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FIXERとASCIIが企画するAzureユーザーのための情報サイト、始まります

私たちとAzure――Azure情報サイト「Azure boost」へかける思い

2019年02月08日 14時00分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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ASCIIの新サイト「Azure boost」は、FIXERとASCIIの企画によるAzure情報専門のコンテンツサイトになります。Azureの最新アップデートや技術情報、事例、イベントレポートなどAzureに関する様々な記事コンテンツを一手に集約し、Azureを使うエンジニアや情シス担当者、Azureの導入を検討する企業の担当者など、Azureに興味を持つ多くの読者に情報を届けたいと考えて、このサイトを立ち上げました。FIXERの松岡清一社長と、同サイト担当のASCII編集記者・羽野から、「Azure boost」にかける思いを説明させてください。

ASCII編集記者 羽野三千世(左)、FIXER 代表取締役社長 松岡清一氏(右)

FIXER松岡社長は昔、アンチMSだった

FIXER松岡:FIXERは、2009年11月に創業したAzure専門のクラウドサービスプロバイダーです。Azureの導入設計、お客様のIaaS、PaaS環境を丸ごとお預かりして24時間365日の運用保守を行うフルマネージドサービス「cloud.config(クラウドコンフィグ)」を国内外で提供しています。

Azureのサービスベンダーで起業した私ですが、FIXER創業前は完全に“Microsoft大嫌い”な人間でした。もともとWebデザイン事業を手掛ける会社で、システムアーキテクトとしてオープンソースコミュニティを推進し、Linuxベースの金融システム、大規模ECサイトの構築などを担当していたのです。Web分野で、Adobe推し、Linux推しという“アンチMicrosoftの筆頭”のような立場で雑誌の連載や講演もしておりました。

今でも記憶に残っていますが、2007年の「CSS Nite」(※Web制作者のコミュニティイベント)で、当時RIA(リッチインターネットアプリケーション)の分野でシェアをほしがっていたMicrosoftがWPF(Windows Presentation Foundation)について講演をしたとき、一緒に登壇した私は「この業界にMicrosoftは入ってくるな」くらいの痛烈なことを言ったんです。登壇後、イベントの控室にMicrosoftの人が乗り込んできて、かなり文句を言われましたけど(笑)。そしてその場で、「こんど米国のMicrosoftイベントで新しいRIAのプロダクトを発表するから来てほしい」と誘われました。

そんな経緯で、Silverlight(※Microsoftが開発したRIA技術、Webブラウザ拡張機能)がお披露目された米国イベントに参加することになったのですが、これが、私がAzureに関わるようになる転機になりました。

松岡社長とAzureの出会い

FIXER松岡:そのSilverlightがお披露目された米国イベントで、Microsoftのスコット・ガスリーさんに出会いまして、まだ世に出ていない、当時はまだAzureとも言われていない“Microsoftのクラウド”について教えてもらったのです。衝撃でした。Microsoftがネットワーク越しにマネージドなコンピュータリソースを提供する、これはすごいものになると感じました。

Silverlightのテクノロジーにも、様々な動画配信コンテンツに使えそうだと可能性を感じました。帰国してからは、日本初のSilverlight本「Microsoft Silverlight完全解説」(アスキームック)を執筆し、Silverlightを使ったPIP(パーソンインプレゼンテーション)コンテンツ「野村証券バーチャル店舗」の構築を手掛けています。Silverlightに関する講演や執筆、システム構築が評価されてMicrosoftからMVPとして表彰されたこともあります。

ガスリーと出会い、Microsoftのクラウドのテクノロジーに魅了されて以降、同社のプロダクトにどんどん関わるようになったわけですね。そして、2009年11月にFIXERを起業するに至りました。FIXERは、Azureのトレーニングサービス事業からスタートし、2012年ごろからはAzure上でのゲーム配信基盤の構築・運用を手掛けるようになりました。現在は、金融や製造などエンタープライズのお客さんがAzureを使う支援をしています。Azureの開発ロードマップに沿って、Azureと一緒にFIXERのビジネスも進化してきました。

記者・羽野とAzureの関係

ASCII羽野:記者としての私とAzureの関わりについてもお話させてください。私が証券ライターからIT記者に転身したのは2008年後半でした。日経BP社のITpro(現:日経xTECH)編集部に入ってすぐに、米国イベントでMicrosoft Azureが発表されます。

