーブル1本で、これまでのPoE(最大15.4W)、PoE+(30W)よりも格段に大きい最大90Wの電力を供給できるため、適用領域の大幅な拡大が期待できる。

 「たとえばスマートビルディング全体に適用できる。人感センサーや温度センサーなどの各種センサーデバイスだけでなく、ドアのロックデバイス、高機能の監視カメラ、オーディオスピーカーなど、これまでのPoE/PoE+では供給電力が足りなかった大型デバイスも、Ethernetケーブル1本で接続/設置できるようになる。また近い将来、これから普及していく802.11axの無線LANアクセスポイントの接続も、PoE++で行われるようになるだろう」(イフィ・チェン氏)

 これによって多様なスマートデバイスの設置がより容易になるのは間違いない。まだ802.3bt/PoE++対応のスイッチは発表されていないが、これからの動向にはぜひ注目しておきたい。

 なお、スイッチング担当シニアプロダクトライン・マネージャーのブラッドリー・ベロナ氏は、ネットギアのスイッチポートフォリオは現在136モデル(取材時点、米国市場)をラインアップしており、そのうち53モデルがPoE/PoE+対応だと説明した。PoE/PoE+対応モデルにおいても、給電ポート数が異なるバリエーションが豊富に用意されている。当然、PoE++対応モデルも幅広いバリエーションで製品化されるだろう。

米ネットギア スイッチング担当シニアプロダクトライン・マネージャーのブラッドリー・ベロナ(Bradley Verona)氏

 もうひとつ、ネットギアでは昨年からスイッチ製品の管理コンソール(GUI)の日本語化を段階的に進めている。これについてベロナ氏は、過去10年以上にわたって日本市場で法人向けスイッチを販売してきたが「やはり“言語の壁”が大きなハードルとしてあった」と説明。その問題を払拭し、国産メーカーとの差を感じずに使っていただけるように、ローカライズ(日本語化)に注力していると説明した。

Insight Pro:米国ではMSPのビジネス展開も、今後も対応製品拡大

 次にInsight Proについて聞いてみた。これはクラウド経由でネットワーク機器の監視や設定変更ができる「Insight」のマルチテナント版サービスである。Insight Proを利用することで、ネットギア製品の販売パートナーやSIerがリモートから顧客機器のサポートを行うマネージドサービスプロバイダー(MSP)/バリューアデッドリセラー(VAR)のビジネスを展開できる。

 ベロナ氏は、すでに米国ではInsight Proを活用したMSP/VARのビジネスが多数立ち上がっていると語った。セミナーの中では、サポートサービスを通じて顧客1社あたり「年間30~200ドル」の追加売上が挙げられると紹介していた。これは実際の数字だが「あくまでも一例」であり、管理対象のデバイス数や顧客ネットワークの複雑さ、提供するサービス内容によって変化する。その価格はMSP/VARが自由に決められる(ネットギアでは特に制約を設けていない)。

 なお、Insightシリーズとして新たにVPNルーター「BR500」も発売されているほか、Insightアプリによる管理対応機種も徐々にInsightシリーズ以外へと拡大している。これからInsight対応機種は拡大していくのかという質問に対し、ストレージ/サービス担当シニアプロダクトライン・マネージャーのダグ・チェン氏は、その方針だと語った。

 「ネットギアでは、InsightをSMB向け製品の“プラットフォーム”と位置づけている。今後さらに多くのスイッチ、ストレージ製品を、Insight対応にしていく戦略だ」(ダグ・チェン氏)

米ネットギア ストレージ/サービス担当シニアプロダクトライン・マネージャーのダグ・チェン(Doug Cheung)氏

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