ITpro編集部では、駆け出しの記者だった私はデスクの指示でエンタープライズIT全般を取材して回っていました。その中で、Azureが日本で初披露された2009年のPDC(Microsoft Professional Developers Conference)や、2013年にスティーブ・バルマーCEO(当時)がAzure日本リージョン開設をアナウンスした来日会見、国内のAzure採用事例、技術イベントなど、Azureを取材する機会も多々ありました。IT記者のスタート時からAzureがあり、それ以前を知らない私には、Microsoftがクラウドファーストに向かい、Azureのサービスが急速に進化していく流れは特に不自然なく見え、ただ淡々と取材して記事を書いていたと思います。

2015年にZDNet Japan編集部に転職し、ここでは自身で記事コンテンツを企画して取材する立場になりました。そこであらためてクラウド業界を俯瞰してみると、AWS全盛、Azureは不人気。情報量もAWSが圧倒的に多い状況であることに気が付きます。一方で、当時の日本マイクロソフトには面白い動きがありました。それまでアンチMicrosoft的な立場だったOSS界隈のとがったエンジニアが、次々にAzureチームへ入社していたのです。興味深かったので、Azureへ転身したエンジニアの人たちにインタビュー取材にいき、話をきいて回るようになりました。

Azureエンジニアの皆さんが語るAzureのインフラやネットワーク、コンテナプラットフォームの技術的な魅力を取材しているうちに、記者として、Azureのテクノロジーはクラウドに関心をもつ読者にもっと広く知られるべきだと考えるようになりました。Azureをひいきするわけではなく、クラウドといえばAWS、AIやコンテナ技術の最先端はGoogleといった情報の偏りを、少しでも変えたいと思ったのです。そんな思いから、Azureのテクノロジー記事ばかり書いても許されそうな風土と文化があったASCIIに2017年に転職し、以降、“Azure記者”を名乗って記事コンテンツを作ってきました。

Azure情報サイト「Azure boost」はこうして生まれた

ASCII羽野:それから約2年、記者の興味と思いだけで続けてきた私のAzure取材活動は大きな壁に直面します。取材活動の「原資」がないことです。記事を作るのには、取材費、原稿料などのお金がかかります。年に何本かはAzureのタイアップ広告を受注しますが、今のASCIIのAzure記事本数を維持していくにはもっとリソースが必要です。まだまだ世の中にAzureの情報は必要なのに、このままでは連載を休止したり、記事本数を縮小したりせざるをえない状況でした。

そんなとき、ご縁あってFIXERの松岡さんに会いました。浜松町のFIXER本社へA4ペラ1枚の企画書をもってお邪魔して、「Azureの情報発信のスポンサーをしてほしい」と松岡さんに直々に相談したら、二つ返事で承諾していただきました。こうして生まれたのが、FIXERとASCIIの企画によるAzure情報サイト「Azure boost」です。

FIXER松岡:実は私、おそらく日本で一番早く、雑誌に「Microsoft Azure」を紹介する解説記事を書いているんです。その雑誌が、2009年7月発売の「月刊アスキードットテクノロジーズ」の創刊号でした。だから、私がAzureの情報サイトをやろうと思ったらASCIIになるのは必然。ご提案を快諾したのはASCIIだったからです。

松岡氏がMicrosoft Azureを日本で一番早く紹介した「月刊アスキードットテクノロジーズ」創刊号

それに、羽野さんと同じく、クラウドの世界でAzureの情報が不足していることを課題に感じていました。テクノロジーのポテンシャルと比べて、Azureは認知度がない。つい先日も、クラウドの導入を検討する企業で、それなりにITに詳しい人から「うちはLinuxが多いからAzureは使わない」と言われましたね。2019年になってもまだ、AzureはWindowsのクラウドと認識されて、検討対象にもならないケースがあります。

「Azure boost」を通じて、まずは、AWSと同じ土俵にAzureが並ぶように、クラウドの世界の不自然な情報の偏りをなくしていきたいですね。そして、Azureのテクノロジー情報を増やして、Azureエンジニアの裾野を広げていけたらと思います。これからのクラウドエンジニアにとってGitHubなどAzureを取り巻く生態系を吸収することはキャリアの武器になります。そして、Microsoftリサーチの研究成果がすぐにデリバリーされてくるAzureに触れることはエンジニアの喜びではないでしょうか。

ASCII羽野:「Azure boost」では、FIXERとの企画記事、日々のAzureの取材記事、毎週のアップデート情報、Azureを使うエンジニアのための解説連載などAzureに関する様々な記事コンテンツを集約してお届けしていきます。ご期待ください。

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